逆流性食道炎の原因とは?治療の最新情報を交えて専門医が解説

胸やけ

1500万人の日本人が悩んでいると言われる胸焼け症状、それって逆流性食道炎というご病気なんです。

逆流性食道炎は、日々の生活習慣(食事・喫煙・飲酒・運動不足・睡眠サイクル)に関係していると言われ生活習慣の見直しが必要となるご病気です。逆流性食道炎が疑われた場合には、適切な治療を受けるために専門の医療機関で検査・診断が必要となります。

検査は胃カメラを受けて、逆流性食道炎の重症度を確認することが大事です。重症度によって治療の方針が変わります。治療は胃酸を抑えるお薬、PPIやP-CABを内服することが基本となります。お薬で効果がない場合には、治療のアプローチが変わることもあります。

今回は、逆流性食道炎の最新の情報を交えつつ、その診断方法・治療・対策について解説したいと思います。この記事を読むことで、逆流性食道炎と診断されたとしても安心して検査・治療に臨める準備ができるかと思います。ぜひお読みください。

1章、逆流性食道炎を医師が解説

1-1、逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは、胃酸などの胃内容物が食道に逆流することで胸焼けや呑酸(どんさん)*といった症状があり、食道の粘膜にびらんや潰瘍などの所見があるご病気のことを言います。

逆流性食道炎は、びらん性GERD(ガード)とも呼ばれています。GERDとは、gastro-esophageal reflux diseaseの略です。GERDは、以下の2つに分けられます。

・びらん性GERD
・非びらん性GERD

非びらん性GERDは、胸焼け症状などはあるものの食道の粘膜にびらんや潰瘍などの粘膜傷害がみられないご病気で、NERD(non-erosive reflux disease)とも言われます。NERDでは、胃酸などの逆流の程度は軽いにもかかわらず症状が強いことが多いと言われ食道知覚過敏が病態の一つと考えられています。

*呑酸:胃酸が口の中まで逆流してのどや口の中に酸っぱいものが上がることを言う。

GERDのまとめ

1-2、逆流性食道炎を引き起こす3つの要素

逆流性食道炎を引き起こすのには、以下のような3つの重要な要素があります。

①食道内の酸クリアランスの低下
②LES圧の低下
③腹圧の上昇

以上の3つが逆流性食道炎の主な要素となります。一つ一つ解説していきたいと思います。

①食道内の酸クリアランスの低下

食道の壁は筋肉でできており食べ物が食道内に入ってくると蠕動運動と言って食道が動くことで食べ物を胃に送り込みます。逆流性食道炎の患者さんでは、この食道の蠕動運動の機能が低下していると言われています。そのため食道内に逆流した内容物や胃酸を送り出す力が低下していると言えます。これが酸クリアランスの低下ということです。

②LES圧の低下

LESとは下部食道括約筋(LES;lower esophageal sphincter)のことを言い、胃と食道の境目にある筋肉で胃から食道への胃内容物や胃酸の逆流を防ぐ役割をしているものです。このLESの機能が低下すると食道内に逆流が起こります。

③腹圧の上昇

お腹に力を入れるというような状態、腹圧が高いとこれも逆流性食道炎の主な要素の一つです。前かがみや食後にお腹に力を入れるようなことや激しい運動などをすると逆流しやすくなります。

1-3、日本人のおよそ10人に1人が悩む病気

逆流性食道炎は、日本人のおおよそ10人に1人が悩むご病気です。逆流性食道炎は、20~30年前は非常に増加していたご病気ですが、最近の増加率はゆるやかになっています。逆流性食道炎が悪化すると食道から出血し貧血の原因になったり、ひどくなると狭窄といって食道が狭くなり食事の通りが悪くなってしまうこともあります。

逆流性食道炎と診断され治療をせずに放置しておくと日常の生活に支障が出てきますので適切な対応が必要となります。

2章、逆流性食道炎の原因は?

逆流性食道炎は、胃酸や胃内容物が食道に逆流することで起こる病気で、その病態は非常に複雑なものです。そのため、一概にこれが原因ですというのは難しいですが、原因となり得るものは大きく分けて2つに分かれています。

①逆流性食道炎そのものに関連する因子

・主なもの:食道裂孔ヘルニア、BMI高値、肥満、ピロリ菌未感染、猫背など
・その他:男性、メタボリックシンドローム、喫煙、アルコール、高齢など

②逆流性食道炎の症状(胸焼け症状)に関連する因子

・体重増加、肥満、高脂肪食、辛い物、甘い物、カフェイン、食べ過ぎ、遅い夕食

これらを原因として胃において大量の胃酸が分泌されて食道内に胃酸が逆流することで食道の粘膜にびらん・潰瘍などができます。この食道の粘膜にびらん・潰瘍ができることを食道粘膜傷害と呼びます。よく食道粘膜障害が間違えられることがありますが、「傷害」です。粘膜に傷が付くということです。

また、上記以外でも普段飲んでいる薬が原因で逆流性食道炎になることもあります。血圧を下げるお薬でカルシウム拮抗薬(アムロジン、ノルバスク、コニールなど)、コレステロールを下げるお薬でスタチン(メバロチン、リピトールなど)は逆流性食道炎の原因になると言われています。

以上をまとめると

逆流性食道炎の因子胸焼け症状の因子
食道裂孔ヘルニア
BMI高値
肥満
ピロリ菌未感染
猫背
男性
メタボリックシンドローム
喫煙
アルコール
高齢
薬(カルシウム拮抗薬など)
体重増加
肥満
高脂肪食
辛い物
甘い物
カフェイン
食べ過ぎ
遅い夕食

以上のようなものが原因となり逆流性食道炎・胸焼け症状が起こります。これらをみると、日常の生活習慣の影響を強く受けていることが分かります。そのため逆流性食道炎は、生活習慣の改善を行うことが極めて重要な疾患と考えられています。

3章、逆流性食道炎を予防するためには胸焼け症状自体の理解も大切

実際にどのように逆流性食道炎の症状を人体は感じているのでしょうか?

食道では、熱いものや冷たいもの・酸やアルカリなどの化学物質・大きなものを飲み込んだりすると痛みを感じます。食道での痛みを感じるのは、迷走神経系と脊髄神経系という2つの経路によって脳に刺激が伝わることで痛みとして感じると言われています。ただしこの2つの知覚に関しては、いまだに未知の部分もあり今後の研究が待たれるところです。

3-1、胸焼け症状のメカニズムとは

胸焼けのメカニズムに関してはいまだに解明されていないのが現状。

一昔前は、「しみこみ説」という説が有力でした。「しみこみ説」とは、逆流性食道炎患者さんの炎症部分(粘膜傷害)に直接的に胃酸が刺激を与えることで胸焼け症状がでると考えられていました。しかしながら食道に炎症(粘膜傷害)が無い方でも胸焼け症状を感じることがあるため「しみこみ説」は矛盾した説であると考えられるようになっています。

現在では、サイトカインを含む炎症性のメディエーターを介しての症状出現の説が有力となっています。この炎症性メディエーターは、リンパ球・好酸球・好中球といった炎症細胞から放出される化学物質です。炎症細胞が多いほど炎症性メディエーターも多く放出されます。胸焼け症状がある方の場合、粘膜傷害の有無にかかわらず食道粘膜に炎症細胞の増加が見られると報告されています。

3-2、胸焼け症状に関係するTRPV1とプロスタグランジンE2とは?

最近では、TRPV1(一過性受容体電位型イオンチャンネル)という痛みに関係する消化管に存在する受容体やプロスタグランジンE2という炎症性メディエーターが注目されています。

TRPV1は、痛みをもたらす食べ物や熱などにより活性化され痛みを感じる原因の一つではないかと言われています。TRPV1は、もともとカプサイシン受容体とも言われるものでした。カプサイシンとは、唐辛子に含まれる成分の1つです。カプサイシンを食道に注入すると胸焼け症状が引き起こされるのですが、これは胃酸による影響ではなく炎症性メディエーターがTRPV1を活性化させて痛みを引き起こすのではないかと報告されています。

胸焼け症状が強い方では、食道の粘膜にプロスタグランジンE2の産生が増加すると報告されています。胸焼け症状がある方が消炎鎮痛剤(NSAIDs)を内服すると胸やけ症状が緩和します。これは、NSAIDsがプロスタグランジンE2の産生を抑制するためと言われています。

以上のように胸焼け症状が起こるメカニズムは複雑で、単に胃酸による原因と単純にいうことはできません。現在では基本的に胸焼け症状の治療は胃酸を抑えることですが、胸焼け症状のメカニズムを考えると治療法が変わっていく可能性があります。

3-3、アシッド・ポケット(acid pocket)とは?

皆さんはアシッド・ポケットという言葉をご存じでしょうか?逆流性食道炎に関係するアシッド・ポケット、日本語に訳すと「酸のポケット」です。

食事を口から食べると食道を通過して胃に入って、胃の中に留まり消化されます。胃の中では、食事は粥状の消化物になりますが、その胃の中の食事の上方にできる胃酸の層のことをアシッド・ポケットと言います。つまりアシッド・ポケットは、胃の上の方の上澄みの部分に溜まる胃酸なのです。そのためアシッド・ポケットは、食道に近い位置にできるということになります。

上の図のように赤枠のように上方部分が、まさにアシッド・ポケットなのです。アシッド・ポケットは、下の方の粥状の消化物と比べ酸性度が高い(約pH1.6)ため食道内に逆流をすると食道の粘膜傷害が起こります。特に食道裂孔ヘルニアをお持ちの方は、アシッド・ポケットの酸が食道内に逆流しやすいと言われており注意が必要と言われています。

逆流性食道炎と診断された方は食後にすぐに横になったり就寝しないようにと注意をされると思います。食後に横になるとアシッド・ポケットの酸が逆流してしまうため胸焼け症状や呑酸が起こる可能性があります。食後にはアシッド・ポケットができていると意識してすぐに横にならないことが大切です。

食後3時間以内に就寝をした場合と4時間以上開けて就寝した場合を比較したところ、食道への胃酸の逆流が3時間以内の就寝の方が多かったというデータがあります。胃の消化時間は、食事内容にもよりますが2~5時間と言われています。そのため出来るだけ時間を空けて胃の内容物が小腸に送られた後に就寝することが大事です。

4章、逆流性食道炎の検査・診断は?胃カメラは受けるべき?

逆流性食道炎が疑われた場合には、まずは専門外来で診察を受けて必要に応じて胃内視鏡検査(胃カメラ)受けることが大切です。

4-1、胸焼け・呑酸があればまずは診察を

胸焼け症状や呑酸などがあればまずは消化器専門の外来受診が必要です。医師の診察を受けて症状が逆流性食道炎に関するものなのかどうかを確認することが大事です。

実は逆流性食道炎による症状と考えていたものが心臓や肺などのご病気から来ていることもありますので、消化器専門の医師の診察を受けていただくことが診断への第一歩となります。

4-2、逆流性食道炎の診断に必要な胃カメラ

診察を受けて逆流性食道炎の可能性が高いと診断された場合は、胃カメラを受けることが大事。

胃カメラでは、直接食道の粘膜を見ることで軽症・中等症・重症の判定をすることができます。逆流性食道炎では、食道の一番奥の下部食道を中心に粘膜傷害(びらん・潰瘍)ができます。この粘膜傷害の程度を胃カメラで判断して軽症・中等症・重症と判断します。

この粘膜傷害の重症度分類をロサンゼルス分類と呼んでいます。ロサンゼルス分類は、1994年にロサンゼルスで行われた世界消化器病学会で紹介された逆流性食道炎の分類としてその名が命名されました。

4-3、実際の逆流性食道炎の画像

日本では改訂ロサンゼルス分類 (星原分類) という分類が使われており、逆流症状を認めるものの内視鏡的には粘膜傷害を認めないものを、非びらん性胃食道逆流症 (non-erosive reflux disease; NERD)としています。内視鏡的にはGrade Nとされます。

食道胃接合部 (esophago-gastric junction; EGJ)に粘膜の肥厚・白濁・発赤などの微小な変化を認めるものをGrade Mとしています。MBとは粘膜傷害(mucosal break)の略になります。下記の写真のようにGradeがAからDの順にMB(粘膜傷害)の程度が重症化しています(画像が苦手な方はご注意ください)。

粘膜傷害の程度によって治療の方針が変わってくるため胃カメラを受けることは非常に大事です。ロサンゼルス分類のグレードC・Dなどの重症の逆流性食道炎の場合、出血や狭窄などの合併症が起こる可能性が高いため速やかに胃酸の分泌を抑える必要があります。

胃カメラの情報によりお薬の選択や食事指導などに差が出てきますので検査は必ず医師の指示のもと受けるようにしましょう。

5章、逆流性食道炎の治療は?

5-1、逆流性食道炎の治療

逆流性食道炎の治療法は、お薬による内服治療が主体。

なぜなら逆流性食道炎を治療するためには、胃酸の分泌を抑制する必要があり、胃酸分泌の抑制をする方法としてお薬での治療が有効だからです。

具体的に解説すると、

逆流性食道炎において重要になってくるのは、以下2つの症状の改善です。

①胸焼け症状の改善
②食道粘膜傷害の改善

この2つの胸焼け症状と食道粘膜傷害の治療は、胃酸の分泌を抑えることで以下のお薬が有効となっています。

・H2RA(ガスター®など)
・PPI(パリエット®、ネキシウム®、タケプロン®など)
・P-CAB(タケキャブ®)

重症度によってお薬の選択が変わってはきますが、逆流性食道炎の治療薬としてはPPIないしP-CABが選択されます。軽症・中等症の場合はPPIないしP-CABが選択されますが、重症の場合はP-CABが選択されることが多いです。P-CABはPPIと比べ投与当日から十分な胃酸の分泌抑制があるため即効性があるお薬と言われています。P-CABはPPIと比べより強力に胃酸を抑制すると言われています。

H2RAは、PPIとP-CABがアレルギーなどで使用できない場合には選択されることがあります。

PPIやP-CABは通常4~8週間投与して治療の効果を判定します。PPIやP-CABで胸焼け症状などの改善が認められない場合には、モサプリド(ガスモチン®)やアコチアミド(アコファイド®)、漢方薬である六君子湯などを追加で投与することもあります。

患者さんによっては、症状が長引き長期の内服治療が必要になる方もいます。逆流性食道炎は日常の生活の質(QOL)の低下に直接影響するご病気ですので、内服治療を継続して症状を抑えることが重要です。ただし長期の内服治療による副作用は見逃すことはできません。

PPIやP-CABの長期の服用は、下記のような慢性合併症を引き起こす可能性があります。

・腎機能障害
・認知症
・骨粗鬆症
・偽膜性大腸炎
・ビタミンB12欠乏性貧血
・胃底腺ポリープ
・カルチノイド腫瘍発生

そのため長期の服用の際には、症状に応じてできるだけ最小限の量と日数を内服するのが良いと言われています。P-CABでの治療では、オンデマンド療法といって症状がある期間だけ内服をする治療法が有効であると言われています。医療経済的にも大事なこととなりますのでぜひ下記の記事に書かれているオンデマンド療法についてもご参考にしてください。

逆流性食道炎の治し方とは?症状・初期治療やお薬について専門医が解説

5-2、治療期間はどのくらいか

治療の期間は症状の重症度によって変わります。

①軽症の治療

軽症の逆流性食道炎の内服治療は、初期治療として基本的に4~8週間行います。PPIとP-CABではその初期治療期間の長さが異なります。

・8週間―PPI(パリエット®、ネキシウム®、タケプロン®など)
・4週間―P-CAB(タケキャブ®)

4~8週内服治療を行い、治療の効果を判定します。内服治療に効果が見られなかった場合には、薬剤(他のPPIやP-CABに)を変更して再度治療の効果を見ます。症状の改善や内視鏡の所見の改善があった場合で、維持療法が必要であれば引き続き内服治療を継続します。維持療法は、「再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎」の場合に保険の適応があります。担当の医師と相談の上で維持療法の継続の判断となります。

②重症の治療

重症の逆流性食道炎の場合はP-CABが選択されます。その初期治療期間は、

・4週間―P-CAB(タケキャブ®)

4週内服治療を行い、治療の効果を判定します。内服治療に効果が見られなかった場合には、8週間まで治療期間を延長したり、多剤を併用して再度治療の効果を見ます。症状の改善や内視鏡の所見の改善があった場合で、維持療法が必要であれば引き続き内服治療を継続します。維持療法は、「再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎」の場合に保険の適応があります。担当の医師と相談の上で維持療法の継続の判断となります。

5-3、治療の費用について

治療の費用についてのまとめは以下のようになっています。

3割負担の場合:

・初診で診察及び処方を受けた場合:1,100円程度+薬代
・初診で診察・処方・採血を受けた場合:2,400~3,500円程度+薬代
・初診で診察・処方・採血・胃カメラを受けた場合:7,400~13,500円程度+薬代

では、治療の内訳を解説していきたいと思います。

逆流性食道炎の治療には、診察料・処方料・薬代の費用がかかります。検査をした場合には、採血・胃カメラの費用がかかります。

大まかですが、薬代を含むと以下のような費用がかかります(3割負担の場合)。

・診察料・処方料・薬代を合わせた場合:約5000円
・診察料・処方料・薬代・採血・胃カメラを合わせた場合:約1万円

それぞれの費用について解説していきます。

まずは、診察料についてお話します。医療機関で診察を受ける場合には、初診料がかかります。初診料は、288点(2,880円)かかります。通常の3割負担の場合には、860円がかかります。最初から200床以上の病院を受診する場合で、紹介状が無い場合5,000円の特別料金が別個に請求されることがあるため注意が必要です(当院はクリニックですので請求されません)。

お薬の処方料は、68点(680円)がかかります。逆流性食道炎の場合には特定疾患管理加算が18点(180円)追加でかかります。

お薬(PPI、P-CAB)それぞれの薬価は下記のようになっています。

タケプロン®15mg 1錠 67.5円(1週間分 472.5円)
タケプロン®30mg 1錠 118.2円 (1週間分 827.4円)
パリエット®10mg 1錠 90円 (1週間分 630円)
パリエット®20mg 1錠 169.2円 (1週間分 1,184.4円)
ネキシウム®10mg 1カプセル 66.9円 (1週間分 468.3円)
ネキシウム®20mg  1カプセル 116.2円 (1週間分 813.4円)
タケキャブ®10mg 1錠 131.4円 (1週間分 919.8円)
タケキャブ®20mg 1錠 197.4円 (1週間分 1,381.8)

P-CAB(タケキャブ®)は他のPPIより薬価が高くなっていますが、逆流性食道炎の維持療法ではオンデマンド療法と言って症状が出たときのみ内服するという内服治療が選択できます。そのため経済的には、他の薬剤と変わらない可能性があります。

P-CABのオンデマンド療法に関しては下記の記事をご参照ください。

逆流性食道炎の治し方とは?症状・初期治療やお薬について専門医が解説

採血検査が必要な場合には、採血をします。採血料は採取する項目にもよって変わりますが、おおよそ422点~811点(4,220円~8,110円)となります。通常の3割負担の場合には、1,270~2,430円となります。

胃カメラを行う場合は、1,140点(11,400円)かかります。通常の3割負担で3,420円が胃カメラの費用となります。胃カメラの費用はその他に薬剤、病理検査料、そして加算と言われるものがかかります。胃カメラの費用は、3割負担で5,000~10,000円程度かかります

*施設によっては、使用する薬剤などにより費用が前後する可能性がありますのでご留意ください。

6章、逆流性食道炎に関するよくある質問

Q1、逆流性食道炎かもと思ったら

自分がもし逆流性食道炎ではないかと思ったらまずは下記を実施してください。

・食べ過ぎない
・飲み過ぎない(アルコール)
・食後すぐに横にならない
・辛い物を控える
・甘いものを控える
・油分の多い食事を控える
・早食いをせずゆっくりとよく噛んで食べる
・タバコを止める
・ストレスを避ける

上記を実施して、後日消化器専門外来を受診するようにしてください。専門外来を受診して検査を行い逆流性食道炎と診断されれば、薬物治療を開始して症状が改善してきます。逆流性食道炎では、その後の生活習慣の改善が大事です。

ご自身の食事内容・飲酒・喫煙・睡眠サイクルなどの生活習慣を見直すことでご病気の治りが早くなります。生活習慣の改善を伴わない場合には、長期の薬物治療が必要となることもあり身体的にも経済的にも負担が出てきます。

逆流性食道炎では肥満の方に起こりやすいご病気ですので食事制限・ダイエットや運動療法もなども効果的です。運動療法は、週1回以上の有酸素運動(ランニング、水泳、エアロビクスなど)が逆流性食道炎の発症リスクを下げると言われています。

反対に激しい運動や筋トレなどは、逆流性食道炎の誘発の因子になるとも言われています。ご自身に合った無理のない範囲で長期に続けることが出来る運動を心がけることが大事です。

Q2、治療に効果がない場合はどうすればいいの?

逆流性食道炎で薬物治療(胃酸分泌抑制療法)を受けた約3割の人が胸焼け症状の改善がないというデータがあります。この3割の方は、従来の胃酸を抑えるという治療薬では症状が良くならないということですので、異なる治療のアプローチが必要となると考えられます。下記のようなアプローチを摂ることが大事です。

①生活習慣の再度の見直し
②お薬の増量・追加や内服のタイミングの変更

それぞれについて解説したいと思います。

①生活習慣の再度の見直し

逆流性食道炎では食事・飲酒・喫煙・睡眠サイクル・運動などの生活習慣の見直しが最も大事なことです。治療を受けて生活習慣を見直しても症状の改善が見られないという方もいるのではないかと思いますが、本当に生活習慣の見直しが出来ているのでしょうか?

「辛い物は控えるようにしたが甘いものは良く食べてしまう」「毎日の飲酒はやめたが週に1、2回深酒をしてしまう」「タバコをやめたが実は同居人が吸っていて副流煙を吸い込んでしまう」など改めて生活習慣の改善が必要かどうか、よく考えてみましょう。

医師に相談すると「いろいろと言われるのではないか」ということで相談しづらいということであれば、看護師や栄養士に気軽に相談してみましょう。

②お薬の増量・追加や内服のタイミングの変更

逆流性食道炎ではPPIやP-CABが処方されますが、症状の改善が認められない場合は容量を増加させたり、他のお薬を追加で処方することも必要です。お薬の増量・追加に関しては、担当の医師と相談して決めることが必要となります。

また、PPIは食後に飲むように処方されることが多いですが、一番効果を発揮すると考えられているのが食前30分程度前に内服をすることと言われています。一日中症状があるという方には、1日1回ではなくて、2回投与することで症状をコントロールすることも大事です。

まとめ

今回は、逆流性食道炎について解説しました。逆流性食道炎が疑われた場合には、下記の5つのポイントに気を付けていただくことが大切です。

・逆流性食道炎の原因を理解する
・胸焼け症状や呑酸があれば専門外来を受診する
・胃カメラで食道の状態を確認することが大事
・適切な内服治療を受ける
・生活習慣の見直しをする

以上のポイントを理解し、適切な専門医療機関を受診することが大切です。逆流性食道炎は日々の生活習慣に密接に関係があるため生活習慣の見直しをすることも重要です。本記事を読むことで逆流性食道炎に対する正確な知識および対策となっていただければと思います。

電話での予約は下記より承っています。

※2021年8月18日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2023年3月28日に再度公開しました。

日本消化器病学会. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂版3版).
大島忠之, 三輪洋人. 肥満と胃食道逆流症 日本消化器病学会雑誌 2021; 118: 505-516.
Lee RH, et al : Esophageal Submucosal Injection of Capsaicin but Not Acid Induces Symptoms in Normal Subjects. J Neurogastroenterol Motil 22; 436-443: 2016.
Vaezi MF, et al. Complications of Proton Pump Inhibitor Therapy. Gastroenterology 153 ; 35-48 : 2017.
Kaltenbach T, et al. Are lifestyle measures effective in patients with gastroesophageal reflux disease? An evidence-based approach. Arch Intern Med 166 ; 965-971 : 2006
Kahrilas PJ, et al. The acid pocket: a target for treatment in reflux disease? Am J Gastroenterol. 2013; 108: 1058-64.

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