
「便通が悪くなった気がする」
「貧血気味でフラフラする」
こうした小さな体調の変化が、実は大腸がんの初期サインであることがあります。
- 便秘や下痢を繰り返す
- 便が細くなってきた
- 血便や貧血がある
一見すると軽い不調でも、深刻な病気が隠れている可能性は否定できません。
大腸がんは初期には自覚症状が乏しく、検診や内視鏡で初めて見つかるケースも多くあります。
早期に発見すれば治療の選択肢が広がり、体への負担も少なく済むのが大腸がん治療の特徴です。
そのためには定期的な人間ドックや大腸がん検診が欠かせません。
本記事では、大腸がんの原因や初期症状、検査方法や治療について詳しく解説します。
北千住エリアで検診を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
大腸がんとは?
大腸がんとは、大腸粘膜から発生する悪性腫瘍の総称です。発生部位によって「結腸がん(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)」と「直腸がん」に分けられます。日本では特に、S状結腸や直腸に多く発生する傾向があり、全体の約7割を占めるといわれています。
大腸粘膜に発生したがんは、進行とともにリンパ節や肝臓、肺などへ転移する可能性があり、早期に発見することが極めて重要です。
近年増加している大腸がん
厚生労働省の統計によれば、日本では大腸がんは年々増加傾向にあり、男女ともにがん死亡原因の上位に位置しています。特に女性においては大腸がんによる死亡数が最も多いとされ、社会的な課題となっています。
食生活の欧米化や運動不足、ストレス社会といった生活環境の変化が、大腸がんの増加に影響していると考えられています。そのため「食事・運動・検診」の3つを意識して生活習慣を見直すことが、予防の第一歩となります。
大腸がんと便秘に関係性はある?
大腸がんは、発生する部位によって現れる症状が異なります。
特に便秘が起こりやすいのは、左側結腸(下行結腸〜直腸)に腫瘍ができた場合です。通過障害により便が滞留しやすくなり、便秘と下痢を繰り返すといった症状が出ることがあります。これまで毎日排便があった方でも、便が出にくい・細い便しか出ないといった変化に気づくことが多いです。
また、腸壁に腫瘍が発生すると排出の通り道が狭まり、便が細くなったり、残便感が続く場合があります。さらに症状が進行すると、腹痛や血便なども伴うようになります。
便秘=大腸がんではないが注意が必要
もちろん、便秘が必ず大腸がんを意味するわけではありません。食生活の乱れやストレス、水分不足などでも便秘は起こります。しかし「急に便秘体質になった」「下痢と便秘を繰り返す」「便が細くなってきた」といった変化は要注意です。大腸がんの可能性を否定できないため、こうした症状が続くときは検査を受けることが安心につながります。
大腸がんの原因
大腸がんの発生要因はひとつに限られるものではなく、複数の要因が関係し合って発症すると考えられています。代表的なリスク要因を整理してみましょう。
40代以降でリスクが上昇
大腸がんは年齢とともに罹患率が高まります。特に40代から増加が顕著になり、60代〜70代でピークを迎える傾向にあります。そのため、市区町村の大腸がん検診の対象も40歳以上に設定されているのです。
遺伝的要因
大腸がんの70%前後は生活習慣や加齢によるものですが、約5%は遺伝的要因が関係しているとされています。近親者に複数の大腸がん患者がいる場合には、20〜30%程度までリスクが高まるともいわれています。
現在わかっている遺伝性大腸がんの代表例は以下の通りです。
- 家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)
- MUTYH関連ポリポーシス
- ポイツ・ジェガース症候群
- 若年性ポリポーシス症候群
- PTEN過誤腫症候群(カウデン症候群)
- リンチ症候群
遺伝性疾患の中にはポリープが多数できるものや、遺伝子検査をしないと診断できないものもあり、家族歴の確認が非常に重要です。
喫煙
喫煙は大腸がんリスクを高めます。非喫煙者と比較すると、喫煙者は発症率がおよそ1.4倍に増加すると報告されています。禁煙後も一定期間はリスクが高い状態が続くため、早めの禁煙が望まれます。
飲酒
飲酒も大腸がんリスクを押し上げる要因です。男性では日本酒1合程度でもリスクが1.4倍に上昇し、2合以上になると約2.1倍に跳ね上がります。女性でも大量飲酒を続けると発症リスクが高まります。
食生活(赤身肉・加工肉)
牛・豚・羊などの赤身肉や加工肉の過剰摂取は、大腸がんリスクを増加させます。WHO(世界保健機関)も加工肉を「発がん性あり」と分類しています。反対に、野菜や果物、海藻、豆類など食物繊維が豊富な食品はリスク低下に有効であることがわかっています。
運動不足と肥満
身体を動かす機会が少ない生活は肥満につながり、大腸がんリスクを高めます。適度な運動は腸の蠕動運動を促進し、便通改善にもつながるため、予防の観点からも重要です。
大腸ポリープ
大腸ポリープの中には悪性化するものがあり、特に「大腸腺腫」は大腸がんの前段階といわれています。大腸内視鏡検査で発見された場合は、切除しておくことで大腸がんの予防につながります。
ただし、すべての腺腫ががん化するわけではないため、切除の必要性やタイミングについては医師の判断を仰ぐことが大切です。
大腸がんの初期症状
大腸がんは、初期段階ではほとんど自覚症状がないのが特徴です。そのため、発見が遅れやすく、気づいたときには進行しているケースも少なくありません。しかし、進行に伴って次第に症状が現れることがあります。ここでは代表的な初期症状を確認してみましょう。
初期症状の全体像をもう少し詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
「大腸がんの初期症状にはどんなものがある? 人間ドックで早期発見」
血便
排便時に血が混じる「血便」は、大腸がんでよく見られる症状の一つです。がんが成長する過程で新しい血管(新生血管)がつくられますが、この血管は破れやすく出血を繰り返します。そのため便に血が混ざったり、便器が赤く染まることがあります。
ただし、血便は痔や潰瘍性大腸炎などでも起こるため「痔だから大丈夫」と思い込むのは危険です。血便が続く場合は必ず検査を受けましょう。
血の混じった便について、イラストで要点を確認できる解説もご用意しています。
貧血
出血が長期的に続くと、鉄分が不足し貧血を引き起こします。立ちくらみ・動悸・息切れ・疲労感などの症状が出て、検査をした結果、大腸がんが発見されるケースもあります。特に女性は貧血を「体質のせい」と思いがちですが、消化管からの出血が原因のこともあるため注意が必要です。
腹部症状
大腸がんが進行すると腫瘍が大きくなり、腸の内腔を塞いで便の通過が妨げられます。その結果、腹部膨満感や強い便秘、吐き気などが現れることがあります。腸が完全に塞がれると腸閉塞を引き起こし、激しい腹痛や嘔吐を伴うため、早急な治療が必要となります。
その他の症状
大腸がんは進行に伴い、食欲低下や体重減少、倦怠感など全身症状が現れることもあります。「最近体重が減ってきた」「疲れやすくなった」といった変化も見逃さないようにしましょう。
大腸がんになりやすい人の特徴
大腸がんは誰にでも起こりうる病気ですが、特に発症リスクが高いとされる人には共通の特徴があります。該当するものがある場合は、定期的な検査を強くおすすめします。
生活習慣によるリスク
- 動物性脂肪や赤身肉を多く摂取している
- 野菜や果物、食物繊維が不足している
- 飲酒・喫煙習慣がある
- 運動不足や肥満傾向がある
これらの生活習慣は大腸がんの発症リスクを高めることがわかっています。特に現代の日本では、食生活の欧米化によって赤身肉や加工肉を摂取する機会が増え、リスクが上昇していると指摘されています。
遺伝・家族歴
両親や兄弟姉妹など、近い家族に大腸がんの既往がある場合は、一般の方に比べて発症リスクが高いとされています。遺伝的な要因を持つ人は、若い年齢でも発症するケースがあるため注意が必要です。
過去に大腸ポリープや炎症性腸疾患がある人
大腸ポリープの中には悪性化しやすいものがあり、放置すると大腸がんの原因になることがあります。また、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患を長期間患っている人もリスクが高まります。
年齢
大腸がんは40歳を過ぎると罹患率が高くなり、特に60歳以降では急増します。そのため、年齢を重ねるごとに定期的な大腸検査を受けることが大切です。
まとめ
大腸がんは生活習慣と深い関わりがある疾患です。動物性食品の摂りすぎを控え、野菜や食物繊維を積極的に摂取すること、そして適度な運動を心がけることが予防につながります。さらに、家族歴がある方や既往歴のある方は特に注意が必要です。
大腸がんの検査・診断方法
大腸がんは進行するまで症状が乏しいため、検査での早期発見がとても重要です。特に40歳を超えたら、市区町村の大腸がん検診や人間ドックを積極的に受けることが推奨されます。ここでは代表的な検査方法を紹介します。
便潜血検査
最も一般的なスクリーニング検査で、便に血液が混じっているかを調べます。目に見えない微量な出血も検出できるため、大腸がんやポリープを早期に見つけるきっかけになります。
便潜血検査が陽性であっても必ずしも大腸がんとは限りませんが、次のステップとして大腸内視鏡検査が必要となります。
便潜血検査の流れやポイントを、わかりやすいマンガでまとめています。ぜひ下記バナーからご覧ください。
大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。盲腸から直腸までくまなく確認できるため、大腸がんの確定診断や大腸ポリープの切除も同時に行えます。早期がんであれば、内視鏡で治療が完結するケースもあります。
静脈麻酔を併用すれば、ウトウト眠っているような状態で受けられるため、苦痛が少なく安心です。
CT検査・超音波検査
大腸内視鏡でがんが疑われた場合、CTや超音波検査を行い、がんの位置・大きさ・転移の有無を評価します。腹部に器具を当てるだけの超音波検査は痛みがなく、放射線被曝の心配もありません。
CTは体全体の転移やリンパ節の状態を把握するのに役立ち、総合的な治療方針の決定に活かされます。
腫瘍マーカー検査
血液中の腫瘍マーカー(CEA・CA19-9など)を測定する検査です。診断の補助として用いられるほか、治療効果の判定や手術後の再発チェックにも役立ちます。
大腸がんの治療方法
大腸がんの治療は「ステージ(進行度)」によって選択肢が変わります。早期がんでは内視鏡治療で済むこともありますが、進行すると手術や薬物療法、放射線治療などを組み合わせる必要があります。
内視鏡治療
早期の大腸がんや前がん病変(大腸ポリープ)は、大腸内視鏡で切除可能です。身体への負担が少なく、日帰りまたは短期入院で済む場合もあります。
手術療法
がんが粘膜下に浸潤している場合やリンパ節転移がある場合は、外科手術によってがんと周囲の組織を切除します。腹腔鏡手術やロボット支援手術など、低侵襲の方法が選ばれることも増えています。
薬物療法
抗がん剤や分子標的薬を用いた治療です。手術後の再発予防や、進行がんの制御を目的に行われます。副作用が出やすいため、生活の質を保ちながら続けられるように調整が必要です。
放射線治療
特に直腸がんでは、手術前後に放射線治療を組み合わせることで、再発率を下げる効果が期待されます。薬物療法と併用されることもあります。
生活の質を重視した治療選択
近年では「治す」ことに加えて「生活の質(QOL)を保つ」ことも大切にされています。患者さんの体力や希望、生活背景に合わせたオーダーメイドの治療が行われるようになっています。
治療に不安がある場合は、主治医に質問したり、セカンドオピニオンを活用するのも有効です。
大腸がん予防のためにできること
大腸がんは、生活習慣と検診の掛け合わせで予防・早期発見が期待できます。今日から取り入れやすいポイントをまとめました。
1. 食事の見直し(食物繊維+加工肉を控える)
- 食物繊維を毎日コツコツ:野菜・海藻・きのこ・豆類・果物を意識(例:海藻サラダ+納豆+きのこ汁)。
- 発酵食品をプラス:ヨーグルト、納豆、味噌汁などで腸内環境を整える。
- 赤身肉・加工肉は頻度を控えめに:ベーコン・ソーセージ・ハムは“毎日”を避ける。
- 飲酒は節度を保つ:量が増えるほどリスク上昇。休肝日を設ける。
- 水分も忘れずに:便を柔らかくして排便リズムを整える。
2. 運動と体重管理(“座りすぎ”対策も)
- 週合計150分の中強度運動(速歩・自転車など)+週2回の筋トレが目安。
- デスクワークは30~60分ごとに立ち上がるなど「座りすぎ」を減らす。
今日から始める10分メニュー例
- 朝:通勤の一駅分を速歩(10分)
- 昼:椅子スクワット&かかと上げ(各10回×2セット)
- 夜:TV前でストレッチ(股関節・背中・腹式呼吸)
3. 喫煙は“ゼロ”を目標に
喫煙は大腸がんのリスクを上げます。禁煙外来の活用や、家族・職場の協力を得て計画的にやめましょう。
4. 検診・内視鏡で「見つける仕組み」を作る
無症状でも、年齢・家族歴・既往歴に応じた検査を計画しておくと安心です。
ケース | おすすめ検査 | 受診タイミングの目安 | ポイント |
---|---|---|---|
40歳以上・無症状 | 便潜血検査 | 年1回 | 陽性なら速やかに大腸内視鏡へ |
便潜血陽性 | 大腸内視鏡検査 | できるだけ早く | 確定診断+ポリープ切除が可能 |
ポリープ切除歴あり | 大腸内視鏡検査 | 医師指示(例:1〜3年) | 再発予防のため計画的に |
近親者に大腸がん | 大腸内視鏡検査 | 40歳、または家族の発症年齢の10年前 | 若年発症が疑われる場合は早めに相談 |
血便・便が細い・貧血などの症状あり | 大腸内視鏡検査 | 年代を問わず早めに | 症状が続く場合は受診を躊躇しない |
5. 迷ったら“まず相談”
症状・家族歴・既往歴によって適切な検査間隔は変わります。北千住・足立区での検診や内視鏡については、当院までお気軽にご相談ください。
大腸がんが疑われる場合は当院へ
大腸がんは症状が進行しないと気づきにくい病気です。そのため40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニックでは、内視鏡専門医による丁寧な診察と、最新の設備を用いた検査を提供しています。大腸がん検診だけでなく、胃や食道の内視鏡検査もあわせて行えるため、幅広い消化器疾患の早期発見が可能です。
当院の特徴
- 静脈麻酔で快適に受けられる大腸内視鏡検査
眠っているような感覚のまま検査を受けられるため、苦痛や不安を軽減できます。 - 女性専用スペースを完備
女性が安心して健診・検査を受けられるよう、専用の更衣室や待合スペースを整えています。 - 北千住駅から徒歩約2分
アクセス良好で、通院しやすい立地です。 - 土日診療にも対応
平日が難しい方でも受診できるよう、土日も診療を行っています。
検査時の安心への配慮
検査の際は専用のメディカルウェアを着用いただき、必要以上の露出を避けられるようにしています。プライバシーにも配慮した環境で、リラックスして検査を受けていただけます。
予約方法
診察や検査のご予約は、24時間対応のWeb予約、LINE予約、またはお電話で承っています。忙しい方でもスムーズに予約できるよう、複数の方法をご用意しています。
まとめ
大腸がんは日本人にとって非常に身近ながんのひとつでありながら、初期には気づかれにくい病気です。しかし、便通の変化や血便、貧血といった小さなサインを見逃さず、早期に検査を受けることが命を守る第一歩となります。
北千住駅から徒歩約2分の当院では、専門医による大腸内視鏡検査をはじめ、幅広い消化器疾患に対応しています。特に40歳を超えた方や生活習慣に不安がある方は、定期的な大腸がん検診を受けて安心を手に入れてください。
気になる症状がある・検診のタイミングで迷っているという方は、まずはご相談ください。受診の目安から検査準備、当日の流れまでスタッフが丁寧にご案内します。
※この記事は2024年9月5日に公開され、2025年8月25日に更新されました。
施設紹介
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>
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