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大腸ポリープの症状とはどのようなものか?専門医が解説

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「最近便が少しゆるいな・・・下痢もたまにあるし。外食が続いてるせいかな。まぁ、大丈夫だろ・・・」

 

というようなことはないでしょうか?大腸のご病気の場合、症状がでる状態になった場合にはある程度進行した状態となっていることがあります。大腸ポリープや大腸がんなどでは、初期には症状が出ることはほとんどありません。

 

とくに大腸ポリープは、特徴的な症状も進行しないと分からないため、何らかのきっかけやちょっとした症状が出た場合には専門外来での診察や検査を受けることが非常に大切です。

 

大腸ポリープは、進行すると大腸がんになることがあります。その場合には、手術や化学療法などの侵襲の強い治療が必要となることがあります。そのようなことにならないようにこの記事を読んでいただき、大腸ポリープの症状や性質・その検査・治療方法などを理解して、大腸ポリープというご病気からご自身やご家族の身を守れるようにしていただきたいと思います。

 

[目次]

 

 

1章、大腸ポリープの症状とは

 

大腸ポリープの症状には、いくつかの症状を示すことがあります。その症状とは、

 

・慢性的な下痢症状

・血便

 

などが大腸ポリープの症状としてよく言われているものではあります。しかしながら、お腹の症状と大腸ポリープの関係を示したEvidence(根拠)に関しては、あまり報告されていないのが現状なのです。

 

大腸がんに関しては、血便と体重減少という症状に関しては強い因果関係があるとされています。大腸ポリープと症状の関係については、どのようになっているのか解説していきたいと思います。

 

1-1、こんな症状は大腸ポリープ疑う

 

結論から言うと、大腸がんと異なり大腸ポリープに関しては、「これが大腸ポリープの症状だ」というようなものはありません。

 

大腸ポリープに関しては、かなり大きくならないと特徴的な症状が出ることはありません。ある程度の大きさの大腸ポリープの場合には、下記のような症状が出る可能性があります。このような場合には、積極的に大腸カメラを行い大腸ポリープの有無を調べることをお勧めします。

 

 

 

・慢性的な下痢症状

・血便

・排便習慣の変化

・便秘

・腹痛

・体重減少

 

慢性的な下痢症状

 

「慢性的な下痢」症状に関しては大腸ポリープがある可能性があります。「慢性的な下痢」症状が存在する場合には、大腸ポリープの可能性があるというデータも報告されていますので積極的に大腸カメラを受けることをお勧めします。

 

ただし、大腸ポリープがあるから下痢症状が出るというよりも、下痢症状が元々あるような方に大腸ポリープが存在するということもあり得るかもしれません。アルコールの多飲や食生活が乱れている方の場合ですと、下痢症状を呈する方が多い印象があります。そのような方の場合には、大腸ポリープや大腸がんのリスクが高くなります。

 

血便

 

大きなサイズの大腸ポリープが便などに擦れて出血した場合、血便として症状が出ることがあります。ただし大量に出血しないと気付かない可能性が高いです。

 

大きなサイズの大腸ポリープでも大腸の奥の方(盲腸や上行結腸)の出血の場合、血便として認識できない可能性もあります。また、S状結腸や直腸などの肛門に近い方が血便として認識できる可能性が高いです。

 

中くらい以下のサイズの場合には、血便として認識できる出血をすることは稀なため便潜血検査や直接大腸カメラを行う必要があります。

 

「排便習慣の変化」「便秘」「腹痛」「体重減少」は、大腸がんではある程度認められる可能性がある症状です。大腸ポリープでもある程度の大きさなどになると認められる可能性がある症状です。ただし、大腸ポリープで必ず認められるというわけではありません。

 

1-2、大腸ポリープは深刻な病気ではない!

 

大腸ポリープの症状について1-1で話しましたが、大腸ポリープとは深刻な病気なのかと言いますと、一部の特殊な大腸ポリープを除いて「深刻な病気とは言えない」というのが答えです。

 

理由としては、

 

①ほとんどの大腸ポリープは切除すれば根治となる

②ほとんどの大腸ポリープは外来で切除できる

③大きな大腸ポリープでも“がん成分”が混ざっていなければ内視鏡切除で根治となる

④“がん成分”が混ざっている大腸ポリープでも進行していなければ内視鏡切除で根治となる

 

以上のようにほとんどの大腸ポリープは、内視鏡での切除で対応が可能であり「深刻な病気とは言えない」ということになります。

 

ただし、大腸ポリープというご病気は、症状がはっきりとしないことが多いため適切な時期に検査をして早期発見をしない場合には、がん化して進行してしまうことがあります。反対に言うと、進行しないと症状が出ないとも言えます。

 

進行した場合には、内視鏡での治療ができなくなることもあります。進行した場合には、外科手術や化学療法などより侵襲の強い治療が必要になることもあり得ます。

 

できるだけ適切な時期に検査を行い、適切な治療を受けていただくことが大切です。

 

1-3、大きな大腸ポリープは注意が必要

 

大腸ポリープは、進行するとがん化します。大きなサイズの大腸ポリープには、がん成分が混ざっていることがあります。

 

大腸ポリープの大きさが20mm以上の場合には、2割~3割程度の確率で“がん成分”が混ざると言われています。

 

そのため早期に大腸ポリープを発見して、早い段階で大腸ポリープを切除することが望ましいです!

 

*大腸ポリープのサイズとがん化率に関しては、「大腸ポリープってどんな病気で、なぜ切除しなければならないの?」で詳しく解説していますので、参考にしてください。

 

1-4、大腸ポリープの稀な症状

 

大腸ポリープでは稀ですが、粘液性の白い透明な下痢状の便が出ることがあります。これは絨毛腺腫という比較的大きな大腸ポリープが直腸にできることがあります。大きなものだと10cm以上になるポリープです。

 

このようなポリープの場合には、大量の下痢がでるため脱水症状がでたり電解質異常や腎不全などになり命に関わることもあり得ます。

 

粘液性の透明な下痢を認める場合には、早急に大腸カメラで検査が必要です。

 

1-5、ほとんどの大腸ポリープは症状が無い!

 

上記のように大腸ポリープは、ある程度の大きさとなると何らかの症状を呈することがありますが、小さいサイズに関しては基本的に症状が出ることはありません。

 

とくに数mm程度の大きさの大腸ポリープに関しては、症状が出ることはありません。そのため早期の段階で大腸ポリープを切除するためには、がん検診や人間ドックなどで大腸検査を受けてもらう必要があります。

 

以上のように大腸ポリープには特徴的な症状は乏しいためどのような場合に専門の診察や大腸検査を受けなければならないのかが分からないため不安であると思います。

 

2章以下では、大腸ポリープ自体のことを解説しつつどのようなタイミングで大腸検査を受けるべきかを理解していってもらいたいと思います。

 

2章、大腸ポリープとは

 

大腸ポリープは、大腸(直腸~盲腸)にできるキノコ状の突起物です。良性のものもあれば、悪性のものもあり、さらに前がん病変というようなものまで様々なポリープがあります。この章では、大腸ポリープとはどのようなものなのかということについて解説したいと思います。

 

2-1、大腸ポリープの定義

 

大腸ポリープの定義は、「大腸内腔に向かって限局性に隆起する病変で、組織学的には良悪性は問わない」とされています。

 

少し難しいと思いますので、大腸ポリープを噛み砕いて表現すると以下のようになります。

 

大腸の粘膜の表面にできるキノコ状の突起物で、良性でも悪性でも大腸ポリープと呼びます。

 

2-2、大腸ポリープの種類

 

上述のように、大腸ポリープには良性のもの悪性のものなど全ての突起物が含まれるため様々なものがあります。組織学的に分けると以下のようなものがあげられます。

 

・腺腫性ポリープ

・鋸歯状ポリープ

・がん

・炎症性ポリープ

・過誤腫性ポリープ

・リンパ組織性ポリープ

・間質性ポリープ

 

上記のように様々なポリープがありますが、一般的に世の中で言われているポリープとは「腺腫性ポリープ」のことを言います。下記の写真は腺腫性ポリープです。

 

 

 

2-3、大腸ポリープの原因および要因

 

大腸ポリープができる主な原因としては、遺伝子の異常によるとされています。

 

大腸の正常な粘膜に何らかの刺激やストレスが加わることで遺伝子に異常が発生することで、大腸にポリープができると考えられています。大腸ポリープに関係する遺伝子としては、以下のようなものがあります。

 

・APC遺伝子:5番染色体長腕(5q21)に位置する遺伝子。がん抑制遺伝子の一つ。APC遺伝子は、細胞増殖をコントロールすることに重要な役割を果たしていますが、一旦遺伝子に異常が生じると大腸腺腫の発生と大腸がんへの進展を早める可能性があると言われています。

 

・K-ras遺伝子:Ras(ラス)とは、発がんや細胞の増殖に関与するたんぱく質のことをいいます。K-ras(ケーラス)は、12番染色体に位置する遺伝子です。K-ras遺伝子に異常が生じると変異が起こり、異常なRasたんぱく質が作られ大腸がん・膵がん・肺がんなどが発生しやすくなると言われています。大腸ポリープのがん化に関与すると言われている。

 

・p53遺伝子:17番染色体短腕(17p13)に位置する遺伝子。がん抑制遺伝子の一つ。遺伝子異常がp53遺伝子に起こると腫瘍抑制活性を失い発がんやがんの進展に影響を及ぼすと言われています。大腸ポリープのがん化に関与すると言われている。

 

以上のような遺伝子の異常が大腸ポリープと深くかかわりがあるとされていますが、それ以外に下記のような要因が大腸ポリープの発生とかかわりがあるとされています。

 

①生活習慣にかかわる要因

・喫煙(もしくは過去にしていた)

・飲酒(もしくは過去にしていた)

・赤肉(牛肉、豚肉など)をよく食べる

・運動不足

・肥満

 

②病気に関わる要因

・糖尿病

・脂質代謝異常(コレステロール高値)

・NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)

・IBD(炎症性腸疾患)

・ピロリ菌の感染

 

大腸カメラを日常的に行っていますと、上記のような要因で2~3個当てはまるような方には大腸ポリープが必ず発見されると言っても過言ではありません。とくに男性で、喫煙・飲酒・運動不足の方に関しては、糖尿病や脂質代謝異常も併せて見られることも多く、大腸ポリープのリスクとしては非常に高いものと考えられます。

 

喫煙に関しては、大腸ポリープとの因果関係が非常につよく大腸ポリープの1番のリスク因子といっても過言ではありません。過去に喫煙をしていた方もある程度のリスクがあると報告されています。タバコには、発がん物質が大量に含まれているため遺伝子異常をもたらして大腸ポリープの発生に深くかかわっていると言われています。

 

飲酒に関してても大腸ポリープとの深い関係があると言われています。とくに日常的に飲酒をしている方で、喫煙・運動不足・食生活が不規則などが伴う場合には大腸ポリープのリスクが非常に高いと考えられます。

 

NAFLDに関しては、インスリン抵抗性と肥満による炎症が大腸ポリープ発生に関わっていると言われています。

 

ピロリ菌感染に関しては、近年大腸ポリープとの関連があるのではないかと報告されてきていますが、定かな理由に関しては解明されていないのが現状です。

*ピロリ菌について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考にしてください。

「ピロリ菌を除菌するとどうなるの?除菌後の本当の話し」

 

①生活習慣にかかわる要因や②病気に関わる要因に当てはまる方は、必ず45歳前後で大腸カメラを受けていただくことをお勧めします。

 

45歳前後で大腸カメラをお勧めする理由としては、いわゆるライフスタイルの西洋化となっている先進国において50歳以下での大腸がんや大腸ポリープの発生率が増加しているためです。

 

下のグラフは、米国の20-49歳の男女ともに2000年以降の大腸がんの発生率が増加していることを示しています。

 

American Cancer Society, Facts & Figures2017-2019.より抜粋

   米国における20-49歳の大腸発生数の推移

 

この増加は、日本でも同様で現在若年者の大腸がんの増加が見られていると言われています。大腸ポリープに関しても同様に増加が予想されています。

 

3章、大腸ポリープの検査

 

3章では、大腸ポリープの検査について解説したいと思います。

 

3-1、ゴールドスタンダードは大腸カメラ!

 

大腸カメラ検査

 

大腸ポリープの検査のゴールドスタンダードは、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)です。

 

大腸カメラは、直接大腸内を観察することで大腸ポリープの有無を確認することができます。さらに大腸カメラでは、大腸ポリープを発見したらその場で切除することもできるため検査と治療が一気にできる非常に合理的な検査法なのです。

 

また大腸カメラでは、大腸ポリープ(大腸腺腫)を切除することが大腸がんの予防になると言われており非常に重要な検査と考えられています。

 

他の検査方法については後述しますが、その他の検査(便潜血検査・CTコロノグラフィー・大腸カプセル内視鏡など)では直接大腸ポリープを切除することはできません。検査でポリープが疑われる場合には、再度大腸カメラをしないといけないという2度手間がかかります。

 

大腸カメラの前処置

 

大腸カメラを行うためには、大腸前処置と言って下剤を飲んで大腸内をカラの状態にする必要があります。そのためには、下剤を飲まなければなりません。最近では下剤の効果が高い優れたものも出てきていますので、検査当日に下剤を飲んで2~3時間で前処置が済むようになってきました(個人によって効果が異なることがあります)。

 

とは言っても長時間下剤を飲み続ける必要があるため当内視鏡専門クリニックでは、大腸前処置を快適に過ごしてもらうために様々な取り組みをしています。

 

当クリニックで行っている取り組みをご紹介したいと思います。

 

大腸前処置を行う前処置室はプライベート性を重視

 

当クリニックでは、半個室もしくは完全個室(秋葉原・千代田区院 2023年1月開院予定)を用意しており、皆様が快適に大腸前処置をしていただけるようにしています。

 

詳しくは下記をご参照ください。

 

*北千住・足立区院「プライバシーを配慮した半個室」

*秋葉原・千代田区院「完全個室でゆったりと前処置」

 

iPadでリラックス

 

前処置は、短い方でも2時間、長い方ですと数時間かかることがあります。長時間でもリラックスしていただきたいという思いからiPadでAmazon Primeやdマガジンをご用意しており、ドラマ・映画・雑誌などをお楽しみいただけます。

 

男女別のトイレをご用意

 

都心部の内視鏡クリニックだと大腸前処置用のトイレは男女共用というところもありますが、当クリニックでは男女別のトイレをご用意しております。

 

秋葉原・千代田区院では、完全個室のため個人一人一人専用のトイレで他の方を気にすることなくご使用いただけます。

 

3-2、検診では便潜血検査で拾い上げ

 

大腸ポリープの検査としては、便潜血検査もあります。

 

基本的には、便中に血の混じりが無いかどうかを見る検査ですので、ある程度の大きさにならないと大腸ポリープからの出血が無いため検査にひっかかることがありません。

 

検診などで多くの方から一定の人の拾い上げの検査としては有用ですが、便潜血検査自体で大腸ポリープがあるかどうかを確認することは困難です。

 

そのため便潜血検査で陽性であれば当然として大腸カメラで精密検査が必要ですが、便潜血が陰性だったとしても下記のような方に関しては大腸カメラを受けることをお勧めします。

 

・血便や慢性の下痢症状がある

・45歳以上で、お腹に何らかの症状がある

・家族に大腸ポリープや大腸がんの方がいる

・45歳以上で、日常的に喫煙もしくは飲酒をしている

・45歳以上で、糖尿病や脂質代謝異常と診断されている

・以前大腸ポリープや大腸がんの指摘があった方

 

などの方は、大腸ポリープのリスクが高いと考えられるため一度専門外来でご相談いただけますと幸いです。

 

 

*便潜血に関しては、「便潜血陽性の場合には大腸カメラが必須な理由を解説」で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

 

3-3、その他の検査(CTコロノグラフィー・大腸カプセル内視鏡など)

 

大腸ポリープのその他の検査方法としては下記のようなものがあります。

 

・CTコロノグラフィー

・大腸カプセル内視鏡検査

・注腸X線検査

 

それぞれについて解説したいと思います。

 

大腸の検査は、ほとんどが大腸カメラが主流となっています。上記の3つの検査は特殊な状況を除いて行われることが少ない検査ですが、内視鏡検査と異なり医師自ら検査自体を行う必要がないという特徴があります。

 

CTコロノグラフィー

 

CTコロノグラフィーは、大腸の腸管内を3次元的に画像化して大腸内を観察する検査方法です。

 

CTコロノグラフィーでは、大腸カメラと同様に下剤の内服をして大腸内をカラにする必要があります。また、大腸カメラでは検査中に腸管内の残便や下剤が貯留した液体を内視鏡スコープで吸引して腸管をキレイにしながら病変が見つけやすくしていきます。

 

CTコロノグラフィーでは、この残便や液体をキレイにすることができないためタギング(tagging)というヨードやバリウムといった経口造影剤を飲む必要があります。検査前には肛門に管をいれて二酸化炭素を注入することも必要です。

 

大腸カメラより楽だろうと考える方が多いかもしれませんが、現時点でのCTコロノグラフィーと大腸カメラを比べると、大腸カメラで静脈麻酔を使用して無痛で検査を行う方がお勧めできるかと思います。

 

ただし、スコープを腸管に入れられることに抵抗がある方や静脈麻酔をしたくないという方に関しては、選択肢の一つとしても良いかと思います。

 

CTコロノグラフィーの利点と欠点について下記の表にまとめましたので、参考にしてください。

 利点  欠点
 検査が受けやすい 小さな病変に対して精度が悪い 
合併症が少ない 放射線被ばくがある
静脈麻酔の必要がない 組織生検や治療ができない
検査の質が均一  

 

一番気になるのが、CTコロノグラフィーの検査としての精度だと思います。10mm以上の大腸ポリープに関しては、大腸カメラとほぼ同等の検査の精度と言われており、見逃しはほぼ無いと考えられます。

 

5mm以下の大腸ポリープと扁平な大腸ポリープであるLSTに関しては、検査としての精度が低くなると言われています。また、大腸ポリープを発見した場合には、再度検査を行う必要があるため注意が必要です。

 

大腸カプセル内視鏡

 

大腸カプセル内視鏡(colon capsule endoscopy;CCE)は、3cm×1cmほどの小型のカメラが内蔵しているカプセルを口から飲み込んで大腸の検査を行うものです。

 

やはり大腸カメラと同様に大腸の前処置をしなければなりません。下剤を飲んで大腸内をカラにしなければなりませんが、大腸カメラやCTコロノグラフィーなどよりも腸管内をさらにキレイにする必要があります。

 

CCEでは、CTコロノグラフィーと同様に残便や下剤が貯留した液体を吸引してキレイにすることができません。またCTコロノグラフィーでは、タギングという手法がありますが、CCEでは残便や下剤が貯留した液体があると腸管の観察が困難となります。

 

さらにCCEでは、腸管内でのカプセルの進みを良くするためにboosterといって下剤を途中でさらに内服する必要があります。

 

CCEの検査は2日間ほどかかりますが、下剤は通常の大腸カメラの2倍ほど飲むことが想定されます。また、大腸カメラでは結果がその日に分かりますが、CCEでは、すぐに結果がでません。

 

現時点では、CCEと大腸カメラを比べると、静脈麻酔を使用した大腸カメラを受けていただくことを強くお勧めします!

 

注腸X線検査

 

大腸の検査方法として注腸X線検査がありますが、現在では外科手術前の術前の評価法としては行うことがありますが、ほとんどの場合行われることはありません。

 

3-4、検査の費用は?

 

検査の費用についてまとめたものをお見せしたいと思います。保険診療で3割負担の場合(目安)

   費用
 大腸カメラ 3,000~13,000 円 
CTコロノグラフィー 6,000~9,000 円
大腸カプセル内視鏡 30,000~35,000 円
注腸X線検査 5,000 円

 

大腸内視鏡検査の自己負担費用(3割負担の場合)は、おおよそ3,000円~13,000円程度となっています(自己負担率によって変動します)。

 

*大腸内視鏡検査の費用については、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用はいくらかかるの?」で詳しく解説していますのでご参考にしてください。

 

CTコロノグラフィーの自己負担費用(3割負担の場合)は、おおよそ6,000円~9,000円程度となっています(自己負担率によって変動します)。

 

大腸カプセル内視鏡の自己負担費用(3割負担の場合)は、おおよそ30,000円~35,000円程度となっています(自己負担率によって変動します)。他の検査と比べ高額な理由としては、カプセル自体が8万円以上の費用がかかるためです。

 

注腸検査の自己負担費用(3割負担の場合)は、おおよそ5,000円程度となっています(自己負担率によって変動します)。

 

4章、大腸ポリープの治療

 

大腸ポリープは、大腸がんに進行する可能性があります。また、大腸ポリープを切除することで大腸がんの予防になりますので、大腸カメラで発見された大腸ポリープは切除をする必要があります。

 

 

*大腸ポリープの治療の必要性に関しましては、「大腸ポリープってどんな病気で、なぜ切除しなければならないの?」で解説していますので、ご参考にしていただければと思います。

 

大腸ポリープの切除方法には以下のように、CSP、HSP、EMR、ESDなど様々な方法があります。

 

4-1、内視鏡的大腸ポリープ切除術

 

内視鏡的大腸ポリープ切除術には、大きく分けて下記のように2つの方法に分かれます。

 

・CSP(Cold Snare Polypectomy; コールド・スネアー・ポリペクトミー)

・HSP(Hot Snare Polypectomy; ホット・スネアー・ポリペクトミー)

 

CSPは、電流を流さないでスネアーという金属製の輪っかを引っかけて物理的にポリープを切除する方法です。一方、HSPも金属製のスネアーを用いますが、こちらは電流を流して焼き切るという方法です。

 

CSPもHSPも一長一短がありますが、小さな大腸ポリープ(10mm以下)に関しては、出血や穿孔のリスクがほぼないCSPでの治療が主流になってきています。

 

一方、大きなポリープや茎といってポリープの根元の部分が太く大きな血管が想定される場合には、HSPでの切除が望ましいと考えられています。

 

CSPとHSPに関してまとめたので参考にしてください。

   CSP HSP
切除時の電流 不必要  必要
切除できる大きさ 10mm以下 10mm以上も可能
術後出血率 低い 高い
穿孔のリスク ほぼない あり

 

*CSPとHSPについては、「なぜ大腸ポリペクトミー(大腸ポリープ切除)はコールドがいいの?」で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

 

4-2、大きなポリープはEMRないしESDで治療

 

大腸ポリープの茎の無いタイプで大きなものに関しては、CSPやHSPでの切除が難しくなります。そのため、大腸の壁の粘膜下層という部位に局注剤(生理食塩水ないしヒアルロン酸ナトリウム)というものを入れて、粘膜を膨隆させてスネアーや電気メスで切除をする必要があります。

 

大きな大腸ポリープに関しては下記のような治療法があります。

 

・EMR(Endoscopic Mucosal Resection; 内視鏡的粘膜切除術)

・ESD(Endoscopic Submucosal Dissection; 内視鏡的粘膜下層剥離術)

 

EMR、ESDともに大きなポリープを切除する際に選択される治療法です。EMRの場合は、20mm以上のポリープに関しては、一括切除といって全て丸ごと一気に切除することが困難になることがあります。その場合は、分割切除といってポリープをいくつかに分けてスネアーで段階的に分けて切除を行います。

 

分割切除の場合は、再発の率が高くなると言われているためポリープに“がん成分”があると判断される場合には、一括で切除が可能なESDでの切除が望ましいと考えられています。

 

*ESDについては、「大腸がんの治療・大腸ESDってどんな治療なの?」で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

 

4-3、治療の費用は?

 

・大腸ポリープ切除の自己負担費用は、おおよそ7,000円~22,000円程度(自己負担率によって変動します)

 

*大腸ポリープ切除の費用については、「内視鏡的大腸ポリープ切除術(大腸ポリペクトミー)の費用は?」で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

 

大腸ESDの費用は、1回の入院でおよそ40~50万程度かかります。高額医療費が適応されますので、自己負担限度額に関しては所得により異なります。

 

*大腸ESDの費用については、「大腸がんの治療・大腸ESDってどんな治療なの?」で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

 

4-4、治療の期間は?

 

治療の期間に関しては、ポリープのサイズや形、“がん成分”が混ざっていないか、治療方法などで大きく変わってきます。

 

大まかな治療の期間を表でまとめました。

 治療法 入院の期間 
大腸ポリペクトミー 小さなポリープは日帰り治療可
大きなポリープは1泊入が必要 
大腸EMR 1~3泊程度が必要
(ポリープの大きさにより左右する)
大腸ESD 2~5泊程度が必要
(ポリープの大きさにより左右する)

 

上記の入院期間は、あくまで目安です。ポリープの大きさ・存在する位置、併存疾患、常用薬、年齢などによっては入院の期間が長くなることもあります。

 

また、大きなポリープや“がん成分”が混ざった大腸ポリープなどの場合には、術後出血などの合併症のリスクが高くなります。合併症が起こった場合には、入院期間が長くなることもあり得ます。

 

5章、大腸ポリープの症状に関するQ&A

 

Q1、数年前に40代で複数の大腸ポリープを切除しました。その後症状などないため検査を行っていませんでしたが、どうすればいいのでしょうか?

 

若い時に複数の大腸ポリープが見られた方は、注意が必要です。症状が全くないからと言って放置すると危険です。複数個大腸ポリープを治療された方は、定期的な大腸カメラを行うことをお勧めします。

 

複数個大腸ポリープが見られた方は、遺伝子の問題で大腸ポリープが多発していることがあり得ます。遺伝子の異常の場合には多い人で、大腸内に100~1,000個ほどの大腸ポリープが多発することもあります。

 

このようなご病気を「家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis; FAP)」と呼びます。

 

FAPは遺伝性腫瘍であるため、FAPが疑われる場合は遺伝カウンセリングが必要となります。臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーなどによるカウンセリングの元、遺伝学的検査を受けるのかどうかなどを相談していく必要があります。遺伝学的検査は、必ず受けなければならないものではありませんが、血縁者の診断補助や本人の予後の予測などの助けになる可能性があると言われています。

 

大腸ポリープが20個以上認められた方では、FAPの可能性があるため以下のことが必要となります。

 

・家族歴の聴取

・定期的な大腸カメラ

・大腸以外の臓器の検査

 

ご家族で同様に大腸ポリープの多発が無いかどうかの確認が必要です。また、ご家族の大腸の検査もお勧めします。

 

FAPが疑われる場合は、必ず定期的に大腸カメラを行う必要があります。数年放置していたために進行がんになってしまった方などの報告も多々あるため、しっかりと定期的な検査をしていただくことが重要です。

 

FAPでは、他のご病気が合併することも報告されているため全身の検索が必要となることもあります。

 

Q2、普段からお腹が緩くなりがちです。大腸検査は問題ありませんでしたが、なにか大腸ポリープの予防などあるのでしょうか?

 

大腸ポリープの1番の予防は、「運動」と言われています。

 

大腸ポリープの原因として、肥満・糖尿病・脂質代謝異常などが挙げられこれらを予防する運動に関しては、やはり大腸ポリープの1番の予防になると考えられます。大腸がんの予防にもなると言われている運動ですが、大腸ポリープでも予防になると考えられており、定期的な運動がお勧めです。

 

とくに有酸素運動が良いと考えられています。

 

・ウォーキング

・ジョギング

・サイクリング

・水泳

 

などのゆったりと身体を動かして定期的(週2~3回、1回30分~60分程度)に行うことが望ましいと考えられています。

 

その他のものとしては、

 

・食物繊維

・野菜

・果物

・ドライフルーツ

 

などが挙げられます。

 

食物繊維は、予防になるという報告もあればならないという報告もあります。食物繊維が予防にあり得るという報告では、「食物繊維を摂ることで、腸管内の食べ物の通過時間が短縮されるため発がん物質などの腸管への暴露時間が減少する」なではないか、という理由で食物繊維に意義があると考えられています。

 

野菜やフルーツが大腸ポリープのリスクを低下させるという報告も見られます。フルーツがとくに大腸ポリープの予防に関係しているのではないかと言われており、ブルーベリーなどのブドウ類に含まれる抗酸化物質がその予防と強く関係していると考えられています。

 

ただし、大量のフルーツ摂取による過剰な果糖は、高血糖や糖尿病のリスクともなるため適度な量の摂取が望ましいと考えられています。

 

健康食品としてのドライフルーツ

 

ドライフルーツは、健康食品としておやつの代わりに摂取するものとして選択する方も増えてきている食べ物です。ドライフルーツは、聖書にも記載されている古の人々も利用していた保存食として使われていた技術です。

 

一昔前は、ドライフルーツと言えば大量の糖分・ビタミン不足・マイコトキシン(カビ毒)などの影響があり、生のフルーツと比べ不健康と言われていました。しかしながら近年、ドライフルーツにはミネラル・食物繊維・抗酸化物質が多く含まれておりダイエット・体内の炎症・高血糖などの予防に効果があると言われています。

 

抗酸化物質による体内の炎症や高血糖などの予防効果が大腸がんの予防になるのではないかと考えられています。大腸ポリープの予防に関するデータは報告されていませんが、抗酸化物質が含まれていることからある一定の効果があることが予想されてはいます。

 

ドライフルーツは、水分を蒸発させて乾燥しているため生のフルーツより食べやすく、大量に食べると糖分も多く摂取してしまいます。ドライフルーツには、多くの食物繊維が含まれているため通常よりも糖分の吸収は抑えられますが、1日の量は100g(約200kcal)以下にして小分けにして食べるのが理想です。また、ショ糖を使用したドライフルーツは、糖分が多く含まれているため控えた方が望ましいです。

 

*糖尿病やその予備軍と言われている方の場合は、血糖上昇の直接原因となる可能性があるため控えていただくことをお勧めします。

 

まとめ

 

以上、大腸ポリープの症状を中心に検査から治療までを解説しました。本記事読んでいただき大腸ポリープについて理解を深めて適切な検査や治療を受けていただけたら幸いです。

 

以下に大腸ポリープの症状についてまとめました。

 

大腸ポリープの症状には特徴的なものは少ない

大きな大腸ポリープの場合は症状が出ることがある

小さな大腸ポリープは症状がほとんど出ない

「慢性下痢」「血便」は大腸ポリープの可能性がある

45歳前後で大腸カメラを受けることが大事

 

大腸ポリープの症状は、わかりづらいためとくに何も症状が無い方でも45歳になったら大腸カメラを受けることをお勧めします。

 

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記事執筆

医療法人社団尚視会 理事長 原田英明

・日本消化器内視鏡学会 専門医 指導医 https://www.jges.net/medical

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