
「お刺身を食べた翌日に、突然の激しい腹痛…」
そんな経験はありませんか?それ、もしかするとアニサキス症かもしれません。
この記事では、アニサキス症の症状や原因、予防方法から当院で行っている除去治療まで、幅広くわかりやすく解説します。生魚をよく食べる方や、心当たりのある症状がある方はぜひ最後までご覧ください。
目次
アニサキス症とは?~魚介類に潜む寄生虫のリスク~
アニサキス症は、生魚や加熱が不十分な魚介類を食べることで発症する寄生虫感染症です。アニサキスは長さ2~3cm、幅0.5~1mm程度の白い糸状の幼虫で、サバやアジ、サンマ、サケ、イカなどの魚の内臓や筋肉に寄生しています。
特に自家製のシメサバや冷凍処理されていない生魚の喫食で発症する例が多く報告されています。症状はアニサキスが寄生する部位によって異なり、強い腹痛やアレルギー反応を引き起こすこともあります。
アニサキスは下記のように白く細い糸状の見た目をしています。

※上の画像に映っている白い線のようなものがアニサキスです。
当院では、アニサキス症に関する詳細ページを公開しております。事前に知っておくべき予防策や症状の確認にぜひお役立てください。
アニサキスによる激しい腹痛でお悩みの方は、こちらの記事も参考にしてください。
アニサキス症の代表的な症状
アニサキスが体内に侵入すると、以下のような症状が現れます。発症部位によって症状が大きく異なるため注意が必要です。
● 胃アニサキス症
食後数時間~十数時間で発症し、患者の95%以上がこのタイプです。激しい上腹部の痛み、吐き気、嘔吐が主な症状です。
● 腸アニサキス症
発症は食後数時間から数日後で、腹痛や嘔気、腸閉塞・腸穿孔を起こす可能性もあります。発症頻度は約4%です。
● 消化管外アニサキス症
まれに腸管を突き破って大網や卵巣、皮下組織などに移動し、移動先によって痛みの部位が異なります。発症頻度は0.45%と稀です。
● アニサキスアレルギー
魚介類を生で食べた後に蕁麻疹やアナフィラキシー様症状を起こすケースがあります。血圧低下や呼吸困難、意識消失の報告もあり、注意が必要です。
アニサキス症と似た症状をもつ病気との違い
アニサキス症による胃痛は非常に強く、「胃潰瘍かと思った」「過去に経験したことのない痛み」と言われることもあります。ただし以下のような消化器疾患とも症状が類似するため、鑑別が必要です。
病名 | 主な症状 | アニサキスとの違い |
---|---|---|
急性胃炎 | 胃もたれ、みぞおちの痛み、吐き気 | 徐々に痛みが出る、食後に限らない |
胃潰瘍 | 空腹時の痛み、胸やけ | 慢性的に続くことが多い |
胆石症 | 右上腹部の鋭い痛み、背中に放散 | 脂っこい食後に出やすい |
腸閉塞 | 下腹部痛、嘔吐、便秘、膨満感 | ガスが出ない、持続的な痛み |
アニサキス症が疑われたときの初期対応
食後すぐ~12時間以内に激しい胃の痛みや吐き気がある場合、アニサキス症が疑われます。このとき注意したいのは、自己判断で市販薬を飲んだり、様子を見て放置することです。以下に当てはまる場合は、速やかに消化器内科を受診しましょう。
- 食後すぐ~半日以内に突発的な激しい上腹部痛がある
- 冷や汗を伴う、のたうち回るような痛み
- 嘔気・嘔吐が止まらない
- 蕁麻疹、呼吸困難などアレルギー反応が出た
これらはアニサキスの典型症状であり、早期発見・除去によって症状が急速に改善する可能性があります。特に胃内寄生の場合、内視鏡による除去で即日対応が可能です。
アニサキスの予防方法
アニサキスによる感染を予防するには、以下の方法が有効です。
- 魚介類は必ず60℃以上で1分以上加熱する
- 冷凍処理(-20℃以下で24時間以上)された魚を使用する
- 魚を購入後すぐに内臓を取り出す(筋肉への移動を防ぐ)
- 刺身などの調理時には白い糸状の虫がいないか目視確認する
特に自家製のシメサバや冷凍処理のない生魚には注意が必要です。
内視鏡でのアニサキス除去|実際の症例紹介
当院では数多くのアニサキス除去実績があります。以下は、実際に当院で対応した30代男性のケースです。
- 夜に自家製シメサバを食べ、早朝からみぞおちに激痛
- 嘔吐を伴いながら来院、内視鏡検査を即日実施
- 胃の粘膜にアニサキスを発見、鉗子で除去
- 除去後、痛みは30分でほぼ消失し、翌日には回復
このように、胃アニサキス症であれば、胃カメラによる処置が非常に有効です。当院では鎮静下での内視鏡検査が可能なため、不安や痛みが少ない環境で治療を受けられます。
「内視鏡ってどんな検査?」「痛くないの?」と気になる方も多いかと思います。
実際の検査の流れをイメージしておきたい方は、下記のマンガもぜひご覧ください。
アニサキスの治療方法
現在、アニサキスに対して有効な駆除薬は存在しません。治療は主に「物理的に体外へ取り除く」ことに重点が置かれます。
● 胃アニサキス症の治療
胃カメラ検査によってアニサキスが確認できれば、その場で鉗子により摘出することが可能です。
● 腸アニサキス症の治療
自然排出を待つか、対症療法で症状を緩和します。重症化すると手術が必要になることもあります。
● アニサキスアレルギーの治療
抗アレルギー薬で症状の緩和を図ります。重度のアナフィラキシーには救急対応が求められます。
当院でのアニサキス検査について
「魚を食べたあとに強い腹痛がある」「アニサキスかもしれない…」と感じた方は、ぜひ当院にご相談ください。当院では、消化器内視鏡専門医による胃カメラ検査を通じて、アニサキスを正確に発見し、可能であればその場で除去いたします。
また、検査時には鎮静剤の使用も可能なため、痛みや苦痛を感じにくい環境での検査が可能です。土日診療にも対応し、24時間WEB予約・LINE予約も受け付けております。
お電話でのご予約(03-5284-8230)も、9時〜17時で受け付けております。
※この記事は2024年4月30日に公開され、2025年5月27日に更新されました。
施設紹介
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>
ホームページ https://www.senju-ge.jp/
電話番号 03-3882-7149
住所 東京都足立区千住3-74 第2白亜ビル1階
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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