血便の原因はストレス?病気?原因や検査方法を専門医が解説

「最近血便が出たけど、ストレスが溜まっているせいかしら…」
「血便が出ると、どのような病気の可能性があるの?」

このような不安を感じている方は少なくありません。血便があると「大きな病気ではないか」と心配になりますよね。特にストレスを日常的に感じている方であれば、体に何か異常が起きているのではと不安になるのも当然です。

実際、血便の原因はひとつではなく、さまざまな要因が絡み合っています。この記事では、ストレスと血便の関係や、血便が出たときに考えられる病気について詳しく解説します。

血便に関する情報はこちらもご覧ください

▶ 血便|原因・病気の可能性について解説

1章 ストレスで血便が出ることはある?

「ストレスで血便が出た」という話を耳にすることがありますが、実際にはストレスと血便に直接的な因果関係はないとされています。どれだけストレスがたまっていても、それだけで血便が出るわけではありません。

ストレスが強かった時期と血便が出た時期がたまたま重なった――そのように捉えるのが医学的な見解です。

ただし、ストレスが体に影響を与えるのは事実です。たとえば、以下のような病気はストレスと深く関係しています。

  • 気管支喘息
  • 過換気症候群
  • 高血圧症・糖尿病
  • 円形脱毛症 など

血便の直接の原因にならないとはいえ、ストレスはあらゆる病気のリスクとなるため、軽視はできません。

2章 ストレスと密接な関係があるのは過敏性腸症候群

ストレスが直接血便を引き起こすことはありませんが、ストレスが影響する疾患のひとつに「過敏性腸症候群(IBS)」があります。

2-1 過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは、腸が通常よりも敏感になり、下痢や便秘などを繰り返す慢性的な機能性疾患です。大腸の検査をしても、器質的な異常は見つからないのが特徴です。

症状の現れ方には個人差があります。たとえば:

  • 下痢型:常にお腹を下しやすい
  • 便秘型:なかなか出ない
  • 交代型:下痢と便秘を繰り返す
  • ガス型:お腹にガスが溜まりやすい

主な原因はストレス、不規則な生活、暴飲暴食、アルコールの過剰摂取などです。治療には整腸薬のほか、心理的アプローチが必要な場合もあります。

2-2 過敏性腸症候群で出血する理由

過敏性腸症候群自体で大腸から出血することはまれですが、排便トラブルによりを併発することで、出血が見られる場合があります。

下痢が続くことで肛門が切れやすくなったり、便秘でいきむ時間が長くなりいぼ痔が悪化したりすることで、血便につながるのです。

肛門に痛みがあり、排便時に鮮血が見られる場合は、まず痔の可能性を疑います。ただし、痔以外の病気が隠れているケースもあるため、自己判断せず検査を受けることが大切です。

2-3 大腸検査の必要性と当院の対応

たとえ過敏性腸症候群の可能性が高いとされても、大腸の病気が完全に否定できるわけではありません。安全のためにも、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けてしっかり確認することが重要です。

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当院では、WEBから24時間いつでも大腸カメラの予約を受け付けています。

2-4 過敏性腸症候群の予防法

過敏性腸症候群は、食事や生活習慣の見直しによって予防が可能です。

  • コーヒーやアルコール、香辛料などの刺激物は控える
  • 脂っこいものや炭水化物のとりすぎを避ける
  • FODMAP食を意識してみる

特に下痢型の方には「低FODMAP食」が推奨されます。FODMAPとは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質群を指します。小麦粉、りんご、大豆などを避けることで、お腹の状態が改善されることがあります。

詳しくは、以下の記事も参考にしてみてください。

▶ なぜFODMAPは、腸の健康を左右するのか?

また、ストレス管理も大切です。趣味の時間をつくったり、睡眠をしっかりとるなど、自分に合ったリラクゼーションを意識しましょう。

3章 血便が出る可能性がある病気

血便とは、便に血が混じっていたり、便とは別に血液が排出されたりする状態のことを指します。

見た目ですぐに分かるものから、検査でしか発見されないものまでさまざまです。ここでは血便の原因となり得る代表的な疾患を4つご紹介します。

3-1 痔からの鮮血便

切れ痔やいぼ痔など、肛門近くで起こる疾患は血便の原因になります。痔による出血は肛門に近いため、鮮やかな赤い血(鮮血)が特徴です。

切れ痔は、固い便や下痢などによって肛門が裂けて出血する状態です。排便時に強い痛みが伴います。いぼ痔(痔核)は、肛門の内側や外側に腫れた部分ができるもので、便秘やいきみが原因で起こります。

3-2 潰瘍性大腸炎による粘血便

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症やびらん、潰瘍が起こる原因不明の疾患です。厚生労働省により指定難病にも指定されています。

腹痛・下痢とともに、粘液と血液が混ざった粘血便が出ることが多く、日常生活に支障をきたすケースもあります。免疫の異常や腸内環境が関係しているのではないかと考えられています。

3-3 大腸ポリープによる出血

大腸ポリープとは、大腸の粘膜から突き出すようにできる良性の腫瘤のことです。大きくなると便とこすれたり、ポリープの表面が傷ついたりして出血を起こすことがあります。

微量の出血であれば自覚症状がないまま、便潜血検査などで初めて見つかるケースもあります。

3-4 大腸がんによる血便

大腸がんは、結腸や直腸に発生する悪性腫瘍で、進行すると血便の症状が現れることがあります。

その他、便が細くなる・便秘や下痢を繰り返す・腹痛がある、などの症状が一緒に見られる場合は、精密検査が必要です。初期は無症状であることも多く、検査による早期発見が大切です。

血便に関する疑問をマンガで解説しています

マンガでわかる血便

4章 血便の主な種類

血便といっても、その色や性状によって種類が分かれます。見た目の違いから、出血している場所や原因の目星をつけるヒントになることがあります。

また、黒っぽい便(タール便)は血便とは区別され、「下血」と呼ばれます。これは胃や小腸からの出血が酸化されたもので、特に注意が必要です。

4-1 鮮血便(せんけつべん)

鮮血便とは、鮮やかな赤い血が付着したり、便と一緒に流れ出たりするタイプの血便です。肛門や直腸など、お尻に近い部位で出血が起こった場合に見られます。

多くは痔による出血が原因ですが、同じような症状で大腸がんが見つかるケースもあるため、油断は禁物です。

4-2 粘血便(ねんけつべん)

粘血便とは、粘液と血液が混ざり合ってベタっとした状態になっている血便のことです。

これは腸の粘膜から分泌された粘液と、大腸内で出血した血液が一緒になったもので、潰瘍性大腸炎や感染性腸炎、重度の食生活の乱れなどが原因として挙げられます。

粘血便が続く場合には、早めの医療機関の受診が推奨されます。

5章 血便が出たらどうしたらいい?

血便が出た場合、まずは消化器内科を受診し、出血の原因を調べる必要があります。

「お尻が痛いから痔かな」と思っていても、実は大腸に異常があるケースもあります。自己判断せず、しっかりとした検査を受けることが大切です。

特に大腸からの出血が疑われる場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)が基本となります。

5-1 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸内視鏡検査は、肛門からスコープを挿入して大腸全体を直接観察する検査です。ポリープや炎症、がんなどの病変を確認できる、最も信頼性の高い検査法とされています。

検査の前には、腸を空っぽにするための下剤を服用していただきます。下剤の飲み方やタイミングも重要で、検査精度を左右する要素となります。

5-2 便潜血検査について

便潜血検査は、便の中に微量な血液が混じっていないかを調べる検査です。健診などでも広く実施されており、大腸がんのスクリーニングとして用いられます。

ただし、すでに目に見える血便がある場合には、便潜血検査を行っても意味がありません。血便が確認された場合には、大腸内視鏡検査が第一選択となります。

検査を通じて、確実に出血の原因を見つけ、早期の治療につなげることが重要です。

6章 苦痛が少ない大腸カメラ検査なら当院へ

「大腸カメラは痛そう」「恥ずかしいし不安…」そんな声をよく耳にします。当法人の内視鏡クリニックでは、こうした不安を払拭できる体制を整えています。

6-1 内視鏡専門医が担当

当院では、すべての大腸カメラ検査を内視鏡専門医が実施します。経験豊富な医師が短時間で正確に検査を行うため、負担も軽減されます。

6-2 鎮静剤(静脈麻酔)を使用

眠った状態で検査を受けられるよう、鎮静剤(静脈麻酔)を使用しています。検査中の不快感や緊張感が少なく、初めての方にも安心です。

6-3 院内で下剤を飲むことが可能

自宅での前処置が不安な方のために、当院では半個室スペースでの下剤服用も可能です。看護師が常駐し、万が一の体調変化にも即時対応できる体制を整えています。

プライバシーに配慮した半個室で下剤を飲むことができます

プライバシーに配慮した下剤服用スペース

まとめ

  • ストレスは血便の直接原因にはなりませんが、間接的に関係することがあります
  • 過敏性腸症候群や痔、潰瘍性大腸炎、大腸がんなど、さまざまな疾患が血便の原因になり得ます
  • 血便が見られたら、まずは消化器内科を受診し、大腸カメラ検査を検討しましょう
  • 当院では、苦痛の少ない大腸カメラ検査を専門医が担当しています

当クリニックでは24時間WEB予約が可能です。血便や便通異常が気になる方は、お気軽にご相談ください。

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※この記事は2023年3月9日に公開され、2025年6月15日に更新されました。

施設紹介

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>

ホームページ https://www.senju-ge.jp/

電話番号 03-3882-7149

住所 東京都足立区千住3-74 第2白亜ビル1階

診療時間
9:00~12:00
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※予約検査のみ
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アクセス

JR北千住駅西口より徒歩2分、つくばエクスプレス北千住駅より徒歩2分、東京メトロ日比谷線北千住駅より徒歩2分、東京メトロ千代田線北千住駅より徒歩2分、東武伊勢崎線北千住駅より徒歩3分

尚視会での内視鏡検査・診察は24時間予約を承っています。

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