
「胃カメラをしたらポリープがあるって言われたんだけど、どうすればいいの?」
「胃ポリープになったらどんな症状が出るの?」
「特に症状がなくても切除するべき?」
このような疑問はありませんか?
本記事では次の内容について解説しています。
- 胃ポリープが発見されたら
- 胃ポリープの症状
- 胃ポリープのよくあるQ&A
「胃ポリープ」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。しかし、いざ自分が指摘されたり、家族がそうなった場合には不安になるのも当然です。
本記事を通して、胃ポリープについて正しく知り、適切に対応していきましょう。
目次
1章 胃カメラで胃ポリープが発見されたら
胃カメラ検査で胃ポリープが見つかった場合、まず確認すべきはその大きさと種類です。これらにより、体への影響や治療方針が変わってきます。
胃カメラ検査の結果をもとに医師が判断するため、診察時にはしっかりと説明を受けましょう。
1-1 胃ポリープとは
胃ポリープとは、胃の粘膜が一部隆起してできる「いぼ状の突起物」です。上部内視鏡検査(胃カメラ)を行うことで確認できます。

胃ポリープの原因には、加齢・ピロリ菌感染・遺伝的要因などがあり、さらにストレスや食生活の乱れが胃粘膜を傷つけ、修復の過程で形成されることもあります。
1-2 胃ポリープの種類
胃ポリープは大きく2種類に分類されます。
- 過形成ポリープ
- 胃底腺ポリープ
過形成ポリープ
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染している胃で多く見られるポリープです。
発生機序は完全には解明されていませんが、ピロリ菌の除菌後に消失することがあることから、関与が示唆されています。
大きくなるとがん化のリスクがあるとされており、除菌治療や定期的な経過観察(年1回程度の内視鏡)が推奨されます。
胃底腺ポリープ
こちらは、ピロリ菌に感染していない胃に発生しやすいポリープです。
比較的若い30~50代の女性に多く、健診や胃がん検診の胃カメラ・バリウム検査などで偶然発見されるケースが多いのが特徴です。
がん化するリスクは低いため、定期的に1~2年ごとの内視鏡検査で経過観察するだけで問題ないことが多いです。
1-3 ほとんどの胃ポリープは問題ない
多くの胃ポリープは良性で、ただちに健康被害を及ぼすものではありません。
しかし、問題になるのはがん化の可能性です。
特に過形成性ポリープにおいては、稀に悪性化することがあるため、定期的な内視鏡で経過を観察し、状態の変化を把握しておくことが重要です。
1-4 2cmを超えたら切除をする
胃ポリープの中でも、2cmを超える大きさになると、切除が推奨される場合があります。
なぜなら、過形成性ポリープはサイズが大きくなるほど、がん化するリスクが高まるとされているからです。
研究によると、過形成性ポリープのがん化率はおおむね1〜3%とされており、中でも2cmを超える場合はそのリスクがさらに高くなると報告されています。
そのため、将来的な胃がんを予防する目的で、早期に内視鏡的切除を行うことが重要です。
一方で、2cm未満であればすぐに切除する必要はありません。
ただし、1cm未満のポリープでも稀にがん化したケースが報告されているため、定期的な内視鏡検査で経過を観察することが推奨されます。
2章 胃ポリープに症状はあるのか
ここからは、胃ポリープに関連する症状について解説します。
もし自分自身やご家族が胃ポリープと診断された場合、体にどのような影響があるのかを知っておくことはとても重要です。
2-1 ほとんどの胃ポリープには症状はない
実際のところ、ほとんどの胃ポリープには自覚症状がありません。
胃粘膜の一部がわずかに隆起している程度では、体調に影響を与えることはまれです。
そのため、自分で異変に気づいて受診するケースは少なく、健康診断などで偶然見つかることがほとんどです。
自覚症状がないまま進行し、気づいたときにはすでにがん化していたというケースもあり得るため、定期的な内視鏡検査が非常に大切です。
稀に次のような症状が見られることもありますが、これは胃ポリープそのものよりも、ピロリ菌感染による胃炎の影響が疑われます。
- 胃もたれ
- 胃の不快感
- 胃痛
- 食欲不振
2-2 大きくなると貧血の原因となる
胃ポリープが大きくなると、出血によって貧血を引き起こすことがあります。
ポリープの表面から少量ずつ出血が続くと、体内の鉄分が失われ、慢性的な鉄欠乏性貧血を招くことがあります。
貧血により、次のような症状が起こることがあります。
・動悸
・息切れ
・めまい
・吐血(口から血を吐く)
・下血(黒っぽい便が出る)
とくに過形成性ポリープは出血のリスクが高く、がん化した部位から出血する可能性もあります。
また、抗血栓薬(バイアスピリン、バファリン、ワーファリンなど)を服用している方は、出血リスクがさらに高まります。
このような薬を使用中の方は、胃カメラ検査の際に必ず医師に申告しましょう。
3章 よくあるQ&A
ここでは、胃ポリープに関するよくある質問についてお答えします。
Q1:胃ポリープが見つかったら、すぐ切除しないといけないの?
胃ポリープの種類によって異なりますが、すべてのポリープをすぐに切除する必要はありません。
特に過形成性ポリープや胃底腺ポリープの多くは良性で、小さければ経過観察となることが一般的です。
ただし、大きさが2cmを超える場合や、がんの疑いがある形状をしている場合には、内視鏡的切除が推奨されます。
Q2:薬で小さくすることはできますか?
薬で胃ポリープを完全に消失させることは難しいですが、ピロリ菌の除菌治療を行うことでポリープが縮小したり、消失することが報告されています。
特に過形成性ポリープは、ピロリ菌除菌後にサイズが小さくなったという例が多くあります。
Q3:放置したらどうなる?
小さなポリープを放置していてもすぐに問題になるわけではありませんが、知らない間にがん化するリスクがあるため、定期的な胃カメラ検査が重要です。
また、出血によって貧血を起こしたり、稀に胃の通過障害を引き起こすこともあります。
ポリープの形や大きさによって対応が異なるため、専門医の判断を受けたうえで経過観察するか、切除するかを決めることが大切です。
4章 胃ポリープとピロリ菌の関係
胃ポリープとピロリ菌には密接な関係があります。
とくに過形成性ポリープは、ピロリ菌による慢性胃炎が背景にあることが多く、除菌によってポリープが消えるケースもあるのです。
ピロリ菌は胃の粘膜に住みつき、慢性的な炎症を引き起こします。
長期間にわたって炎症が続くことで粘膜の再生異常が起こり、ポリープや前がん病変が形成されることがあります。
そのため、胃ポリープと診断された場合には、ピロリ菌の感染有無を調べることが非常に重要です。
ピロリ菌が陽性だった場合には、除菌治療を行うことで以下のような効果が期待されます。
- 過形成性ポリープの縮小や消失
- 胃炎の改善
- 将来的な胃がんリスクの軽減
除菌治療は保険適用で行うことができますが、胃カメラによる確定診断が必須です。
詳しくは、下記のリンクもご覧ください。
5章 胃ポリープの治療方針
続いては、胃ポリープと診断された場合の治療について解説します。
実際の治療方針は、ポリープの種類や大きさ、数、出血の有無、悪性の可能性などによって異なります。
5-1 ポリープの種類によって異なる
胃ポリープにはさまざまな種類があり、それぞれに治療の考え方が異なります。
5-2 経過観察になる場合
多くのポリープは、すぐに処置が必要ではなく定期的な内視鏡検査で経過を見ていくことになります。
特に良性の過形成性ポリープや胃底腺ポリープなどは、急激な変化がない限り半年~1年ごとのフォローで十分なケースもあります。
以下のような場合には、経過観察が選ばれることが多いです。
- 大きさが小さく(5~10mm未満)
- 形状が整っていて出血や潰瘍がない
- 病理検査で明らかに良性と判定された
とはいえ、「がん化しないとは限らない」というリスクもあるため、定期的なフォローアップ検査は欠かせません。
5-3 切除が必要なケース
以下のような場合には、内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)が選択されます。
- 大きさが2cm以上ある
- 表面に潰瘍や出血がある
- 形が不整で悪性の可能性がある
- 腺腫性ポリープや腺癌の可能性が否定できない
内視鏡での切除は、体に大きな負担をかけずに日帰りで行えるケースも多く、比較的安全性の高い処置です。
また、切除した組織は病理検査で詳細に調べることができるため、今後の診療方針を立てる上でも非常に有効です。
「取るべきか、様子を見るべきか」については、内視鏡での観察や生検結果をもとに判断されます。
6章 まとめ|胃ポリープは内視鏡で正確に把握を
胃ポリープの多くは良性ですが、一部にがん化のリスクを持つタイプも存在します。
自己判断で放置せず、胃カメラによる正確な診断を受けることが大切です。
検査の結果、経過観察になるケースもあれば、ピロリ菌の除菌で改善が期待できることもあります。
不安がある方、健診でポリープを指摘された方は、早めのご相談をおすすめします。
当院での検査をご希望の方へ
当院では、経鼻・経口・鎮静剤対応の胃カメラを行っており、患者さまに合った検査方法をご提案しています。
胃ポリープやピロリ菌が気になる方も、お気軽にご相談ください。
※この記事は2023年1月18日に公開され、2025年6月3日に更新されました。
施設紹介
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>
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