直腸がんの外科手術はどんな術式?初期症状や受けるべき検査についても解説

直腸がんで手術が必要と診断された際に、多くの患者さんが「肛門は残せるのか?」「人工肛門になるのか?」と疑問に思われます。

直腸がんの手術にはいくつかの種類があり、がんの部位や大きさ、進行度によって術式を選びます。最近では、技術の進歩やさまざまな研究の成果により、肛門を温存する手術の施行件数が飛躍的に増加しています。

直腸がんの手術は、手術後の生活に与える影響が少なくありません。そのため、直腸がんが発見された場合には、医師とじっくり相談してご自分にとって最適な治療法を選択することが大変重要になります。

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニックでは、楽に検査を受けていただくために静脈麻酔を使用した大腸内視鏡検査を行っております。身体に余分な力が入らないので、短時間で精密な検査が可能になります。

内視鏡による検査・治療・手術の経験が豊富な内視鏡専門医がすべての大腸内視鏡検査を行っていますので、安心してお越しください。

当クリニックは、北千住駅から徒歩2分の駅近で通いやすい立地にあり、平日時間がとれない方のために土曜日・日曜日も診療と検査に対応しています。

直腸がんの手術は大きく分けて2種類

直腸がんの手術には、肛門を残さない「直腸切断術」と、肛門を残す「肛門括約筋温存切除術」の2種類の術式に大きく分けられます。それぞれ詳しく解説します。

直腸切断術

肛門に近い場所にできたがんでは、がんから十分な安全域を設けてがんを取り残しなく切除するためには、肛門を閉めたり緩めたりする大事な働きをしている肛門括約筋を一緒に切除する必要がある場合があります。

このような場合は、肛門も一緒に切除し、肛門の代わりになる便の出口として永久的な人工肛門(ストーマ)を造設します。肛門のあった部分はきれいに縫い閉じられ、1本の線のような傷になります。

肛門を切除した場合、人工肛門をおなかに作ることになりますが、人工肛門に抵抗をもつ患者さんは少なくありません。

最近では、技術の進歩やさまざまな研究の成果により、肛門近くのがんでも肛門機能を極力温存できる可能性が増えてきました。それを可能とする手術法のひとつが「括約筋間直腸切除術(ISR)」です。ISRは、肛門括約筋のうち、腸に近い側にある内肛門括約筋のみを切除し、外肛門括約筋は残して自然肛門を温存します。肛門は残るため、手術後も肛門から排便が可能となります。

しかし、肛門が残っても肛門括約筋の一部が失われるため、術後の肛門機能が低下し、便失禁や排便を長時間我慢できなくなったりなど、術後の後遺症に悩まされるというデメリットもあります。がんのある場所や進行具合によっては、がんを取り残す可能性が高くなるためこの手術をおすすめできない場合もあります。

肛門括約筋温存切除術

肛門括約筋温存切除術とは、肛門括約筋の一部を切除して、肛門と外肛門括約筋を残すことで、排便機能をある程度温存する手術です。

肛門からがんまで距離がある場合には、がんから肛門側に2〜3cm離して腸を切除し、残った腸同士をつなぎ合わせます。肛門は残るため、手術後もこれまで通り肛門から排便します。

しかし、直腸がないために便を貯めることができず、1回に出る便の量が少なくなったり、排便回数が非常に多くなったり、急に便意をもよおして我慢できなかったりなど、手術前とは排便の習慣が大きく変わります。

がんをすべて取り切るためには、がんから肛門側の腸を、最低2〜3cmの安全域を設けて切除する必要があります。がんが肛門括約筋から約2cm(肛門の入り口から約6cm)離れていれば、原則として肛門を残すことが可能です。

 

直腸がんの手術術式の決定方法とは?

直腸がんの手術方法は、がんの部位、大きさ、進行度によって異なります。直腸がんは、結腸側から直腸S状部、上部直腸、下部直腸、肛門菅の4つの部位に分けられます。また、排便機能に深く関与する肛門括約筋を残せるかどうかで、大きく手術術式が異なります。

大腸内視鏡検査、注腸検査、超音波内視鏡検査、CT、MRIなどの術前検査の結果をふまえ、深達度、大きさを診断し、患者様の状況に応じて下記のように準じて手術を行います。

 

粘膜内がん(Stage 0)※

または粘膜下層軽度浸潤がん(Stage I)

粘膜下層高度浸潤がん(Stage Ⅰ)またはそれ以深のがん(Stage II〜)

直腸S状部

・経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)

・内視鏡的切除(EMR/ESD)

・低位前方切除術

上部直腸

・経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)

・内視鏡的切除(EMR/ESD)

・低位前方切除術

下部直腸、肛門菅

・経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)

・経肛門的切除術

・経仙骨局所切除

・内視鏡的切除(EMR/ESD)

・低位前方切除術

・内括約筋切除術(ISR)

・ハルトマン手術

・腹会陰式直腸切除術

・骨盤内臓器合併切除術

※切除された標本を病理検査し、リンパ節転移の可能性が疑われた場合は追加切除が行われます。

経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)

内視鏡的粘膜切除術では、穿孔(せんこう)の危険性が大きく適応としていない腫瘍が適応となります。肛門から手術用直腸鏡を直腸内腔に挿入し局所、内視鏡下に病変を切除し、欠損部を縫合閉鎖します。この手法により人工肛門を要するような過大手術を回避できる場合があります。

経肛門的切除術

肛門から5cm以内の肛門菅に近い早期がんにかぎり、肛門を広げたり肛門括約筋を一部切開して腫瘍を切除する手術です。ただし、あくまでも腫瘍のみの切除であり、リンパ節転移がないことが前提条件となります。

経仙骨局所切除

経仙骨局所切除は、下部直腸の口側や上部直腸にがんがある場合を対象としていて、仙骨の横の皮膚を切開して、がんを切除します。

しかし、粘膜が筋肉などの腸管外組織に触れることにより、再発や感染の恐れがあります。最近では前述したTEM、経肛門的切除術がこの術式の役割を担っています。

低位前方切除術

腹膜反転部より上で腸吻合(ちょうふんごう)するのが高位前方切除術で、下で吻合するのが低位前方切除術です。お腹から直腸にアプローチして直腸を切除する方法です。肛門側はがんから2〜3cm離れた部位で直腸を切除し、残った直腸と結腸の腸管どうしをつなぎ合わせます。

この手術では、肛門は切り取らず残すことができます。

内括約筋切除術(ISR)

肛門の近くにできたがんを切り取る手術です。排便時の肛門の開閉にかかわる筋肉である肛門括約筋のうち、内肛門括約筋のみを切除し、外肛門括約筋は残すことで肛門を温存することができます。

ハルトマン手術

前方切除術での直腸の吻合では吻合部がうまく接合されない危険性が高いと判断される場合などでは、わざと吻合せず口側の結腸を人工肛門にすることがあります。吻合に用いる結腸ががんの狭窄によりむくみが強くなっている場合や、患者さんの全身の状態により選択される手術です。

腹会陰式直腸切除術

肛門および肛門括約筋を含めて直腸をすべて切除する方法で、永久的な人工肛門を造設します。肛門側の距離が確保できない位置にがんがある場合、あるいは肛門括約筋機能が著しく低下している場合におこなわれる手術です。

骨盤内臓器合併切除術

がんが直腸の壁を越えて膀胱、前立腺などほかの臓器に浸潤している場合におこなわれる手術です。骨盤内の臓器などをすべて摘出することで根治を目指します。直腸の裏側の宣告、尾骨にも浸潤が認められる場合には骨切断もおこないます。

 

早期がんの場合は内視鏡治療を選択することも

早期のがんはリンパ節転移の可能性がないため、内視鏡を使って大腸の内側からがんを切除する内視鏡治療を選択することもあります。治療の適応は、がんがリンパ節に転移している可能性がほとんどなく、技術的に切除できる大きさと部位にある場合です。がんの深さでいうと、粘膜下層への広がりが軽度(1mm)までにとどまっているがんです。

開腹手術に比べて切除部位が小さいため、出血や痛みなど体に対する負担が少ないことが大きなメリットです。切除した部分は取り出し、組織を調べ、再発やリンパ節転移の可能性があると判明した場合には、後日追加の手術が必要になることがあります。

一方、内視鏡治療には出血や穿孔(せんこう)が起こる場合もあるため、慎重な操作が求められます。

当院の関連病院では、早期大腸がんの内視鏡治療を行っています。詳しくは下記をご参照ください。

» 井口病院

 

直腸がんの初期症状

直腸がんの初期症状は、ほかの消化器系の疾患と似ているため、特定が難しいことがあります。また、初期には症状が現れにくく、進行すると現れることがあります。主な症状としては、下記のようなものがあげられます。

  • 便秘や下痢の繰り返し
  • 腹痛や腹部の不快感
  • 便の形状や色の変化
  • 便に血が混じる
  • 食欲不振や吐き気
  • 体重の減少や疲労感

直腸がんの症状としてみられる排便時の出血は、痔の症状とよく似ているため、病院を受診せずに様子を見る方もおられます。しかし、その症状が直腸がんの症状である場合もあるため、自己判断せずに早めに医療機関を受診し診察を受けてください。

早期のがんは、進行したがんに比べて自分の肛門を温存できる可能性が高くなるだけではなく、完治の確率が高くなります。早期に発見し、適切な治療を受けることで予後が大きく改善される可能性があります。

 

早期発見・治療をご検討中なら内視鏡検査を受けること

直腸がんの早期発見のためには、定期的な健診や検査が不可欠です。特に、大腸内視鏡検査は、直腸がんの発見に非常に有用な方法とされています。大腸内視鏡検査は、下剤を内服して大腸の中をきれいにした後で、肛門からカメラを挿入してすべての大腸粘膜を直接観察します。病気を直接見ることができ、病気が見つかればそこから組織を採取して確定診断が可能です。

直腸がんと診断された場合、現在の状態や可能な治療、それぞれのリスクを理解した上で最も適した選択肢を患者様がご自身で選ぶことが重要です。治療方法は患者様の年齢やライフスタイル、肛門機能や周囲の排尿、性機能に関係した神経との位置関係などによって変わります。

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニックでは、患者様のご希望や状態に合った治療を受けられるよう、しっかりサポートしています。

 

まとめ

直腸がんの手術方法や術式の決定方法について解説しました。自分の肛門を温存できる可能性や完治の確率を高めるためにも、早期に発見し、適切な治療を行うことが非常に重要です。このくらいなら大丈夫だろうと軽視せず、少しでも違和感を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

症状がない段階で定期的に大腸内視鏡検査を受けることにより、がんの初期段階や前がん状態を発見し、早期治療を開始することが可能となります。また、遺伝的な要因や家族歴がある方は、1年に1回、定期的に検査を受けることをおすすめします。

消化器内科を受診するなら、経験豊富な専門医が診察・検査を行う「東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック」へぜひご相談ください。大腸内視鏡検査の際に静脈麻酔を用いているため、検査による痛みや不快による苦痛を少なくできます。

当クリニックは、北千住駅から徒歩2分とアクセスしやすい環境にあります。また、土曜日・日曜日を含めて診療しておりますので、平日はお仕事などでお忙しい方でもお越しいただけます。

また、内視鏡治療後(ポリープ切除後)の合併症に対して関連病院で24時間365日対応してますので、安心して検査を受けていただけます。

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