右上腹部に違和感や痛みがある場合、考えられる病気と受診すべき医療機関について説明

右のお腹の上(右上腹部)に違和感や痛みがある場合には、どのような病気で原因となる臓器があるのか気になる方もいらっしゃるかと思います。

右上腹部には、様々な臓器が存在し多様な疾患の可能性があるため、痛みがある場合には何が原因となるのか適切な対応が必要となります。

とくに胆のう炎・胆管炎・潰瘍による消化管穿孔の場合には、放置すると命に関わる可能背があります。

本記事では、右上腹部の痛みの原因・検査・受診すべき医療機関について解説しますので、ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニックは、北千住駅から徒歩2分と利便性の高い地にあり、胃と大腸を中心とした消化器の診察・検査に注力したクリニックです。経験豊富な専門医による診察・検査を行っています。

平日はお忙しい方にもご来院いただけるように、土曜日、日曜日も開院しており、WEBから24時間予約が可能です。消化器症状にお困りの方や、健康診断で異常を指摘された方は、ぜひ当院にご相談ください。

右上腹部にはどのような臓器があるのか

右の上腹部には、下記のような臓器が存在して、炎症や感染などが起こることでお腹の違和感や痛みの原因となることがあります。

<右上腹部に存在する臓器の一覧>

  • 肝臓
  • 胆のう
  • 胆管
  • 十二指腸
  • 大腸の一部(肝弯曲)
  • 腎臓
  • 尿管の一部

上記のような臓器が存在しており、消化器以外の泌尿器の病気による腹痛が起こる可能性もあります。また、どの臓器も男性・女性ともに存在する臓器で性別に関係なく痛みの原因となります。

右上腹部に痛みがでる病気の種類

胆のう炎

胆のう炎は、胆のうが炎症を生ずることで起こります。原因としては、胆石や胆泥により胆のう管という胆のうの出口が閉塞することで起こることが多いです。

50歳以下では10万人に6,300人、50歳以上では10万人20,900人程度の人が罹る病気と言われており、高齢者に多い病気と言われています。

症状としては、発熱・腹痛(右上腹部中心)・黄疸などがあります。たいていは、症状は落ち着いていることが多く経過も穏やかなことが多いですが、劇症化といって炎症が悪化すると生命に関わる可能性もあります。

診断は、触診・採血検査・腹部エコー検査・CT検査などを用いて総合的に行います。基本的には、絶食のうえ抗生剤で治療を行いますが、症状が悪化する場合には胆のうドレナージや胆のう摘出術が必要となります。

右上腹部痛で胆のう炎が疑われる場合には、自己判断することなく速やかに医療機関に受診する必要があります。

胆管炎

急性の胆管炎は、生命を脅かす全身性の感染症となる可能性がある病気です。原因は、肝臓から十二指腸乳頭部に続く胆管という管(くだ)に閉塞や結石が存在することで炎症や感染が起こります。

胆管は、肝臓で作られる胆汁を十二指腸に送る通り道となっていますが、腫瘍や結石により胆汁の流れが悪くなると、細菌が繁殖しやすくなったり胆管内の圧力が高くなることで胆管炎となります。

ERCP検査で確認された胆管内の結石の画像
ERCP検査で確認された胆管内の結石

症状は、発熱・黄疸・腹痛(右上腹部痛)の3つが特徴的で、これを「シャルコーの3徴(ちょう)」といいます。医師の国家試験でもよく出題されることがあるもので、非常に重要な症状です。なぜかというと、急性胆管炎は非常に死亡率が高い病気だからです。症状を見逃す救命できなくなるため、絶対見逃してはいけない徴候と考えられています。

診断は、診察・触診・採血検査・腹部エコー検査・CT検査などを用いて総合的に診断を行います。症状が落ち着いていたとしても急激に悪化することもあるため、診断が付いたら胆管のドレナージ術が必要となります。基本的には、内視鏡を用いたERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)を用いてステントという細いチューブを挿入することでドレナージを行います。

急性胆管炎は、命に関わるご病気のため疑われる場合には、専門の医療機関に速やかに受診して処置・治療を行う必要があります。

肝炎

右上腹部に存在する臓器である肝臓は、重量が1,000~1,500g程ある人体の中で最大の臓器と言われています。肝臓は、「栄養の代謝・貯蔵」「有害物質の解毒作用」「胆汁の産生」「血液循環量の調整」など多岐にわたり重要な機能を持つ臓器でもあります。

肝炎には、ウイルス性の肝炎(B型肝炎、C型肝炎など)やアルコール性の肝炎、自己免疫性肝炎、薬物性肝炎などがあります。症状は、腹痛(右上腹部痛を中心に)・倦怠感・食欲不振・黄疸・褐色尿などの症状が出ることがあります。

肝炎は、急性に悪化すると肝不全という重篤な状況になることや、慢性的な経過をとると肝硬変になります。肝不全・肝硬変ともに生命に関わるご病気のため適切に診断・治療を行う必要があります。

肝膿瘍

肝膿瘍とは、肝臓の一部のスペースに炎症が起きて膿が溜まってしまうご病気です。原因としては、大きく2つに分かれていて、アメーバ性と細菌性が原因となっています。アメーバ性は、アメーバ性肝膿瘍 (Amoebic liver abscess; ALA)と言い、細菌性は、化膿性肝膿瘍 (Pyogenic liver abscess; PLA)と言われています。その他、稀ではありますが真菌が原因となる肝膿瘍もあります。

肝膿瘍は、長期の飲酒・糖尿病・肝硬変・HIV感染・胆道感染・同性愛・衛生状態の悪い海外渡航後などが契機となり発症すると言われています。症状は、発熱・腹痛(右上腹部痛)・倦怠感・食欲不振・体重減少などがあります。

診断は、診察・触診・採血検査・腹部エコー検査・CT検査・MRI検査などを用いて総合的に診断を行います。治療は、抗菌薬・抗原虫薬の投与やドレナージ術を行います。

十二指腸潰瘍

十二指腸は、胃から空腸(小腸)に続く約25cmの管腔の臓器です。十二指腸には胆管と膵管の出口であるVater乳頭部があり、食べ物の消化と吸収に関わる胆汁と膵液がVater乳頭部より排出される重要な臓器です。

十二指腸の粘膜に傷ができて潰瘍となってしまうと、腹痛(右上腹部痛)や出血などの症状がでます。十二指腸の壁は、胃の壁よりも薄いため放置しておくと穿孔といって穴が開いてしまうこともあります。十二指腸潰瘍穿孔となってしまうと、お腹の中に胆汁や膵液という非常に強力な消化酵素が流出してしまい腹膜炎という重篤な合併症を起こすことがあります。

十二指腸潰瘍と診断された場合には、適切な処置や治療が必要となります。十二指腸潰瘍に関しては、下記の記事で詳しく解説していますのでご参考にしてください。

「20代女性にも多い病気「十二指腸潰瘍」について症状や原因を詳しく解説」

胃腸以外で右上腹部に痛みがでる病気

右上腹部の違和感や痛みは、消化管以外のご病気でも起こることがあり得ます。とくに泌尿器系の腎臓や尿管に起こるご病気で痛みが出ることがあります。

腎・尿管結石

腎結石や尿管結石は、腎臓や尿管に結石が存在することで水腎症・腎盂腎炎・腹痛(右の腎臓・尿管の場合に右上腹部の痛みが出ることがある)・腰背部痛などの原因となることがあります。

診断は、診察・触診・採血採尿検査・X線検査・腹部エコー検査・CT検査などを用いて総合的に診断を行います。治療は、痛みのコントロール(鎮痛剤・鎮痙剤)・自然排石目的のため水分の多量摂取・砕石治療などを行います。

消化器のご病気だと思っていたところ泌尿器系の問題だったという患者さんもいるため、慎重な診断が必要となることもあります。

右上腹部に痛みがでる場合に受診するべき医療機関

右上腹部の違和感や痛みがある場合は、消化器系の問題であることが多いため消化器科を標榜している医療機関を受診することをお勧めします。また、痛みが強くなる場合や発熱・黄疸などを認める場合には、緊急性の高い兆候のため救急外来への受診が必要となることもあります。

<右上腹部の痛みがある場合に受診すべき医療機関>

消化器内科(消化器科・消化器外科)

消化器疾患の多くに対応している専門診療科です。右上腹部の違和感がある場合には、まずこちらを受診しましょう。

腎・泌尿器科

腎臓や尿管結石など泌尿器の疾患が疑われる場合には、こちらの受診も必要になる場合があります。

救急外来

発熱・黄疸・激しい痛み・意識低下など緊急性の高い症状がある場合には、夜間や休日でもすぐに救急外来へ受診をしてください。

右上腹部の痛みの原因を調べるための検査とは

右上腹部痛の原因を調べるためには下記のような検査を受ける必要があります。

<右上腹部痛における検査>

血液検査

炎症反応や肝臓・腎臓機能の指標、感染の有無などを確認します。

腹部レントゲン検査

腸閉塞や腎結石、消化管穿孔などの所見を確認するために行います。

腹部CT検査

腹部の臓器を断面で詳しく確認でき、結石や膿瘍、腫瘍などの評価に役立ちます。

腹部エコー検査

胆のうや肝臓、腎臓などの評価に非常に有用な非侵襲的検査です。

胃内視鏡検査

十二指腸潰瘍や胃炎など上部消化管の病気を直接観察できる検査です。

CT検査を行うための大型スキャナーと検査室の様子
CT検査機器と検査室
超音波(エコー)検査に使用される機器と診察ベッド
エコー検査機器と診察ベッド
内視鏡検査用の処置ベッドと内視鏡システム一式
内視鏡検査の処置室

上記で説明してきたように右上腹部の痛みがある場合には、様々な病気が考えられます。診察・触診・症状である程度は原因となる病気を考えることは可能ですが、明確な原因の特定には上記のような検査が必要となります。必要に応じて、上記の検査を組み合わせ診断を確定していきます。

右上腹部がでている場合は早めの受診を

右上腹部の違和感や痛みの原因としては様々な病気があり、とくに消化器系の疾患の可能性が高いと言えます。急性胆嚢炎・急性胆管炎・肝不全・十二指腸潰瘍穿孔などの重篤な疾患の場合には、適切な処置・治療を行わない場合には命に関わることもあります。症状が悪化する場合には、自己判断せずに専門医への受診をお勧めします。

まとめ

今回は、右上腹部に違和感や痛みがある場合、考えられる病気と受診すべき医療機関について説明をしました。

右上腹部の違和感や痛みでお悩みの場合は、北千住駅から徒歩2分の東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック足立区院にお越しください。経験豊富な内視鏡医師が診療・検査を行うため、安心してご相談ください。

参考文献:

  • Kimura Y., Takada T., Kawarada Y., et al. Definitions, pathophysiology, and epidemiology of acute cholangitis and cholecystitis: Tokyo Guidelines. J. Hepatobiliary Pancreat. Surg. 2007;14:15–26.
  • Sharma S, Ahuja V. Liver Abscess: Complications and Treatment. Clin Liver Dis (Hoboken). 2021;18(3):122-126.

施設紹介

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>

ホームページ https://www.senju-ge.jp/

電話番号 03-3882-7149

住所 東京都足立区千住3-74 第2白亜ビル1階

診療時間
9:00~12:00
14:00~17:30

※予約検査のみ
※祝日のみ休診

アクセス

JR北千住駅西口より徒歩2分、つくばエクスプレス北千住駅より徒歩2分、東京メトロ日比谷線北千住駅より徒歩2分、東京メトロ千代田線北千住駅より徒歩2分、東武伊勢崎線北千住駅より徒歩3分

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