
・内視鏡検査は毎年受けるべき?
・胃カメラや大腸カメラは何歳から受ければよい?
今では内視鏡検査も広く普及し、身近な存在となりました。周囲でも「胃カメラを受けてきたよ」という話を聞く機会が増えてきたのではないでしょうか。
そうした声を聞き、自分も内視鏡検査を受けるべきか、いつ頃から受けたらよいか疑問に思った方も多いはずです。
本記事では、内視鏡検査の頻度や受け始める適切な年齢について詳しく解説します。
実は、内視鏡専門医によって推奨する検査頻度や開始年齢には違いがあり、その理由も合わせてご紹介します。
さらに、定期的に内視鏡検査を受けるための具体的な方法についても詳しくご説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
内視鏡検査を受ける頻度は人によって異なる
内視鏡検査は、消化器(食道・胃・十二指腸・大腸)の内部を、胃カメラや大腸カメラを使って直接観察する検査です。
しかし、検査を受けるべき頻度は一律ではありません。人それぞれ胃腸の状態が異なるため、一概に「何年ごとに受けるべき」とは言えないのです。
ここでは、具体的な例を挙げて違いを説明しましょう。
ケース | 胃の状態 | 大腸の状態 |
Aさん | 異常なし | 異常なし |
Bさん | ピロリ菌保有(除菌が必要) | 異常なし |
Cさん | 異常なし | ポリープあり |
このように、胃と大腸の状態が異なる3人の場合、それぞれに最適な検査頻度が違ってきます。
また、胃カメラと大腸カメラの検査頻度は、それぞれの臓器の状態やリスクに応じて設定されるため、種類によっても違いが出てきます。
以下では、胃と大腸それぞれの状態別に、私たちがおすすめする検査頻度を詳しくご紹介します。
胃カメラ検査の推奨頻度について
胃カメラ検査の受診頻度は、特にピロリ菌の有無によって大きく異なります。以下にまとめました。
条件 | 推奨頻度 |
---|---|
異常なし | 2〜3年に1回 |
ピロリ菌保有 | 1〜2年に1回 |
ピロリ菌除菌後 | 1〜2年に1回 |
胃に異常がない場合、一度胃カメラを受けた後は最長3年まで検査を受けなくても問題ありません。
しかし、ピロリ菌を保有している方は、除菌治療後であっても、年に1回、もしくは2年に1回は胃カメラ検査を続けることが推奨されます。
なぜピロリ菌の有無で検査頻度が変わるのか
胃がん発症に関連するリスク因子はいくつか存在しますが、特にピロリ菌感染は最大のリスク要因とされています。
主なリスク因子は以下の通りです。
- ピロリ菌感染
- 塩分の多い食事
- 野菜・果物の摂取不足
- 喫煙
- 過度な飲酒
- ストレス
この中で最も強い関連が認められているのがピロリ菌です。
ピロリ菌は胃に慢性的な炎症を引き起こし、長期間にわたり炎症を繰り返すことで、炎症部分から胃がんが発生する可能性が高まります。
ピロリ菌に感染したからといってすぐに胃がんができるわけではありませんが、感染状態を放置することで、がん化リスクが高まるため注意が必要です。
なお、除菌治療によってピロリ菌は除去できますが、既にダメージを受けた胃粘膜は元に戻らないため、除菌後も定期的な検査が欠かせません。
大腸カメラ検査の推奨頻度について
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の受診頻度は、ポリープの有無によって大きく変わります。
条件 | 推奨頻度 |
---|---|
異常なし | 3〜5年に1回 |
ポリープあり | 1〜2年に1回 |
ポリープ切除後 | 2〜3年に1回 |
異常が見つからなかった場合は、次回の検査は最長5年後でも問題ありません。
胃カメラに比べると、検査間隔が倍以上に広がるのが特徴です。
ポリープが見つかった場合の注意点
ポリープが見つかった場合、がん化リスクを考慮して、年に1回または2年に1回の頻度で大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。
また、ポリープを切除した後も、数年以内に新たなポリープができる可能性があるため、2〜3年ごとの定期検査が重要です。
なぜ大腸カメラは検査間隔が長いのか
大腸がんは、ポリープから時間をかけて進行するのが特徴です。
ポリープががん化するまでには数年かかるため、胃に比べると比較的ゆっくりと進行します。このため、大腸内視鏡検査の推奨間隔が胃カメラより長めになっているのです。
基礎疾患がある場合の内視鏡検査頻度
すでに基礎疾患を持っている方の場合、検査のタイミングは担当医師が判断するケースがほとんどです。
たとえば、以下のような方が該当します。
- 胃がんで手術を受けた方
- 潰瘍性大腸炎で治療中の方
これらのケースでは、主治医が必要に応じて内視鏡検査の時期を指定してくれるため、患者様自身で次回検査時期を悩む必要はありません。
ただし、大腸カメラ検査については、胃カメラとは別に自己判断が必要となる場合もあります。
その際には、先ほどご紹介した「大腸カメラの推奨頻度表」を参考に、検査スケジュールを立ててください。
内視鏡検査を受け始めるおすすめ年齢
私たちが推奨する内視鏡検査の開始年齢は40歳です。
40歳を迎えたら、特に症状がなくても一度大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
なぜなら、胃についてはこれまでに一度くらい胃カメラを受けた経験がある方も多い一方で、大腸については、よほどの症状(下血、下痢、便秘など)がない限り、検査する機会がないからです。
そのため、40歳を過ぎたら、胃カメラ・大腸カメラの両方を受けることを強く推奨しています。
胃カメラと大腸カメラ、どちらも受けるなら同時に検査するメリットもあります。
当クリニックの取り組みや雰囲気について、ドクターズファイルにも掲載されています。ぜひご覧ください。
初めての方には「胃がんハイリスク検診」もおすすめ
胃カメラを一度も受けたことがない方には、後ほど詳しくご紹介する「胃がんハイリスク検診」を受けることもおすすめです。
がんの成長スピードについて
胃と大腸では、がんの発生メカニズムに違いがあります。
特に大腸がんは、ポリープから徐々にがん化するという特徴があり、ポリープのサイズによってがん化するリスクも異なります。
ポリープサイズとがん化の確率
ポリープのサイズ | がん化の確率 |
---|---|
5mm未満 | 約0.5% |
6〜9mm | 約3.3% |
1cm以上 | 約20% |
このように、ポリープが大きくなるにつれて、がんに進展するリスクが高まることが分かっています。
ポリープからがんになるまでの流れ
5mmを超えるポリープについては、がん化リスクを考慮して、切除することを推奨しています。
ポリープから早期がんに進行するには数年かかり、さらに早期がんから進行がんに至るまでには1〜2年ほど必要です。
このため、定期的な大腸カメラ検査により、ポリープの早期発見・切除を行うことが非常に重要です。
胃がんの成り立ちは異なる
一方で、胃の場合は大腸と異なり、ポリープを経由せず、炎症を起こしている部位から直接がんが発生します。
炎症部位に突然早期がんができ、場合によっては1〜2年という短期間で進行がんへ進展することもあるため、より短い間隔での定期検査が重要とされています。
特にピロリ菌感染歴がある方は、3年以上胃カメラ検査を受けないとリスクが高まるため注意が必要です。
これらの理由により、胃カメラ・大腸カメラそれぞれで推奨される検査頻度が異なるのです。
内視鏡検査の推奨頻度は医師によって異なる
ここまでご紹介してきた検査頻度は、あくまで私たちのクリニックの考えに基づいたものです。
医師によって、またクリニックや病院によって、同じ病気に対する対応方針や検査推奨頻度は異なる場合があります。
治療方針も医師ごとに違う
たとえば、もし胃がんが見つかった場合、医師によって次のように治療方針が異なることがあります。
- 内視鏡的切除(内視鏡でのがん切除)
- 外科手術による切除
- 抗がん剤治療
- 放射線治療
どの治療法を選ぶかは、基本的に患者様ご本人が決めるべきですが、「どの選択肢を提示するか」は医師により異なるのが現実です。
大切なのは、複数の医師の意見を聞いたうえで、自分に合った選択をすることです。
信頼できる医師、安心して任せられるクリニックや病院で、定期的な検査・治療を受けることをおすすめします。
定期的に内視鏡検査を受ける方法
内視鏡検査を定期的に受けるためには、主に次の2つの方法があります。
方法 | 特徴 | 費用負担 |
---|---|---|
定期健康診断 | 会社員は年1回義務化、基本的な検査が中心 | 基本無料(企業負担) |
人間ドック | 希望する項目を自由に選択可能、より精密な検査 | 自己負担(3万〜10万円以上) |
会社員の方は「定期健康診断」
企業に勤めている方は、労働安全衛生法に基づき、毎年1回の健康診断受診が義務付けられています。
基本的な検査(血液検査、胸部レントゲン、心電図など)が無料で受けられますが、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)は基本項目には含まれていない場合がほとんどです。
希望する場合は、オプションで追加申込が必要となります。
会社員以外の方は「人間ドック」
自営業の方や主婦の方など、企業健康診断を受けられない方は、人間ドックを活用する方法があります。
人間ドックでは、胃カメラ・大腸カメラを含め、自分で検査項目を選択できるのが大きなメリットです。
ただし、自由診療のため保険適用外となり、費用は3万〜10万円以上かかることもあります。
助成金を利用する方法も
自治体によっては、人間ドックの受診費用を一部助成しているところもあります。
対象年齢や助成金額に制限はありますが、対象に当てはまる場合は費用を大きく抑えることができるため、ぜひ一度ご自身の住んでいる市区町村の情報を確認してみましょう。
検索キーワード例:「〇〇市 人間ドック 助成金」
40歳以上・50歳以上の方にはがん検診がおすすめ
日本人の死亡原因の第1位はがんです。
そのため、がんによる死亡率を下げるには、早期発見・早期治療が非常に重要とされています。
国としても、検査費用の負担を理由に検査を受けない人が増えないよう、低価格で受けられるがん検診制度を整備しています。
国が推奨している5つのがん検診
- 胃がん検診
- 子宮頸がん検診
- 肺がん検診
- 乳がん検診
- 大腸がん検診
内視鏡検査が受けられる胃がん検診も、この中に含まれています。
がん検診は自治体主導で実施されているため、受診方法や費用などは各自治体のホームページで確認できます。
足立区の胃がん検診
当院が所在する足立区では、以下の2種類の胃がん検診が実施されています。
検診種類 | 検査方法 | 自己負担額 | 対象年齢 |
---|---|---|---|
胃がんハイリスク検診 | 問診+血液検査 | 1,000円 | 40〜74歳 |
胃がん内視鏡検診(2年に1回) | 問診+内視鏡検査 | 2,000円 | 50歳以上(前年度未受診者) |
足立区では、まず胃がんハイリスク検診の受診を推奨しています。
しかし、ハイリスク検診を受けなくても、直接内視鏡検診を受けることも可能です。
胃がんハイリスク検診を受けられない方
以下に該当する方は、胃がんハイリスク検診を受診できないためご注意ください。
- 現在、胃痛などの症状がある方
- 胃や十二指腸の病気で治療・経過観察中の方
- 胃不全の診断を受けた方
- 過去に胃がんの治療歴がある方
- 胃・十二指腸の手術歴がある方
- 平成20〜24年度に足立区のピロリ菌検診を受けた方
- 過去にピロリ菌除菌治療を受けた方
- 直近の健診で胃がんハイリスク検査を受けた方
該当しない場合は、まず胃がんハイリスク検診の受診をおすすめします。
足立区の大腸がん検診
足立区では、年に1回、大腸がん検診を受けることができます。
検診種類 | 検査方法 | 自己負担額 | 対象年齢 |
---|---|---|---|
大腸がん検診 | 問診+便潜血検査(検便2日分) | 300円 | 40歳以上 |
大腸がん検診は、内視鏡ではなく便潜血検査(検便)によって行われます。
便に目に見えないレベルの血液が混じっていないかを調べる検査です。
便潜血検査で陽性になった場合
便潜血検査で陽性が出た場合は、精密検査として大腸カメラ検査が推奨されます。
この場合、大腸カメラ検査は保険適用となり、自己負担は3割程度です。
なお、陽性イコールがんというわけではなく、痔や炎症など別の原因で出血していることもあります。
便潜血検査の有用性
便潜血検査は、世界的にもその効果が認められており、欧米では大腸がんによる死亡率を約33%減少させたという研究結果も報告されています。
日本でも、毎年便潜血検査を受けることで、大腸がんによる死亡リスクを60%低下させることができるとされています。
検査費用も安価で、自宅で簡単に行えるため、ぜひ積極的に受診しましょう。
便潜血陰性でも安心はできない
ただし、便潜血検査が陰性(問題なし)だった場合でも、100%がんがないとは言い切れません。
陰性判定でも、大腸カメラでがんが発見されるケースも報告されています。
便潜血検査だけでは不安な方は、自己負担にはなりますが、大腸カメラによる直接検査を検討してもよいでしょう。
当クリニックで受けられるがん検診・消化管ドック
当クリニックでは、足立区が実施しているがん検診にも対応しており、また消化管ドックも実施しています。
当院の内視鏡検査の特徴
当院は内視鏡検査に特化したクリニックです。
毎月600〜700件以上の胃カメラ・大腸カメラ検査を実施しており、内視鏡によるポリープ切除や早期胃がんの切除も院内で行っています。
検査を担当する医師は全員、日本消化器内視鏡学会の内視鏡専門医資格を取得しており、豊富な経験と確かな技術を持っています。
安全性・快適性にもこだわり、患者様に安心して検査を受けていただける体制を整えています。
そのため、リピートして定期検査を受けてくださる患者様も年々増加しています。
こんな方におすすめです
- 内視鏡検査に不安がある方
- より正確で丁寧な検査を受けたい方
- 消化器疾患のリスクを早期に発見したい方
- 胃がん・大腸がんの予防を徹底したい方
興味をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
当院では、早期がんに対する治療法として、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にも対応しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
ご予約はこちらから
※この記事は2022年6月12日に公開された内容を、2025年5月6日に最新の情報に基づき加筆・修正しました。
施設紹介
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>
ホームページ https://www.senju-ge.jp/
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住所 東京都足立区千住3-74 第2白亜ビル1階
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