大腸がんの治療・大腸ESDってどんな治療なの?

内視鏡

医師から「あなたの大腸に“がん”がありました。治療が必要です。」と言われたら、あなたは(ドキっ)「どうすればいいんですか?」と不安でいっぱいになるかと思います。

“がん”と言われると色んなことが頭の中を駆けめぐると思います。家族のこと入院のこと仕事をどうすればいいのかなど。

しかし大腸がんの中でも進行したものから早期のものまで“がん”といっても様々なものがあります。とくに早期の大腸がんであれば入院日数も2泊3日程度で治療を終え退院できることもあります。最近では、早期の大腸がんには、内視鏡での治療で簡便に治療を終えることが出来るようになっています。早期の大腸がんに対する治療法は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という方法で治療を行うことが出来ます。

今回は、ESDについて詳細に解説するのと同時に私たちがESD治療について取り組んでいる最新の治療法についてもご紹介したいと思います。早期の大腸がんの診断された方がこの記事を読むことで安心して治療に向き合うことができるようになってもらいたいと思います。

1-1、大腸ESDとは

大腸ESDとは、大腸の腫瘍に対して行う内視鏡治療のことです。

ESDは、Endoscopic Submucosal Dissection(内視鏡的粘膜下層剥離術)の略になります。

ESDは、消化管の大きな腫瘍(がん、ポリープ)を切除できる内視鏡治療です。もともとは、EMR(Endoscopic Mucosal Resection; 内視鏡的粘膜切除術)という金属製の輪っかで切除する方法を改良して開発された治療法です。

大腸ESDと治療は、従来内視鏡では切除不可能であった腫瘍を内視鏡で切除することを可能にしました。外科手術と比べお腹に穴を開けたり、開腹などすることなく低侵襲で治療が可能となったのです。大腸ESDは、外科手術と比べ全身麻酔の必要もなく入院期間も非常に短くなっています。

ESDは、2009年に先進医療として医療現場に導入され、現在では通常の保険診療として各医療施設で行われている治療法です。大腸の腫瘍のESD治療は、導入当初は出血や穿孔といって大腸に穴が開いてしまう合併症が多い治療法でしたが、現在では技術の向上や新たな道具の開発のおかげで安定した治療が各施設行えるようになっています。

1-2、ESDに使用される電気メス

大腸ESDは、大腸にできた腫瘍(がん、ポリープ)を大きさや形に関係なく内視鏡で切除可能な治療法です。従来のEMRという治療法では、切除が不可能であった腫瘍をESDでは切除することができるようになったのです。

具体的には、下図のような電気メスを使用して腫瘍を剥がして取り除くのがESDという治療です。内視鏡スコープの先端から電気メスを出して、スコープを操作して腫瘍を切除します。

Dual Knife®(オリンパス社)

Flush Knife BT®(フジフィルム社)

1-3、ESDでの腫瘍を切除する方法

この電気メスを使用してどのように腫瘍を切除するかを説明したいと思います。

ESDとは何かというと「粘膜下層(ねんまくかそう)を剥がしていく治療法」という言葉につきます。

消化管の壁は、内側から

「粘膜層(ねんまくそう)」

「粘膜筋板(ねんまくきんばん)」

「粘膜下層」

「固有筋層(こゆうきんそう)」

「漿膜(しょうまく)」

という順にできています。

下の図①の上の方が、粘膜層です。粘膜下層は、上から2番目の薄い粘膜筋板の下の層で、3番目の層になるます。そのため白矢印の黄色っぽい部分が、粘膜下層なのです。この部分を電気メスで剥がしていって腫瘍を取り除くという治療がESDです。

写真②は、実際の粘膜下層の写真です。少し瑞々(みずみず)しい部分が粘膜下層なのです。この粘膜下層内には赤い血管がうっすらと見えています。治療の間は、血管からなるべく出血させないように治療を進めることが重要と考えられています。

写真①(左)②(右):粘膜下層のシェーマおよび実際の粘膜下層

写真③は、実際に電気メスで粘膜下層を焼灼しながら剥がしていっている写真です。粘膜下層の組織を焼いて剥がしていきますので、煙がでます。また粘膜下層にも脂分がありますので、油でレンズ画面が曇ったり電気メスの切れがわるくなったりもします。

写真③:粘膜下層を焼灼中

実際の動画で大腸ESDがどのようなものか下記より確認してください。

1-4、Water-pocket ESD法とは

私たちが行っている治療法「Water-pocket ESD法」をご紹介します。

*Water-pocket ESD法は、我々が開発した治療法です。

Water-pocket法の流れ(左から右へ切除を進めているシェーマ)

上の図は、Water-pocket法の一連の流れをイラストにしたものです。ESDは「粘膜下層」を剥がしている治療だとお話ししましたが、通常は治療時には二酸化炭素を流しながら電気メスで「粘膜下層」を焼き切って腫瘍を切除していくのが一般的です。

私たちは以前より、二酸化炭素を水(生理食塩水)に換えて電気メスを使用する方法に関心を持っていました。もともと、水(生理食塩水)を使用して内視鏡治療を行う方法としては、米国の世界的な内視鏡医 Kenneth F. Binmoeller(ビンメラー医師)がUnderwater EMR法として開発しました。我々もESDにおいて水(生理食塩水)を使用して、安全でスピーディーな治療法が実現できないか当時は毎日のように考えていました(よく夢にまで出ていたのを覚えています)。

Pocket内に水(生理食塩水)を溜める

水(生理食塩水)を溜めてESDを行う方法が当時少しずつではありましたが行われ始めていました。その多くは腸管全体に水(生理食塩水)溜めて、「粘膜下層」を切除していくという方法でした。この方法の場合には、腸管内に毎回比較的多くの水(生理食塩水)を溜めなければならず、出血をした場合には水(生理食塩水)も汚れてしまうため毎回内視鏡スコープで水(生理食塩水)を吸引しないといけないなど煩雑でした。

そこで少量の水(生理食塩水)の使用でも水(生理食塩水)を溜めてESDができないかということを考えて「粘膜下層」にポケットを作成してポケット内に水(生理食塩水)を溜めてしまえば良いのではという単純な考えにたどり着きました。この方法(Water-pocket法)を実際に日々、患者様の治療に導入し行ったところ非常に安定してスピーディーでなおかつ安全に大腸ESDを行うことが出来たのです。

この治療法を論文化して海外の学会(米国・サンディエゴ)で発表したところ世界的な内視鏡医のビンメラー医師に強い関心を持っていただき、来日の際には私の手技の見学に来ていただきました。

ビンメラー先生(左)、私原田(右)

Water-pocket ESD中

Water-pocket法の利点

私たちの治療成績ではWater-pocket法は、非常に優れた治療法であるという治療結果が得られています。どのような点で優れていたかというと、

①水(生理食塩水)中での治療で安全に「粘膜下層」の剥離を実行できる

②治療時間の短縮で身体への負担が少ない

③難しい症例ほど効果が高い

④入院期間が短い

①水(生理食塩水)中での治療で安全に「粘膜下層」の剥離を実行できる

「粘膜下層」の剥離は、安全に行わなければなりません。というのも「粘膜下層」のすぐ下の部分は「筋層」でできておりこの部分を電気メスで傷つけてしまうと穿孔といって穴が開いてしまうからです。穿孔が起こると大腸内の液体が腹腔内に漏れてしまい腹膜炎という重篤な合併症が起こります。腹膜炎が起こると開腹手術が必要となることもあるため慎重に「粘膜下層」の剥離を行うことが大事なのです。

Water-pocket法では、「粘膜下層」を剥離(切除)していく際に下記のような3つ特徴があるため安全に剥離を行うことが出来ます。

・Floating effect(浮遊効果)水浸により、粘膜下層が拡がる

・Optical zoom effect(視覚拡大効果) : 水浸により内視鏡画面の拡大効果がある

・Absorption effect(吸収効果) : 剥離時に生じる煙が水に吸収される

Floating effect(浮遊効果)

通常二酸化炭素などの空気を使用した場合には、腸管に空気が溜まるため腸管がパンパンに張った状態になります。この状態の場合には、切除をしている「粘膜下層」も横に引き伸ばされた状態になるため「粘膜下層」を剥離する切除のラインが判別しづらくなります。一方、水(生理食塩水)を「粘膜下層」のポケット内に溜めた状態にすると、腸管の一部分は水(生理食塩水)の中で浮いたようなイメージとなり、「粘膜下層」の拡がりが見られます。下の写真を参考にしてもらうと、aの空気下での「粘膜下層」と比べbのWater-pocket下では、「粘膜下層」が直接はっきりと認識することができます。

a. 空気下での粘膜下層の写真          b. Water-pocket下での粘膜下層の写真

Optical zoom effect(視覚拡大効果)

視覚拡大効果とは、水中だと目の前が魚眼状に見えるため目の前のものが通常よりもズームが効いた状態で見えます。これは水の屈折率の影響で、水の中の物が実際よりも近くにあるように見えるのと同じことなのです。水の屈折率は1.33倍と言われています。内視鏡の画面上で本当に1.33倍のズームで「粘膜下層」が見えているのかは不明ですが、上のaの写真の粘膜下層も非常に良く見えています。マイルドな拡大された内視鏡画像を見ながら「粘膜下層」の剥離を進めることができるため眼が疲れることもなく安全なおかつスピーディーに治療を進めることができます。

Absorption effect(吸収効果)

「粘膜下層」を電気メスで焼き切り剥離を行っていくと、写真aのように組織の焼灼により煙がでます。組織焼灼による煙の影響で内視鏡の画面が見えづらくなり治療の妨げとなるのです。一方、Water-pocket法の場合、煙は写真bのように発生しません。水(生理食塩水)に煙が吸収され治療の妨げとならないのです。また、組織を焼灼すると焦げが電気メスの金属部分についていきますが、Water-pocket法では、焦げの発生も起こらず、電気メスの切れ味も悪くなることがありません。

a. 空気下での剥離                  b. Water-pocket下での剥離

以上のように、Water-pocket法は通常の空気下でのESDと比べ様々な利点があり、安全でスピーディーに治療を行うことができる治療法なのです。

②治療時間の短縮で身体への負担が少ない

私たちの研究で、Water-pocket法と通常の空気下でESDを比べたものでは、Water-pocket法での治療法が空気下でのESDと比べ有意に治療時間の短縮を認めました。合併症に関しては、ほとんど違いが認められませんでしたが、治療時間の短縮は患者様の身体への負担の軽減につながるものです。治療中の麻酔の総量に関してもWater-pocket法の方が圧倒的に少なく治療を終えることができます。また、術後の腹痛などの訴えはWater-pocket法の方が明らかに少ない印象があります。

Water-pocket法は、空気下でのESDと比べ患者様への身体への負担が少なく治療を終えることが出来るものと考えられます。

③難しい症例ほど効果が高い

大腸ESDでは、治療を行う症例によって簡単な症例、難しい症例というものがあり、一概に全ての患者様が同じような状況ではありません。大腸ESDを困難にさせるものとしては、様々な要素があります。その一番の問題となるのは、「粘膜下層」の線維化というものです。線維化というのは、「粘膜下層」が固くなってしまうことを言います。

通常「粘膜下層」は、線維の1本1本が明瞭に認識できて局注剤(ヒアルロン酸)というものを「粘膜下層」に注入すると瑞々しく見えます。しかしながら、線維化が起こると「粘膜下層」が固くなっているため局注剤を注入することができません。この線維化があると電気メスでどこを剥離していけばいいのかも分からず、さらに電気メスの切れ味も極端に落ちてしまいます。

Water-pocket法ではこの「粘膜下層」の線維化がある場合でも威力を発揮しました。我々のデータでは、Water-pocket法での治療は空気下でのESDと比べ線維化がある症例においても有意に治療時間の短縮を認めることが出来ました。

Water-pocket法は困難な治療症例でも効力があることが分かりました。

④入院期間が短い

我々の施設では、Water-pocket法での入院治療はほとんどが2泊3日での入院治療です。通常大腸ESDの入院に数は、おおむね4~5泊が基本です。我々の施設の場合は、2泊でも問題なく治療を終えご帰宅していただいています。

*大きな腫瘍や他の併存疾患(心臓や肺のご病気)がある場合には、入院期間が長くなることもあります。

以上のようにいいこと尽くめのWater-pocket法をご紹介させていただきました。Water-pocket ESDは当法人の関連病院にて行っています。

通常のESDとWater-pocket ESDの比較

 通常の大腸ESDWater-pocket ESD
Floating effect(浮遊効果)なしあり
Optical zoom effect(視覚拡大効果)なしあり
Absorption effect(吸収効果)なしあり
治療時間普通短い
高度線維化例の治療時間長い短い

Harada H, et al. Saline-pocket endoscopic submucosal dissection for superficial colorectal neoplasms: a randomized controlled trial (with video). Gastrointest Endosc. 2019; 90: 278-87.

Water-pocket ESDの動画

2章、どんな病気に大腸ESDは適応があるの?

2-1、大腸ESDの適応

大腸ESDは、下記のような保険診療として適応があります。

「経内視鏡的に高周波切除器を用いて病変の周囲を全周性に切開し、粘膜下層を剥離することにより、最大径が2cm 以上の早期癌又は最大径が5mm から1㎝までの神経内分泌腫瘍に対して、病変を含む範囲を一括で切除した場合に算定する。ただし、線維化を伴う早期 癌については、最大径が2cm 未満のものに対して実施した場合でも算定できる。」

*「K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術」より抜粋

つまり大腸ESDは、早期の大腸がんで2cm以上のものか、2cm以下でも線維化という粘膜下層が固くなってしまった早期がん、もしくは1cmまでの神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍)に対して適応があります。

要約すると

・2cm以上の早期の大腸がん

・粘膜下層に線維化のある早期の大腸がん(大きさは問わない)

・1cm以下の神経内分泌腫瘍

以上の3つに適応があります。

2-2、早期の大腸がんとは

早期の大腸がんとは、以下のように定義されます。

・がんの浸潤(先進部)が粘膜層もしくは粘膜下層までにとどまるものを早期大腸がんと言う

下の図①(大腸がんの深達度)をみると粘膜層にとどまるTis、粘膜下層にとどまるT1に関しては早期の大腸がんとなりますので大腸ESDの適応となります。それより下の固有筋層にがんが浸潤した場合には大腸ESDの適応となりません。

写真①:大腸がんの深達度の模式図

大腸がんのステージで言うと、ステージ0、ステージⅠが大腸ESDの適応となります。ただし、ステージⅠの中でも大腸ESDの適応となるものとならないものに分けられます。大腸がんの深達度である浸潤が粘膜下層のT1の中でも細かい振り分けがあります。

2-3、深達度T1aとT1bの違い

T1の中でも粘膜下層内で浸潤の深さが1000μm(1mm)あるかないかで大腸ESDの適応の違いがでてきます。粘膜下層内の浸潤が1000μmに達しない大腸がんは、深達度T1aと決められています。浸潤が1000μmを超えるものは、深達度T1bと決められています。T1aとT1bでは全く違う治療となります。

・深達度T1a → 大腸ESD

・深達度T1b → 外科手術

深達度T1aでは、より侵襲の少ない大腸ESDで治療が可能ですが、深達度T1bでは外科手術(腹腔鏡手術・開腹手術)が基本となります。なぜこのような差が出るかというと、粘膜下層内でより深い浸潤があると転移(リンパ節・他臓器)がし易くなるからです。

深達度T1aの大腸がんに関しては、リンパ節転移の確率は非常に低いため大腸ESDで根治が可能です。しかしながら深達度T1b(1000μm以上)になると、リンパ節への転移が10%程度と報告されているため外科での手術を行いリンパ節も一緒に切除する必要があります。

ただし通常の大腸がんの組織型(高分化型大腸がん)で、脈管侵襲・簇出という転移のリスクがない深達度T1bに関してはリンパ節転移が1~2%と報告されています。そのためこのようなT1bの大腸がんに関しては大腸ESDでの切除で対応可能とも考えられてます。

3章、大腸ESDの流れ

この章では大腸ESDの外来や入院にまつわることを解説していきたいと思います。

3-1、大腸ESDの外来から入院まで

早期の大腸がんと診断され大腸ESDによる治療が必要となったら上図のような流れで診療が行われます。まずは、外来にて入院の日程を決めます。この際に再度術前の大腸カメラの必要性などを判断します。場合によっては、本当に内視鏡での切除が可能かどうかなど再度大腸カメラを行う必要があることもあります。また外来で採血検査・CT検査・エコー検査などが必要となることもあります。

入院日程が決まったら入院日に来院してもらいます。たいてい入院日に治療を行うことが多いため当日は午前中に来院もらうことが多いです。来院したら入院手続きを行い部屋に移動してもいます。その後大腸の前処置を行ってもらいます。

3-2、大腸ESDの治療の流れ

大腸ESDを行うためには、大腸カメラと同様に前処置(下剤内服)を行います。2~3時間程度かけて大腸内が空になったのを確認してから治療の準備を行い、内視鏡治療室に移動してもらいます。

治療時の体勢は大腸カメラと同様です。麻酔も静脈麻酔をかけて行います。こちらも大腸カメラの時と同様です。治療の時間に関しては、病変の場所や大きさなどによって大きく変わります。比較的小さくて直腸や上行結腸などの場所にある病変に関してはあまり時間がかかりません(早いものだと10~20分程度)。大きいものでS状結腸や横行結腸などの治療が比較的困難な病変に関しては時間がかかることがあります(長いと数時間かかることもあります)。

3-3、大腸ESDの入院日数

・大腸ESDの最短の入院日数は2泊3日(施設によって違いがあります)

ESD治療が終わったらある程度覚醒を確認して病室に戻ってもらいます。治療当日は食事を摂ることができません。飲水は水であれば摂っていただくことは可能です。

翌日は、出血やお腹の痛みなどが無ければ昼から軽い食事を開始することが出来ます。出血があった場合には、再度大腸カメラで病変からの出血有無を確かめて、出血しているようであれば止血の処置が必要となります。

お腹の痛みを訴えるようであれば、採血検査やCT検査が必要となります。特に問題なく過ごした場合には、翌日には退院となりますので2泊3日が最短での入院期間となります。出血・腹痛などがある場合には退院が延びることがあります。

3-4、大腸ESDはどこで受けることができるの?

大腸ESDは、厚生労働省の施設基準を受理することができた施設で行っています。

クリニックや小規模の病院では、ほとんど行っていません。大きな総合病院や消化器に特化した小規模病院で行われているのが現状です。治療を受ける際には、該当の施設がどの程度症例数を行っているかもしくは担当の医師がどの程度の症例数を経験してきたかは確認した方が良いでしょう。

一つの目安となる数値は、施設の年間の大腸ESD数が最低でも50件以上、もしくは担当の医師の経験数が500件以上であればさほど問題ないと考えられます。

治療を受ける際には、ぜひ勇気を持って担当の医師に聞いてみましょう!自分の命を預けるのですから確認すべきことだと思います。納得したうえで治療を受けることが大事です。

4章、大腸ESDの費用は

大腸ESDの費用は、1回の入院でおよそ40~50万程度かかります。

入院費用の内訳としては、早期腫瘍腫瘍大腸粘膜下層剥離術として22,040点、病理標本作成料として860点+病理判断料として130点、点滴、薬剤費用などがかかります。

*大腸ESDの場合は、高額医療費が適応されるため自己負担額限度額が実際の支払いは所得に応じて減額されます。(34,500円~252,600円)

 所得区分 自己負担限度額多数該当
 住民税の非課税者等35,400円 24,600円
年収300万円以下57,600円44,400円
年収370~770万円80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円
年収770~1,160万円167,400円+(総医療費-558,000円)×1%93,000円
年収1,160万円以上252,600円+(総医療費-842,000円)×1%140,100円

自己負担額の他に食事代(460円/1食)と保険外負担金(ベッド差額分)がかかります。

まとめ

今回は、早期大腸がんの治療である大腸ESDについて解説しました。大腸ESDについてまとめると、以下のようなポイントが挙げられます。

大腸ESDは外科手術と比べ低侵襲な治療である

大腸ESDの症例数もしくは経験数を確認する

大腸ESDは最短2泊3日で退院できる

Water-pocket法では安全に治療が可能である

Water-pocket法は身体に負担の少ない治療法である

以上のポイントを理解し、適切な専門医療機関を受診することが大切です。本記事を読むことで大腸ESDに対する正確な知識を得ることで、安心して治療に臨んでいただくことができればと思います。

大腸ESDでご相談の患者様は、下記より診察でご相談ください。

 

Harada H, et al. Water-pocket endoscopic submucosal dissection for superficial gastric neoplasms. Gastrointest. Endosc. 2018; 88: 253-60.

Harada H, et al. Saline-pocket endoscopic submucosal dissection for superficial colorectal neoplasms: a randomized controlled trial (with video). Gastrointest Endosc. 2019; 90: 278-87.

原田英明ほか:剥離の工夫(1) Water-pocket法 臨床消化器内科2020; 35: 281-286.

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尚視会での内視鏡検査・診察は24時間予約を承っています。

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