肛門皮垂(スキンタグ)とは?原因や治療方法について専門医が解説

肛門皮垂(こうもんひすい)という病名を聞いたことがありますか?スキンタグとも呼ばれており、名前の通り肛門周辺の皮膚がたるむ症状が出るものです。

命に関わる病気ではないものの、かゆみが出たり見た目が気になったりしてしまう方もいます。なかには「肛門皮垂ってどのような病気?」「肛門皮垂はどうしたら治療できるの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、肛門皮垂がどのような病気なのか、原因や治療方法などについて詳しく解説します。

1章、肛門皮垂とは?

肛門皮垂とは、肛門周辺にできる皮膚のたるみのことです。別名、スキンタグとも呼ばれています。いぼ痔や切れ痔などによって肛門が一旦腫れ、腫れが引いた後に皮膚がたるんだまま残ってしまう状態のことです。

肛門皮垂ができたからといって何か大きな問題が起こるわけではありませんが、見た目が気になってしまったり汚れが溜まって炎症を起こしたりすることがあります。「お尻から何か出ているのだけど、なんだろう?」と気になっている場合は、もしかしたら肛門皮垂かもしれません。

ただし、肛門から何か出ているからといって必ずしも肛門皮垂とは限らないので注意しましょう。人によってはいぼ痔だったりポリープだったりする可能性があります。ご自身で原因を明確にすることは難しいので、お尻から出ているものが気になる場合は、まず医療機関で相談しましょう。

2章、肛門皮垂の原因

肛門皮垂は、基本的になんらかの原因によって肛門周辺の皮膚が伸びたり、肛門に力が入ったりすることが原因で起こります。原因としてとくに多いのは、次の4つです。

2-1、嵌頓痔核(かんとんじかく)

嵌頓痔核とは、肛門内にあった内痔核が肛門管から出て戻らなくなったものを言います。いぼ痔が外に出た状態のものを想像していただくとよいでしょう。出てきてしまった内痔核が肛門にある筋肉で締め付けられて、うっ血やむくみなどを生じて腫れや出血を伴うことが多いことが特徴です。

2-2、血栓性外痔核

血栓性外痔核とは、肛門周りの血流が悪くなることで血栓ができ、いぼ状に腫れたもののことです。同じ姿勢を長時間取り続けたり、排便時に強くいきんだりすることでできます。パチンコ玉ほどの大きさをしており、青黒く透けた色をしていることが特徴です。

2-3、切れ痔

切れ痔は、肛門の皮膚が切れたり裂けたりすることで生じるものです。硬い便が肛門を通過する際に切れてしまうことが多いでしょう。初期の切れ痔であれば自然に治ることもありますが、悪化すると慢性化してしまうことがあります。慢性化すると、傷が深くなったり潰瘍ができたり、ポリープができたりするので注意が必要です。

2-4、出産

女性の場合は、出産を機に肛門皮垂になる方も少なくありません。肛門の前方(肛門と膣の間)に肛門皮垂ができた場合は、出産の影響が考えられるでしょう。

3章、肛門皮垂になりやすい方

次のような方は、肛門皮垂になりやすいと考えられます。生活習慣を変えることで肛門皮垂のリスクを減らすこともできますので、気をつけましょう。

3-1、長時間同じ姿勢を続けることが多い方

長時間同じ姿勢を続ける方は肛門皮垂ができやすくなります。「同じ姿勢を続けていると痔になりやすい」と聞いたことがありませんか?

ずっと座り続けていると肛門に血液が集まって負担が大きくなるので痔になりやすいのです。痔は肛門皮垂の原因となるため、長時間同じ姿勢でいると肛門皮垂になるリスクが上昇します。

同様の理由でスポーツ選手も肛門皮垂になりやすいので気をつけましょう、ゴルフやテニスなどのスポーツは、ボールを打つときに肛門に強い力が加わるため内痔核が出てきたり血栓ができやすくなったりします。その結果、肛門皮垂となってしまうのです。

3-2、便秘を繰り返している方

便秘を繰り返していると、いきむときに肛門周辺の皮膚がたるみやすくなります。たるみが肛門皮垂につながるため、便秘しやすい方は要注意です。

また、便秘や下痢はどちらも痔の原因となります。痔も肛門皮垂のリスクを高めるため、排便のコントロールが肛門皮垂の予防にはとても大切です。

3-3、出産後の方

出産は強くいきむため、その勢いで肛門皮垂になりやすくなります。いきむときに内痔核が脱出し、肛門皮垂につながることもあります。出産は肛門皮垂になりやすいイベントなのです。

出産を避けるというのは難しいため、肛門皮垂になってしまった場合にしっかりケアすることが大切になります。

4章、肛門皮垂の症状

肛門皮垂になると、お尻にできものができた状態になるため、違和感を覚えて発見されます。では、肛門皮垂ではどのような症状が現れるのでしょうか。

4-1、とくに症状がないことが多い

肛門にできものができているので違和感はありますが、特別に何か症状が出ることは基本的にありません。とくに肛門皮垂が小さいうちはほとんど自覚症状なく過ごすことができます。

肛門皮垂が大きくなってくると、排便後に拭く際に邪魔になったり異物感が出たりするでしょう。基本的に肛門皮垂ができたからといって何か症状が出ることはなく過ごせます。

4-2、かゆみや炎症が起こることもある

肛門皮垂そのものに症状はありませんが、うまく便を拭き取れなかったり汚れが溜まったままになってしまったりすると、かゆみや炎症が起こることがあります。肛門のベタつきが気になることもあるでしょう。このような状態が長く続くと、かゆみや炎症がひどくなり、大きく腫れて痛みを生じることがあります。

痛みが出ないようにするためにも、肛門皮垂を清潔に保つことが大切です。排便後はトイレットペーパーで拭くだけだと便が残りやすいので、お湯で洗ってよく乾燥させましょう。

お風呂に入るときは刺激を与えないように石鹸で優しく洗ってください。石鹸の成分が残ると刺激されてしまうので、しっかり洗い流しましょう。

5章、肛門皮垂の検査・診断

肛門皮垂の診断は難しいものではありません。まず患者さんからお話を伺い、肛門に違和感があるのか、何かできものができているのかなどをヒアリングします。その後、実際に診察を行い、目視で症状を確認することが一般的です。

診察によって肛門周辺の皮膚が垂れている様子が確認できれば、肛門皮垂と診断されます。肛門皮垂の検査は、肛門科で行ってもらうことが基本です。

6章、肛門皮垂の治療法

肛門皮垂ができた場合、どのように治療していくのでしょうか。

6-1、経過観察

とくに何も問題がない場合は、治療を行わず経過観察となります。患部が不潔にならないようにしっかりと洗浄し、炎症やかゆみが起こらないように日頃からしっかりケアしていきましょう。

ただし、肛門皮垂はそのまま放っておいても元に戻ることはありません。気になるようでしたら、次に紹介する手術が適応となります。

6-2、手術

肛門皮垂を手術で切除する方法もありますので、見た目や違和感が気になる方、炎症やかゆみを起こしている方は手術も検討してみるとよいでしょう。切除といっても、ただ肛門皮垂を切り取るわけではありません。肛門皮垂はさまざまな原因で起こる病気です。原因に合わせて切除の仕方を変えます。

手術自体はとても簡単なので局所麻酔をしてから5分程度で終わることがほとんどです。簡単な手術なので怖がる必要はありません。肛門皮垂が気になるときは、手術の相談をしてみてください。

7章、肛門皮垂を予防する方法

肛門皮垂はある程度なら生活習慣に気をつけることで予防ができます。

7-1、同じ姿勢を取り続けない

ずっと同じ姿勢で座っていると、肛門に血液が集まってきて負担がかかってしまいます。こまめに姿勢を変えたり立ち上がって歩いたりして同じ姿勢を続けないようにしましょう。

どうしても座る時間が長くなってしまう方は、時々お尻を左右に動かして肛門に体重がかかり続けないようにしてください。

7-2、便秘しないように気をつける

便秘は肛門皮垂の大きな原因です。硬くなった便を押し出すためにいきんだり、切れ痔になったりすることで肛門皮垂のリスクが大きくなります。便秘しやすい方は食物繊維の多い食事を摂ったり、水分を多めに摂取したりして便通をコントロールするようにしましょう。

8章、肛門皮垂に関するQ&A

最後に、肛門皮垂についてよく聞かれる質問にお答えします。

Q1、肛門皮垂は自然治癒しますか?

肛門皮垂が自然治癒することはありません。手術しない限り元に戻ることはないため、気になる症状があるときは手術を検討しましょう。

Q2、肛門皮垂は塗り薬で治りますか?

市販されているボラギノールのような塗り薬を使っても肛門皮垂が治ることはありません。自己判断で塗り薬を使わず、医療機関を受診しましょう。

Q3、肛門皮垂は日帰り手術できますか?

肛門皮垂の手術が日帰りになるか入院になるかは医療機関によって異なります。手術後の経過観察が必要な場合は入院となることが多いでしょう。

まとめ

肛門皮垂は、肛門周辺の皮膚がたるむことで、できもののようなものができる症状のことです。基本的に目立つ症状はありませんが、炎症を起こすとかゆみや痛みを生じることがあります。

気になる症状がある場合は手術で取り除くことが一般的です。放置していても自然治癒することはないため、気になる方は早めに医療機関で相談しましょう。

肛門皮垂でお悩みの方は、当クリニック肛門専門外来でご相談ください。下記より24時間WEBにて予約ができます。

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下記サイト「足立区おしりの悩み相談NAVI」もぜひご参考にしてください。

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