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バリウム検査より胃カメラ(胃内視鏡検査)を選択するのがなぜ賢いのか?

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こんにちは、尚視会理事長・消化器内科医の原田です。

 

今回は、「バリウム検査より胃カメラ(胃内視鏡検査)を選択するのがなぜ賢いのか?」について解説したいと思います。

 

 

胃がん検診・企業健診ではバリウム検査を行っていることが多いですが、消化器内視鏡医としてはバリウム検査を強くおススメすることはありません。正確で精密な検査を希望するなら胃カメラの選択が間違いないです。胃カメラでも口から行うスコープで拡大内視鏡機能がついたスコープで行うことを推奨します。ただし、口から行う胃カメラの場合は非常にツライため、静脈麻酔を使用しての検査が望ましいです。経鼻内視鏡も静脈麻酔無しの口からの胃カメラよりは楽ですが、やはりそれなりにツライ検査ではあると思います。一番良いのは、口からの胃カメラで静脈麻酔を使用する、これに尽きます。バリウム検査は、手軽で楽だと思われますがそれなりに大変ではありますし、異常があった場合には2次精査で胃カメラを結局受ける必要があります。では、なぜバリウム検査より胃カメラが望ましく賢い選択なのか解説したいと思います。

 

そもそもバリウム検査(二重造影法とも言います)は、日本で開発されたものと言われていますが、最初にバリウム検査を開発し報告したのはドイツ人のFischer先生です。報告された時代は約100年前の1923年で日本では大正時代という大昔です。その後、日本で改良され胃のバリウム検査として胃がん診療において大きな役割を果たしてきました。

 

果たしてきたと言っておりますが、現在でも多くの方がバリウム検査を受けられているのが日本の現状です。どうしてバリウム検査がいまだに行われているかというと、厚生労働省の胃がん検診に関する指針において、胃がん検診は「胃部エックス線検査または胃内視鏡検査のいずれかとする」と明記されているからです。

 

しかしながら、医療従事者である私たちがバリウム検査を受けることはほとんどないと思います。私の周囲の医療従事者でバリウム検査を受けたという話を聞いたことがありません。なぜバリウム検査を受けないかというと、それには理由があるからです。

 

バリウム検査では、ある程度進行した胃がんでないと発見することが困難であるからです。いわゆる早期がんや超早期の微小胃がんというものに関してはバリウム検査で発見することは難しいと考えられています。10年以上前に私もバリウム検査の読影(今ではもうあまり見ませんが、昔のシャーカステンという壁に明かり付くボックスにフィルムを掛けて写真を見ることをいいます、現在ではPCのディスプレイにおいて画像で読影をしています)を多少していましたが、正直大きな病変しか判断できませんでした。バリウム検査読影のエキスパートの医師は小さな病変も見逃さないことができるのかもしれませんが、その他の読影医においてはなかなか小さな病変の拾い上げは難しいものであると思います。

 

一方、胃カメラに関してはその進歩は著しく、拡大内視鏡(顕微鏡のように小さな病変も拡大レンズで拡大してみることができます)やIEEというイメージ・エンハンス・エンドスコピーという色調を変えてわずかな病変なども認識することができる機能が開発されており、より早期の病変や微小な病変を発見することができるようになっています。直接胃の中をリアルタイムの画像でみることができるため、ほとんどの医師が小さな病変でも見落としなく病変を拾い上げることが可能と思われます。

 

一昔前だと、胃カメラは非常に苦しい検査ということもありバリウム検査の方を選択されていたということもありましたが、現在ではスコープも細くなり静脈麻酔を使用して眠った状態で検査をすることが普及されてきていますので胃カメラを選択しないという理由は無くなってきたように思われます。また麻酔をするのが怖いという方には、経鼻内視鏡で比較的楽に検査を受けるという選択肢もあります。

 

検査の安全性ということではどうかと言いますと、一昔前ですと胃カメラもスコープが太く硬かったため出血や穿孔といって腸管に穴が開いてしまうなどの合併症も見られましたが、現在ではスコープも改良されており熟練した内視鏡医が行うのであれば、まず合併症が起こることはありません。バリウム検査も検査中に合併症が起こることはほとんどないと思いますが、検査後にバリウムが腸管で詰まったりなどすると腸管穿孔が起こり腸に穴が開くことが報告されています。この場合には緊急で手術が必要となることがあります。中には命を落とす患者さんも報告されています。

 

検査時間に関しては、胃カメラ・バリウム検査ともに10分弱ですが、私自身も胃カメラを受けるのは静脈麻酔をしてもらい検査を受けるようにしています。胃カメラを静脈麻酔なしで受けるのはかなりキツイです。研修医時代に同級生の研修医同士で静脈麻酔無しで胃カメラをお互いしたことがありますが、本当にキツかったという記憶しかありません。これを読んだ方は、必ず静脈麻酔をするという賢い選択をしてほしいと願っています。

 

経鼻内視鏡に関しては、私自身は受けたことがありませんがこれはこれでそこそこキツイと思います。鼻の通りが良い方は良いのですが、鼻の中の鼻腔が狭い方はかなりの痛みがでます。また鼻腔の粘膜がこすれるため出血をすることもあります。

 

バリウム検査に関しても私は受けたことがありません。私の大学ではなぜか入院患者さんのバリウム検査は医師が行うという暗黙の了解があったため研修医がバリウム検査を行っていました(15年以上も前ですので現在は変わっていると思います)。バリウム自体おいしいものではないですし、発砲剤というガスを出す薬を飲まないといけないのですが、それを飲む患者さんたちがいつも辛そうでした。胃がんと診断されて先進的にマイっているいる患者さんにバリウム検査をしなければならないということが研修医時代の私にとっては非常に苦痛でした。バリウム検査の結果を上級の医師に報告しに行っても報告をきちんと聞いておらず、本当にこの検査は必要なのかといつも疑問に思っていました。

 

以上のようにバリウム検査をディスってしまいましたが、バリウム検査にも大いなる意義があります。早期や微小な病変を見つけることは難しいが、ある程度進行した病変を拾い上げて外科手術などの治療に結び付けることができます。また、胃カメラのように医師が検査をする必要が無いというのもかなり重要です(たいてい放射線技師が行います)。内視鏡医の人数は限られていますので、貴重な人的医療資源を有効に使うことができます。現在の内視鏡医の数で、バリウム検査を全て胃カメラに変えるということは難しいことです。日本では内視鏡学会の会員数は約3万人でそのすべてが内視鏡検査に従事していると考えた場合、年間約1000万件施行されているバリウム検査を胃カメラに変更した場合には一人当たりの内視鏡医が年間300件以上多く検査を行わなければならなくなります。1年は365日ありますので、300件というとそんなに大したことはないと考えられるかもしれませんが、人的にも医療資源・医療施設的にもかなり困難なことです。

 

バリウム検査は日本の医療文化に根付いた検査でありますので、内視鏡検査と共存して日本国民の健康に寄与していくのが正しい姿ではないかと考えてはいます。

 

健診やお勤めの所によっては胃カメラ選択が難しいという方もいらっしゃるかとは思いますが、もし胃カメラを選択される場合には静脈麻酔を使用していただくことが一番良い選択ではあります。

 

以上が「バリウム検査より胃カメラ(胃内視鏡検査)を選択するのがなぜ賢いのか?」を解説いたしました。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

1) Fischer A.W : Über eine neue röntgenologische Untersuchungsmethode des Dickdarms : Kombination von Kontrasteinlauf und Luftaufblähung, Klinische Wochenschrift 1923;2(34):1595-8.

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