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おしりからの出血(血便)がでた場合には、なぜ大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が必要なのか?

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皆様こんにちは、尚視会理事長・内視鏡専門医の原田です。

 

今回は、「おしりからの出血(血便)がでた場合には、なぜ大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が必要なのか?」について解説したいと思います。

 

 

当クリニックでも毎日おしりからの出血である血便を訴えて来院される方がいらっしゃいます。その多くの方は、鮮やかな血液が排便時に付着していたという訴えが多いです。この場合には、痔(肛門部の血管の腫れ)からの出血によるものが多いです。赤黒い血の場合には、腫瘍やポリープからの出血などが疑われます。粘液が混じった血便の場合には、炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎が疑われます。血便といっても多種多様なご病気であることがあります。ご病気によっては正確な診断をしなければ命に関わることもあるため、専門の消化器外来で診察を受けて適切な検査が必要となります。問診や診察からある程度どのようなご病気を疑われるのかは分かりますが、正確に診断を行うとなると大腸内視鏡検査が必要となります。内視鏡で直接大腸内を隈なく観察することで、血便の原因を探る必要があります。血便がでたら、痔からの出血と自己判断せずに大腸内視鏡検査を受けることが肝要です。

 

一番気になるのはやはり大腸がん・大腸ポリープ

大腸のご病気で皆様が気になるのは、やはり大腸がんや大腸ポリープだと思います。当クリニックでも血便症状で受診される患者さん達は、「大腸がんや大腸ポリープが心配です」ということで受診されます。とくに大腸がんは若年化といって30代や40代などでもみられるようになっており、自分は若いから大丈夫と思わずに専門の消化器外来でご相談いただくことが大事です。

大腸がんや大腸ポリープは、ある程度大きくなり肛門に近くに存在する場合にははっきりと肉眼で出血していることが分かることもありますが、大腸の奥の盲腸の近くに存在する場合には大量に出血をしないと便に血が混ざっていることを確認できないこともあります。また、大腸がんや大腸ポリープからの出血は、毎回必ず血便がでるということもないため、少しでも異常がある場合には、専門の消化器外来でご相談いただく必要があります。

 

血便を認めた場合には?

血便が見られた場合には、消化器の専門外を受診してください。診察を受けるにあたり血便を写メで撮影して医師や看護師にみせると診察がスムーズです。たまに血便自体をビニール袋に入れてこられる方もいらっしゃいますが、持ってくるのは大変ですのでスマートフォンの写メで大丈夫です。

血便が肉眼で確認された場合は、大腸内視鏡検査を行い大腸がんや大腸ポリープが無いかどうかを直接スコープで見ます。大腸ポリープがあった場合には、その場で切除をすることが可能です。大きい大腸ポリープの場合には、その場で切除をすることはできませんので後日入院をしていただき切除をします。大腸がんが見つかった場合には、早期のものなのか進行性のものなのかなどを観察して必要であれば組織生検を行いがんの確定診断を行います。早期の大腸がんの場合には、組織生検をすると内視鏡治療に影響がでることもあるため観察だけで終えることもあります。

 

先ほどご説明したように大腸がんに関しては、以前はある程度お年を召された御高齢の方がなるご病気と言われていましたが、最近は若年化しており40代の方でも大腸がんが見つかるようになっています。また、女性のがん死は、乳がんでも子宮がんでも無く、大腸がんが1位となっています。乳がんはピンクリボンキャンペーンなどで啓発運動がうまくいっており広く検診などで対策が行われていますが、大腸がん対策に関しては改善の余地が大きくあります。40代以降で血便があった方や便通異常・慢性成人疾患(糖尿病など)・親族に大腸がんの方がいるなどに当てはまる方は一度大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることをお勧めします。

 

潰瘍性大腸炎の血便

20代・30代といった若い方の血便の場合には、潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患(IBD)が見つかることがあります。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こりびらんや潰瘍などもみられることがあります。内視鏡検査で見られる所見は特徴的で比較的容易に診断が可能ですが、診断を確定させるためには組織生検で潰瘍性大腸炎に特徴的な所見を認める必要があります。潰瘍性大腸炎の血便は、粘液が混じったもので粘血便と言われる血便や血性下痢といって下痢状の便に血が混ざることがあります。診察時に、血便の性状についてお話を聞きますと潰瘍性大腸炎の疑いがあることがおおよそ分かります。潰瘍性大腸炎の疑いがある方は、必ず大腸内視鏡検査をして確定診断をする必要があります。

 

女性に多い虚血性大腸炎

女性でみられることが多いご病気としては虚血性大腸炎があります(男性でもみられることがあります)。中年の女性で多いと言われていますが比較的若い方でも起こることがあります。虚血性大腸炎では血便がみられます。虚血性大腸炎では、突然の腹痛および下痢に伴い真っ赤な血便がでます。基本的には一時的な出血で終わることが多く、治療も経過を見るだけの良性のご病気です。中には重症化する方もいるため経過観察は必要です。虚血性大腸炎が疑われる場合でも他の疾患と鑑別が難しい場合には、やはり大腸内視鏡検査をすることがあります。

 

高齢者に多い憩室出血

大腸憩室(だいちょうけいしつ)は、大腸の壁にできる袋状の“へっこみ”のことを言います。大腸の壁には血管が存在しますが、大腸の壁の筋層と言って筋肉でできている部分を血管が貫いている血管貫通部というところは構造的に弱い部分となってしまいます。そのため大腸内の圧が高くなったりすると、この弱くなった部分が外側に飛び出てしまい袋状の“へっこみ”となってしまいます。袋状の“へっこみ”となった部分は非常に薄く壁が薄いため、炎症などが起こると粘膜が損傷し粘膜の下の血管が飛び出て出血をすることがあります。これが憩室出血と言われるものです。憩室出血は、多くの場合自然に出血が止まることが多いですが、大量に出血をすることもあり内視鏡での止血や輸血が必要となることもある高齢者に多いご病気です。とくに抗血栓薬(バイアスピリン、クロピドグレル、ワーファリンなど)を内服している方で大腸に憩室がある方に起こりやすいご病気です。

 

高齢の方や肝臓が悪い方に起こる血便

高齢者や肝硬変などの肝臓疾患に方に起こりやすいのが血管拡張症というご病気です。大腸の粘膜の毛細血管が拡張してしまい、そこから出血をすることがあります。大量に出血をすることもあり血便として認識できることもあります。とくに抗血栓薬(バイアスピリン、クロピドグレル、ワーファリンなど)を内服している方で血管拡張症が大腸に存在する方に起こりやすいです。このご病気の場合、出血で気づくことができればいいのですが、知らず知らずのうちに出血をしていて貧血が進んでしまうといったこともあります。

 

以上のように血便にも様々なご病気があります。血便が見られた場合には放置せずに適切な医療機関に受診をして適切な検査を受けていただくことが必要です。当クリニックでは、当日の大腸内視鏡検査のご予約も可能です。症状にお困りで緊急の際には、電話をしていただくかWebで外来予約をしていただき直接来院していただけますと幸いです。

 

今回は「おしりからの出血(血便)がでた場合には、なぜ大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が必要なのか?」について説明しました。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

※2021年9月19日に公開したブログ記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2022年4月27日に再度公開しました。

 

医療法人社団尚視会 理事長 原田英明

・日本消化器内視鏡学会 専門医 指導医

・日本消化器病学会 専門医

・米国消化器内視鏡学会 国際会員

・欧州消化器内視鏡学会 国際会員

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