ピロリ菌感染による症状とは?原因や注意すべき病気についても解説

「ピロリ菌に感染したら、どんな症状がでてくる?」
「ピロリ菌に感染するとどんな病気になる?」

ピロリ菌について、以上のような疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。ピロリ菌感染は、すぐには自覚症状が現れず、胃炎や潰瘍、胃がんなどを発症してから症状が現れることの多い感染症です。

日本人の多くがピロリ菌を持っていると言われているため、病気のリスクを抑えるためにもピロリ菌検査を受けることをおすすめします。

この記事では、ピロリ菌に感染した場合の症状や発症リスクのある病気について解説します。検査法や治療法、予防法についてもお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。

1章、ピロリ菌感染とは

ピロリ菌感染とは、ピロリ菌に感染して胃にトラブルや病気を抱えやすくなった状態です。 ピロリ菌の正式名称は、ヘリコバクター・ピロリといいます。ここではピロリ菌の概要とピロリ菌感染の原因について解説します。

1-1、ピロリ菌とは何か

ピロリ菌は、胃に感染する細菌であり、ピロリ菌感染症を引き起こすことがあります。ピロリ菌に感染すると、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどを招くことがわかっています。

ピロリ菌を除去せずに放置すると、胃の中に留まり続け、慢性的な炎症が続く場合もあります。その結果、胃の粘膜を保護する能力が低下し、ストレスや高塩分の食事、発がん性物質などの影響を受けやすい状態になるのです。ピロリ菌感染症の治療は保険適用される場合もあるため、除菌したい場合はまずは医師に相談するとよいでしょう。

1-2、ピロリ菌感染の原因

ピロリ菌の感染のルートは明確にはなっていませんが、主に口を介してうつると考えられています。たとえば親から乳幼児期の子どもへと、口を介して感染するケースが考えられます。

また上下水道が十分に普及していなかった時代は衛生環境が整っておらず、その時代に生まれた人たちの感染率は高い傾向にありました。一方で現在は、以前よりも衛生環境が整っているため、若い世代のピロリ菌感染率は低下しています。

2章、ピロリ菌感染による症状

ピロリ菌に感染してもほとんど症状が見られない場合が多いです。しかし中には、消化器系もしくは消化器系以外の病気による症状が見られることがあります。ここでは消化器系と消化器系以外の病気に分けて、ピロリ菌感染による症状を解説するので、該当するものがないかチェックしてみてください。

2-1、消化器系の症状

ピロリ菌感染による消化器系の主な症状は、次のとおりです。

・胸やけ
・胃もたれ
・みぞおちの痛み
・胃酸の逆流
・腹部膨満感
・腹痛
・嘔吐
・食欲不振

以上の症状は、ピロリ菌感染で併発した胃炎や潰瘍、胃がんなどの病気が原因で現れる症状です。

また、ピロリ菌に感染すると胃酸の分泌が低下します。それにより、通常であれば感じるはずの刺激物や脂質の多いものを食べ過ぎた際におこる胃もたれを感じにくくなります。そのため、食欲を抑制できずに食べ過ぎることがあるので注意が必要です。

2-2、その他の症状

ピロリ菌に感染した場合、次のような消化器以外の病気が現れることが、これまでの研究でわかってきました。

・血小板減少性紫斑病(ITP)
・慢性蕁麻疹
・鉄欠乏性貧血

ITPは、血液中の血小板が減少して出血しやすくなる病気。また蕁麻疹は、盛り上がった発疹ができてかゆみを伴う皮膚の病気です。これらの病気を抱えたピロリ菌陽性の患者に対して抗菌剤を使用してピロリ菌を除いた結果、半数以上の症状が改善することが分かっています。そのため、ピロリ菌感染はITPや蕁麻疹の原因の1つと考えられています。

また胃に感染したピロリ菌が、消化管による鉄の吸収を阻害することが明らかになりました。ピロリ菌の増殖にともない鉄が消費され、貧血を引き起こすこともあります。

さらにピロリ菌は、アンモニアなどの有害物質を生み出します。そのためピロリ菌に感染すると、口臭が発生することもあるのです。口臭の主な原因は、歯周病もしくはピロリ菌感染です。歯周病ではない方が口臭に悩んでいる場合は、ピロリ菌の感染が疑われます。

3章、ピロリ菌感染が原因で発症する病気

ピロリ菌感染が原因で発症する消化器系の病気は次のとおりです。

・慢性胃炎や萎縮性胃炎
・胃潰瘍や十二指腸潰瘍
・胃がん

それぞれの病気の特徴や症状について解説します。

3-1、慢性胃炎や萎縮性胃炎

ピロリ菌によって引き起こされる慢性胃炎は、胃の中で炎症が広がる病気です。また萎縮性胃炎は慢性胃炎が長期化して、胃の粘膜が薄くやせてしまった状態で、胃酸を分泌する組織も減少します。

胃炎になると、胃痛や吐き気、胸焼け、げっぷ、膨満感、おならが増えるなどの症状が現れます。

3-2、胃潰瘍や十二指腸潰瘍

胃潰瘍は、胃酸と胃粘液のバランスが崩れて発生します。胃粘液は胃酸から胃壁を保護する役割があるため、両者のバランスが崩れると胃壁にダメージを与えます。ピロリ菌以外にも喫煙やストレス、薬剤などが原因とされています。

主な症状はみぞおち部の鈍痛や胸焼け、吐き気です。胃の内部で出血を起こしている場合は、コールタール状の真っ黒な便が出ることもあります。

十二指腸潰瘍は、十二指腸にもダメージを与えることでおこる病気。十二指腸は胃の出口付近にあたるため、胃酸の影響を受けやすいのです。

十二指腸潰瘍の主な原因は、ピロリ菌感染といわれています。胃潰瘍と同様の症状がおこり、出血しやすい点が特徴です。十二指腸潰瘍になった場合は、内視鏡治療による止血やピロリ菌の除菌治療などが必要です。

3-3、胃がん

ピロリ菌感染が長期間続くと胃の粘膜が萎縮し、胃がんのリスクが高まります。胃がん患者の多くに、ピロリ菌の感染歴があることもわかっています。

胃がんは初期段階では無症状であり、進行すると腹痛や食欲不振、吐血、下血、貧血などの症状が現れます。内視鏡検査で早期に発見するとともに、ピロリ菌の除菌治療を行うことも大切です。またピロリ菌感染者が塩分を摂取すると胃がんの発生率が高まることになるため、塩分を抑えた食生活も推奨されています。

4章、ピロリ菌感染の検査と治療方法

ここではピロリ菌感染の有無をチェックするための検査方法と治療方法について解説します。

4-1、検査方法

ピロリ菌の検査方法は、胃カメラ(胃内視鏡検査)を使って行う方法と胃カメラを使わずに行う方法の2パターンにわかれます。

胃カメラを使ってピロリ菌検査を行う場合は組織を採取して、それをウレアーゼ検査や鏡検法、培養法などで調べます。また胃カメラを使わずに検査する方法には、次の検査法があります。

・尿素呼気試験法
・血中抗ピロリ菌抗体測定
・尿中抗ピロリ菌抗体測定
・便中ピロリ菌抗原測定

ピロリ菌の検査については、HPの「ピロリ菌」のページ内で詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

胃カメラについては、「漫画でわかる!胃内視鏡検査」をどうぞご参考にしてください。

4-2、治療方法

ピロリ菌感染を治療するためには、ピロリ菌を除菌する必要があります。はじめに行われる除菌は1次除菌と呼ばれており、一般的に処方されるのは胃酸分泌を抑制する薬と2種類の抗生物質の3つです。3つの薬を1週間にわたり服用すると、70~80%の人が除菌に成功するといわれています。また、必要に応じて胃の粘膜を保護する薬が併用されることもあります。

治療後は除菌が成功できたのかの確認が大切です。確認するためには、治療からしばらくして除菌後の判定検査を受けます。そして判定検査で再び陽性だった場合は、二次除菌を受ける必要があります。

ピロリ菌感染の治療については、「ピロリ菌を除菌するとどうなるの?除菌後の本当の話し」で詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

5章、ピロリ菌感染の予防法や注意点

ピロリ菌は、5歳以下の幼少期に感染することが多いといわれています。そのため、親から子どもへと感染するのを防いだり、家族全員で検査を受けたりして、子どもへの感染を予防することが大切です。

5-1、親から子どもへの感染に注意する

ピロリ菌は親から子どもへと感染することの多い細菌です。そのため、親の唾液のついた食事を食べさせたり、親が自分で使っていた箸で子どもに食事を与えたりしないように注意する必要があります。

ピロリ菌を子どもにうつすリスクを抑えるためにも、まずは親がピロリ菌の検査を受けることも大切なのかもしれません。

5-2、家族全員で検査を受ける

親がピロリ菌の保菌者だった場合、その子どももピロリ菌に感染している可能性があります。そのため子どもにもピロリ菌検査を受けさせた方が、より確実にピロリ菌感染を予防できるでしょう。

まとめ

今回はピロリ菌に感染した場合の症状について次の点をお伝えしました。

・ピロリ菌に感染しても自覚症状がない場合もある
・ピロリ菌に感染すると慢性胃炎や潰瘍、胃がんを発症するリスクがある
・ピロリ菌の感染を判定するためには医療機関で検査を受ける必要がある
・治療するためには抗菌薬を服用してピロリ菌を除菌する必要がある
・ピロリ菌を予防するためには、親が感染していた場合に、子どももピロリ菌の検査を受けることが大切

ピロリ菌感染について気になる場合は、医療機関でピロリ菌検査を受けてみてください。

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