胃の痛みはどこから来る?症状や原因、治療法について解説

腹痛

皆様こんにちは、尚視会理事長・内視鏡専門医の原田です。当クリニック「東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリック 足立区院」は、北千住駅徒歩2分にある内視鏡専門クリニックです。

今回は、胃の痛みとは何なのか、原因や症状、治療方法について詳しく解説したいと思います。

胃の痛みには多くの原因がありますが、どこからくるのでしょうか?

胃の痛みは、胃以外にも他の臓器から来ている可能性があり、特に深刻な病気が隠れている場合があります。

したがって、胃の痛みが原因不明、持続性、または重度の場合は、必ず消化器専門の医師の診察を受けてください。

胃の痛みとは?

胃の痛みは、「胃痛」とよく言われ、みぞおちの辺りが痛む際に言います。

また、胃の痛みは以下のような胃以外の他の臓器からも発生している可能性があります

・胃

・肝臓

・胆嚢

・膵臓

・小腸

・大腸

これらはすべて消化器系の臓器ですが、お腹の壁である腹壁や、お腹の皮膚、筋肉にも痛みが生じる可能性があります。

また、お腹に感じる痛みは、胸、骨盤、背中など、他の場所から発生している場合もあります。

では、具体的な症状をみていきましょう。

上腹部症状

胃の痛みの症状は?

胃の痛みはさまざまな形をとることがあり、痛みの症状によって、場所や重症度などさまざまなことがわかります。

・軽度または重度の痛み

・鈍いまたは鋭い痛み

・灼熱感のあるズキズキした痛み

・一定または断続的な痛み

・締め付けられるような痛み

・脈打つような痛み

ほとんどの人が、生涯の中で胃の痛みを経験しますが、深刻なものでは無いケースがほとんどです。

しかし、深刻な病気や緊急事態の兆候である可能性もあるため、症状を聞くことは非常に重要です。

一般的には、緊急性が高い痛みの症状とそれほど高く無い痛みがあり、以下のような症状を持ちます。

①緊急性がそれほど高くない胃痛

・短期間で症状が収まる

・症状が一時的で繰り返し起こらない

②緊急性がやや高く病院で診察が必要な胃痛

・胃痛の症状が長時間続く

・胃痛に胃もたれの症状が伴う

・胃痛に胸やけの症状が伴う

・痛みが治ったり、ぶり返したりを繰り返す

・胃痛に発熱や下痢、便秘の症状が伴う

③緊急性が非常に高い胃痛

そして、直ちに病院で診察してもらう必要がある場合は以下のようなケースです。

我慢できないような鋭い痛み

冷や汗をかくほどの胃痛

吐血や嘔吐の症状が伴う痛み

痛い場所を押して、離したときに痛みが増加する

歩くと痛みがひびく

医師は、痛みがどのように感じられるか、どのくらいの頻度で感じるか、どの程度深刻かについて把握するために問診を取ります。

これにより、あなたがどのような状態にあるかについての追加の手がかりが得られます。

胃の痛みの主な原因

では、なぜ胃が痛むのでしょうか?その原因について考えていきましょう。

胃の痛みには多くの理由があり、消化器疾患やけが、そのほか感染症などに関係している可能性があります。

一般的に考えられる原因は以下です。

・ストレス(心身による)

・内臓過敏症

・腹部の膨満

・外傷

・筋肉の緊張

内部の臓器だけでなく、またはお腹の筋肉や皮膚に由来する可能性があります。

医師は、これらの原因を特定するために、痛みについて詳細な質問をしますが、必ずしも全てが深刻なものを示すわけではありません。

ほとんどの原因は一時的なものであり、深刻ではありませんが、特に激しい場合があり、生命を脅かす状態があります。

消化器系の病気が原因の場合

食べた後の胃の痛みは、次の原因による可能性があります。

・消化不良

・ガス

・便秘

・下痢

・食物アレルギー

・食中毒

・炎症

特に臓器の炎症や感染は、次のような一時的な炎症を引き起こす可能性があります。

ウイルス性胃腸炎(感染性胃腸炎)

消化性潰瘍疾患

胃食道逆流症(GERD)

ヘリコバクターピロリ感染 

胃腸炎は、過度のアルコール摂取、慢性的な嘔吐、ストレス、またはアスピリンや他の抗炎症薬などの特定の薬の使用による刺激によって引き起こされる可能性があります。

また、ヘリコバクターピロリは胃の粘膜に生息する細菌であり、治療を行わないと、感染症は潰瘍を引き起こし、一部の人々は胃がんを引き起こす可能性があります。

原因となる病気は、痛みの部位によって想定できる場合がある

痛みの原因を特定する上で重要なポイントとしてあるのが、痛みの部位です。

さまざまな部位の痛みは、さまざまな臓器が関与していることを示している可能性があるため、確認することが大切です。

部位によって以下のような病気が関与していることが考えられています。

①右上腹部の痛み

右上腹部には、肝臓、胆嚢、胆管があり、小腸と大腸の最初の一部分も通過します。

そのため、右上腹部の痛みは、次のような肝疾患または胆嚢疾患に関連している可能性が最も高いです。

・肝炎(アルコール性、毒性、代謝性、 ウイルス性または自己免疫性)

・胆石

・胆嚢炎(胆嚢炎)

・胆管がん、結石および狭窄

・胆嚢がん

・肝臓がん

また、十二指腸、上行結腸、右腎臓などの局所的な問題である可能性もあります。

・腎臓感染症

・腎臓結石

・十二指腸潰瘍

・大腸閉塞

②左上腹部の痛み

左上腹部には、胃、膵臓、脾臓があり、左上腹部の痛みは次のことを意味する可能性があります。

・膵炎(膵臓が炎症を受けている状態)

・膵臓がん

・脾腫(脾臓の肥大)

・胃炎

・胃潰瘍

・胆汁逆流

・胃がん

・腎感染

・腎臓結石

そして、痛みが胸から出ている場合は、次のような原因が考えられます。

・胸焼け

・狭心症

・非心臓性胸痛

・心臓発作

・心膜炎

・肺炎

・胸膜炎

・肺塞栓症

③下腹部の痛み

下腹部には、小腸と大腸があり、ここでの痛みは、胃腸疾患に関連している可能性が最も高いです。

また、尿管、卵巣、子宮に関連している可能性もあります。

下腹部の痛みの原因は次のとおりです。

・過敏性腸症候群

・機能性消化不良

・炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)

・大腸または小腸閉塞

・小腸がん

・結腸がん

・腹部大動脈瘤

・腹膜炎

・腸間膜リンパ節炎

・腸(腸間膜)虚血性症候群

・ヘルニア

・腎臓結石

さらに、骨盤内臓器からの痛みは、次のような婦人科系疾患の原因による可能性があります。

・子宮内膜症

・卵巣嚢胞

・骨盤内炎症性疾患

・子宮外妊娠

・卵巣がん

・子宮がん

特に左下腹部にある痛みは、ほとんどの場合、結腸の憩室症と憩室炎に関連しています。

憩室(腸壁の小さな外袋)は結腸全体に発生する可能性がありますが、通常は左下部分に発生します。

また、右下腹部の痛みは、虫垂に関連している可能性があり、炎症(虫垂炎)などが考えられます。

胃の痛みの治療方法は?

ここまで、胃の痛みの症状や原因について説明してきましたが、どんな治療方法があるのか説明したいと思います。

胃の痛みにはさまざまな原因があり、それに対応する治療法があります。

多くの場合、生活習慣の改善や、内服薬、ピロリ菌の除菌などで治療を行います。

例えば、潰瘍や感染症などの他の症状は、薬で和らげることができます。

胃の痛みの原因がわからない場合は、まずは、自然に軽快するかどうかを見ることも重要です。軽度の場合でも深刻になる可能性があることを忘れないでください。

①生活環境の改善

まず身の回りでできる治療法として挙げられるのが生活環境の改善ですが、以下のような点に注意しましょう。

胃酸分泌を促進する飲食物

飲酒や喫煙

コーヒー・紅茶などのカフェイン

刺激が強い香辛料

脂質の多い食事

食べ過ぎ

また、普段の生活環境も大きく影響されますので、睡眠や規則正しい生活を心がけましょう。

③薬物治療(内服薬)

3つ目が内服薬などの薬物治療です。

胃の痛みを改善する薬物としては、以下の通りです。

・胃酸分泌を抑える薬

・胃粘膜を保護する薬

・胃の運動機能を改善する薬

これらを症状や進行状態に合わせて服用します。

胃食道逆流症(GERD)による胸焼けの場合は、制酸剤または酸還元剤などを処方し、便秘の場合は、便軟化剤または下剤が有効です。ただし、なるべく市販薬は避けましょう。

市販薬の中にも効果的なものがありますが、胃炎は胃潰瘍や進行した胃がんと同じような症状があるため、定期的な検査を受けずに市販薬を飲み続けるのは危険です。

④ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療

原因として挙げたピロリ菌に関する治療も忘れてはいけません。

内視鏡検査ではヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無も調べ、除菌治療まで保険診療で受けられます。

除菌の成功率は100%ではありませんが、ほとんどの場合、2回の治療で除菌治療に成功しています。

⑤痛みの緩和

最後に、根本的な治療にはなりませんが、鎮痛剤を使う場合もあります。

他の種類の痛みについては、アセトアミノフェンなどが役立ちます。

ただし、アスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は胃を逆に刺激する可能性があるため、使用には注意が必要です。

胃の痛みを放っておくとどうなる?

痛みが原因不明、持続性または、重度の場合、怪我をしたり妊娠している場合は、必ず医師の診察を受けてください。

また、痛みに次の症状のいずれかが伴う場合は、緊急性が高いため、医師の診察を受ける必要があります。

・持続的な発熱がある

・持続性の吐き気または嘔吐がある

・便、尿、または嘔吐物の血液

・黄疸(目や皮膚の黄変)

・他の部分の痛み

・息切れや労作により悪化する症状

非常に多くの疾患が胃の痛みを引き起こす可能性があるため、放っておくと大変なことになります。

ガスや消化不良、月経困難症、さらには食中毒やインフルエンザなどの一般的な原因はすぐに認識できる場合があります。

また、胃の痛みの原因となる胃炎を治療せずに放置すると、重度の失血につながる可能性があり、胃がんを発症するリスクが高まる可能性があります。

他の原因はもっと分かりづらいものがあり、時々胃の痛みは予想外のまたは深刻な状態の兆候です。

一般的な原因は治療が簡単なことが多く、症状を診断してもらうと安心です。

胃の痛みが軽い場合でも、痛みが治まらない、再発し続ける、または悪化する場合は、必ず医療機関に相談することが大切です。

胃の痛みの検査方法

胃の痛みの原因となっている疾患が無いかを検査で調べることが大切です。

以下のさまざまな検査方法で胃の痛みの原因を調べることが可能です。

問診

血液検査

超音波検査

胃内視鏡検査

大腸内視鏡検査

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①問診

まず、胃の痛みに関する問診が重要であり、痛みの部位や急性なのか慢性なのかなどによって、治療薬も異なるためです。

医師から以下のような問診を受けます。

・どこが痛むのか

・どんな感じに痛むか

・どのくらいの時間痛むか

・悪化しているか

・一箇所にとどまるか動くかどうか

・他にどのような症状があるか

これらの回答をもとに緊急治療を必要とするかどうかを決定します。

②血液検査や尿検査

次に、行うべきなのが血液検査です。

これは主に炎症しているかどうかを調べるために行い、感染症または出血が想定される場合は白血球数やヘモグロビンの値も確認します。

他の血液検査では、肝臓、膵臓、心臓の酵素を調べて、どの臓器が関与しているのかを分類する場合があります。

尿路感染症または血液を探すための尿検査を行う場合もあります。

③超音波検査(腹部エコー検査)

超音波検査は、医師が病状を診断および治療するのに役立つ非侵襲的な医療検査であり、痛みはほとんど伴いません。

トランスデューサーと呼ばれる小さなプローブと、皮膚に直接配置されたジェルを使用します。

コンピュータはそれらの音波を使用して画像を作成し、超音波検査は放射線 (X線)を使用しません。

超音波はリアルタイムで画像をキャプチャするため、体の内臓の構造と動きを示すことができます。画像はまた、血管を流れる血液を示すことができます。

この腹部超音波検査では、上腹部の臓器やその他の構造を確認することができ、主に腹部超音波画像検査は、以下を評価するために実行されます。

・腎臓

・肝臓

・胆嚢

・胆管

・膵臓

・脾臓

・腹部大動脈および腹部の他の血管

④胃内視鏡検査(胃カメラ)

上部消化管内視鏡検査は、先端にライトとカメラを備えた薄いスコープを使用して、上部消化管(食道、胃、および十二指腸と呼ばれる小腸の最初の部分)の内部を観察する手順です。

上部消化器系の出血などの状態を特定して治療するために、病院または救急治療室で上部内視鏡検査を行う場合があります。

また、胃痛の原因となるピロリ菌感染の有無も調べることができます。

胃粘膜の状態を確認し、同時にヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無を確認します。

特に、胃炎は胃がんの原因ともなるため、早期発見が重要です。

⑤大腸内視鏡検査

大腸がんや消化器系のものが疑われる場合は、お尻から胃内視鏡検査の時と同じようなスコープを挿入して行います。

大腸全体をリアルタイムに観察することができます。

ただし、より鮮明な画像を撮るために前処置として前日、検査当日にかけて下剤と腸管洗浄液を飲み、腸管内をきれいにする必要があります。

また、挿入時に不快感や痛みを感じることがありますが、鎮静剤(静脈麻酔)で対応するため、問題なく検査が行えます。当クリニックでも鎮静剤を用いたい内視鏡検査を行っています。詳細につきましては、外来でご相談ください。

まとめ。胃の痛みがあったら内視鏡検査を受けよう

このように、胃の痛みはさまざまな疾患に隠れており、放っておくと、取り返しのつかないことになり得ます。

特に、次のような症状がある場合は、消化器系の病気の可能性が高いため、内視鏡検査が勧められます。

消化不良が続いている

胸焼けがある

上腹部(腹部)の痛みがある

繰り返し嘔吐する

以上のような胃の痛みが少しでもあれば、当クリニック消化器専門外来を受診して、ぜひご相談ください。

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