尚視会だより第3号「女性のがん死1位は大腸がん」

こんにちは、尚視会理事長・消化器内科医の原田です。

 欧米では、大腸がんによる死亡数は減少傾向にあります。一方、日本においてはやや高止まりとはなっていますが、大腸がんによる死亡数は増加しています。国立がん研究センターによるデータ(右図)では、大腸がん死亡数は年間5万人以上となっておりがん死においては、肺がんに次ぐ第2位となっています。女性に限って言うと第一位です。

 また、米国においては大腸がん死亡数は減少しているにもかかわらず若年層(20~49歳)における大腸がん発生数は増加しており若年化の傾向が見られます(左図)。日本においても若年化の傾向がみられておりリスクの高い方に関しては40代で一度大腸内視鏡検査を受けていただくことが大事です。

 私たちのクリニックでは30代・40代といった若い方が検査を受けられることが多いですが、肥満・糖尿病・運動不足などの大腸がんのリスクが高い方では大腸ポリープの発見率が高い傾向にあります。大腸ポリープ切除は、大腸がんの予防になりますのでリスクの高い方や症状のある方は積極的に検査を受けていただくことが大事です。

第3回特集記事 「大腸ポリープってどうやってとるの①?」

大腸内視鏡におけるポリープ切除の方法について当医療法人理事で共済病院消化器内科医長・ 岩城智之先生に解説をしてもらいます。

大腸ポリープを内視鏡でとる時にはいくつか方法がありますが今回はpolypectomy(ポリペクトミー)、特に電気を通さないで行うcold snare polypectomy(コールドスネアポリペクトミー)についてお話します。

 大腸内視鏡検査時にポリープをとる際、10mm以下のポリープであればポリープと周囲の粘膜に直接スネアという輪っかをかけて電気を通さず切除を行います。電気を通さないことで組織へのダメージが軽減され、出血などの合併症が非常に少ないことが知られています。

 当グループでも日帰りでポリープをとる際はこのcold snare polypectomyで切除することがほとんどです。ただし10mm以上のポリープの場合はしっかり切除するために次回説明するEMRなどでの切除の方が望ましいと思います。  

 患者さんの状態に合わせて安全で適切な治療を提供できるようにしていきたいと考えていますので、気軽にご相談くださいね。

尚視会のこだわり:第3

検査を受けるのは、どなたでもできたら避けたいと思うところではあります。私も必要でないのであれば、できれば受けたくないと考えています。とはいえ2人に1人ががんにかかる時代です。人生において豊かな毎日を送るためには、がんの予防は避けられないことだと思います。当クリニックでは、大腸内視鏡検査を少しでも快適に受けていただくためにシトラスのアロマオイル配合のおしぼりを使用しています。本当に良い匂いで心が安らぐ逸品です。

編集後記

厳しい暑さが続く中、皆様いかがお過ごしでしょうか?今年も非常に暑い毎日が続いており、私も愛犬のこてつ君もやや夏バテ気味です。

 冒頭で女性のがん死の第一位は大腸と説明しましたが、やはり大腸がんは確実に増えてきていると感じます。一方胃がんに関しては日々の診療を通してみると、徐々に減少していると感じます。

 私が後期研修医のころ最初に受け持った大腸がんの患者さんは、40代前半の女性でした。大腸がんと診断されたときには遠隔転移が認められステージ4の状態でした。10年以上前のことですが、現在でのステージ4の大腸がんの5年生存率は20%と非常に厳しいものです。当時はさらに治療成績は悪かったと思いますが、腸閉塞の可能性もあったため姑息的な手術と化学療法を受けられましたが残念ながら亡くなられてしまいました。幼い娘さんがいたと記憶しておりますが、非常にやるせない気持ちとなったのを覚えております。

 その後、一人でもこのような不幸な方を失くしたいという気持ちで診療をしてきましたが、総合病院での勤務ですとどちらかというと急性期の診療が主なものでしたので自分の思うようなことが今までできませんでした。内視鏡専門クリニックを立ち上げてからやはり高齢な方はもちろんなのですが、社会的責任を多く伴う40代・50代といった現役世代の方々に検査を受けてもらいたいと日々考えています。この世代の方々の予防および治療を早期にすることで社会的な利益が多く生まれるのではないかといつも考えています。

尚視会での内視鏡検査・診察は24時間予約を承っています。

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