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日帰り大腸ポリープ切除について

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皆様こんにちは、尚視会理事長・内視鏡専門医の原田です。当クリニック「東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリック 足立区院」は、北千住駅徒歩2分にある内視鏡専門クリニックです。

 

今回は、「日帰り大腸ポリープ切除(大腸ポリペクトミー)について」について解説したいと思います。

 

大腸ポリープ切除の正式名は、「内視鏡的大腸ポリープ切除術」と言います。当クリニックでは、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で大腸内を観察した時に大腸ポリープを発見した場合には、大腸ポリープをその場で切除することができます。1cm前後の小さな大腸ポリープであれば、その場で切除をして日帰りで帰宅することが可能です。大きな大腸ポリープの場合には、その場で切除すると出血などの合併症が起こるリスクがあるため入院での切除が望まれます。当クリニックでは、1cm前後の大腸ポリープに対して日帰りで切除を行っています。実際には、どのような大腸ポリープが日帰りで切除が可能で、どのように切除をしているのかを解説したいと思います。

 

 

大腸ポリープにはどのようなものがあるのか

大腸のポリープにはいくつかの種類がありますが、通常大腸ポリープといわれるものは腺腫(アデノーマ)といわれるものです。その他には、鋸歯状ポリープというものや炎症性のポリープなどもあります。腺腫は、おおよそ大腸ポリープの約80%を占めていると言われています。腺腫はいくつかの種類に分かれており、管状腺腫・管状絨毛腺腫・絨毛腺腫などがあります。鋸歯状ポリープには、過形成性ポリープ・SSA/P(エス・エス・エー・ピー)・TSA(ティー・エス・エー)というようなものがあります。

 

大腸腺腫とは

大腸腺腫は、ある一定の大きさになると癌になると言われています。数mm程度の大腸腺腫であれば問題ないと言われていますが、10mmを超えてくると担癌率(ポリープに癌が含まれる確率)が高くなると言われています。10mm以下の大腸腺腫の場合、その担癌率は数%程度と言われていますが、15mm以上の場合には、20%以上になるとも言われています。小さな大腸腺腫の場合でも癌化をすることがあります。数mm程度の大腸腺腫でも癌が含まれていることが稀にですがあります。そのため検査中に大腸腺腫が発見された場合、ある程度の大きさであれば切除をすることが望ましいと考えられています。

 

SSA/P、TSAとは

鋸歯状ポリープの一種であるSSA/Pは、sessile serrated adenoma/polypの略で欧米ではSSL(sessile serrated lesion)とも言われています。このSSA/Pは癌化する可能性があると言われている大腸ポリープの一つです。米国からの報告では、SSA/Pを有している患者さんは過形成性ポリープのみを有していた患者さんより大腸がんを発症するリスクが高かったと報告されています。当クリニックでも検査中にSSA/Pを発見した場合には、その場で切除するようにしています。TSAも癌化の可能性がある大腸ポリープです。5mm以上のTSAに関しては、切除が推奨されています。

 

大腸ポリープに関しては、詳しく「そもそも大腸ポリープってどんな病気で、なぜ切除しなければならないの?」で解説していますので、どうぞご参照ください。

 

大腸ポリープ切除の実際

大腸ポリープの切除には、大きく分けて2つの方法があります。1つは、従来の高周波装置を用いてスネアーという金属製の輪っかに電流を流して大腸ポリープを焼き切るという方法です。ホット・スネアー・ポリペクトミー(HSP; Hot Snare Polypectomy)と言います。もう一つは、金属製のスネアーをポリープに引っかけてそのまま輪っかを絞って切り取ってしまう、いわゆる“生切り”であるコールド・スネアー・ポリペクトミー(CSP; Cold Snare Polypectomy)と言います。通常我々の仕事場では、“ホット”、“コールド”と呼んで使い分けています。“ホット”は電流を流すもので、“コールド”は電流を流しません。それでは、HSPとCSPについて簡単に説明したいと思います。

 

ホット(HSP)とは

電流を使って焼き切るHSPは、比較的大きめの大腸ポリープを切除するのに適しています。大腸ポリープに太い血管がある場合などには、電気で焼ききるため血管の止血に効果的です。そのため、大腸ポリープに太い茎(大腸ポリープの根元のこと)がある場合などには、太い血管があることが想定されますのでHSPで切除することが推奨されます。血管の止血という点ではHSPの方がメリットがありますが、電流を流すことで合併症が起こるデメリットがあります。

 

大腸ポリープを切除する際に電流が大腸壁に過剰に流れてしまった場合には、穿孔といって大腸に穴が開いてしまうことがあります。この穿孔は、大腸ポリープを切除した直後に開いてしまう場合もあれば、少し時間が経ってお腹の痛みが出てくることで分かることもあります。私自身は、このような経験をしたことはありませんが若手の内視鏡医がHSPで穿孔を起こすのを幾度かみてきてはいます。そのほとんどはその場で穿孔していることが分かるものでしたので、穿孔した箇所をクリップという道具で粘膜ごと閉じてしまえば、まず問題はありません。時間が経ってから気づく場合には、緊急で外科手術が必要となることがありますので、非常に厄介です。

 

HSPには、もう一つデメリットがあります。電流を流して大腸ポリープを切除した傷跡の部分の血管から出血をすることがあります。大腸ポリープ切除後出血といいますが、切除してから1週間程度は出血のリスクが残ります。そのため、大腸ポリープを切除してから1週間程度は、激しい運動やアルコール摂取・長風呂などを控えるようにと言われます。

 

コールド(CSP)とは

CSPは、電流を使わずに金属製の輪っかのスネアーでポリープをそのまま千切って切除するため、HSPで起こり得る穿孔と術後の出血のリスクが非常に低い手技です。CSPは、スネアーを引っかけて鈍的に大腸ポリープを千切るだけですので、あまり大きな大腸ポリープを切除することができません。また、太い血管がある大腸ポリープをCSPで切除する場合などには、大量に出血することが予想されるため、このような場合にも適していない手技です。

 

CSPは、10mm以下の大腸ポリープ切除に適していると考えられます。CSPという手技自体は、非常に簡便な治療法で合併症も少ない手技と考えられています。とくに術後の出血がほとんどないため日帰り大腸ポリープ切除に適した手技です。当クリニックでも基本的には、CSPで大腸ポリープを切除しています。ただし、1cmを超えるような大腸ポリープや太い血管の存在が予想される大腸ポリープに関しては、HSPで切除をしています。

 

大きな大腸ポリープの場合は

当クリニックでは、1cm前後の大腸ポリープに関しては積極的に日帰りで切除をして皆様にご帰宅いただいています。2cm程度の大腸ポリープでも、ポリープが存在する部位やポリープの形状によってはその場で切除をすることも可能です。

 

2cm以上の大腸ポリープや出血のリスクが高いと予想される大腸ポリープをクリニックで無理をして切除した場合には、ご自宅に帰宅後に出血をきたすことが稀にあります。このような場合には、緊急で止血の処置が必要となることがあります。とくに夜間などの場合には、クリニックは閉じていますので、ご自身で病院をさがしたり救急車を呼んだり、というようなご負担が出てきます。当クリニックの場合は、大腸ポリープ切除後の患者さんには直通で通じる電話回線を用意しており、夜間でも関連病院などで対応することが可能となってはいます。それでも出血のリスクが高いことが予想される大腸ポリープに関しては、日帰りではなく入院での切除を推奨しています。安全に治療を受けていただきたいと考えております。

 

出血のリスクが高い大腸ポリープや患者さんの持病・内服しているお薬によっては、入院での切除が必要となることがあります。その場合には、当クリニックの医師が所属している関連の病院で入院していただき、大腸ポリープを切除することをお勧めしています。関連病院では、当クリニックの担当医が治療を行っていますので安心して治療に望めます。

 

入院での大腸ポリープ切除はどのようなもの

入院での大腸ポリープ切除は、基本的には1泊入院で行います。入院した日に大腸の前処置をしていただき、その日に大腸ポリープを切除をします。1日様子をみて翌日出血が無いことを確認してから退院となります。切除後の最初の24時間以内が出血のリスクが一番高いと言われています。そのため1泊は入院で経過を見るということが非常に大事です。切除した大腸ポリープの大きさや持病・内服しているお薬によっては2泊や3泊になることもありますのでご留意ください。

 

以上が「日帰り大腸ポリープ切除(大腸ポリペクトミー)について」を解説いたしました。最後までお付き合いいただきありがとうございました。大腸ポリペクトミーについてご質問のある患者様に関しましては、担当の外来医師にご気軽にご相談ください。

 

Lazarus R et al. The risk of metachronous neoplasia in patients with serrated adenoma. Am J Clin Pathol 2005; 123: 349-59.

 

※2022年2月10日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2022年5月6日に再度公開しました。

 

医療法人社団尚視会 理事長 原田英明

・日本消化器内視鏡学会 専門医 指導医

・日本消化器病学会 専門医

・米国消化器内視鏡学会 国際会員

・欧州消化器内視鏡学会 国際会員

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