なぜ逆流性食道炎が疑われる場合に胃カメラが必要なのか?専門医が解説

内視鏡

「最近胸やけがするなぁ、食後がとくにつらい」

「寝起きに口の中が苦い」

「いつも胃のあたりがムカムカする」

などといったことがないでしょうか?このような症状の場合には、逆流性食道炎の可能性があります。

逆流性食道炎は食道に胃内容物(胃酸、食べ物、胆汁など)が逆流することで生じるご病気です。逆流性食道炎の症状である逆流症状は、胸やけ・胃痛・胃部不快感・呑酸などがみられます。

上記のような症状が続くようであれば胃カメラを受けて食道の状態を確認することが大事です。胃カメラを受けて逆流性食道炎と診断された場合には、症状に合わせて内服治療・食事療法・ライフスタイルの改善などが必要となります。

逆流症状が続く場合には、本記事を参考としていただき胃カメラ検査・治療に臨んでいただけますと幸いです。

逆流性食道炎が疑われる場合には、まずは胃カメラを受けることが大事です。

胃カメラを行うことで、直接食道を観察して診断を下すことができます。逆流性食道炎では、胸焼けを主体とする逆流症状が起こりますが、症状だけでは疑いという診断しかできません。そのため、胃カメラをすることで逆流性食道炎の証拠を発見して診断を付ける必要があります。

1-1、逆流性食道炎はなぜ胃カメラが必要なのか

胃カメラを行うことで逆流性食道炎の診断を行い適切な治療をすることが大事。

逆流性食道炎では、逆流症状が続く場合には、胃カメラを行うことで診断を確定させる必要があります。胃カメラを行うことで逆流性食道炎の重症度を判定することが大切です。重症度により治療方針や治療期間、薬の調節などが異なってくるためです。

1-2、逆流性食道炎の胃カメラの診断は

逆流性食道炎は、胃食道逆流により引き起こされる食道の粘膜傷害や胸やけ・呑酸(どんさん)といった症状がある病気です。

呑酸とは、口の中まで胃酸や胃内容物が逆流することで喉や口の中に酸っぱいものが上がることを言います。

逆流性食道炎で起こる粘膜傷害は、胃カメラで見つけることができます。この粘膜傷害とは、Mucosal break(MB)とも言います。MBは、赤い線状の傷で、重症になると傷が長くなったり太くなったりします。

とくにMBは、胃と食道の境目である胃食道接合部(ジャンクションとも言います)に生じます。MBが認められると逆流性食道炎と診断されます。

MBが認められるものをびらん性GERD(ガード)といいます。一方、胸焼けや呑酸などの逆流症状が認められるもののMBが認められない場合には、非びらん性GERDないしNERD(non-erosive reflux disease)とも呼ばれます。

びらん性GERDの診断法

日本ではびらん性GERDの診断法として、改訂ロサンゼルス分類 (星原分類)という分類が用いられています。

粘膜傷害度が比較的軽いものは、ロサンゼルス分類 A,B

粘膜傷害度の程度はひどいものは、ロサンゼルス分類C,D

というように分類されています。実際の内視鏡画像は以下のようになっています。

実際の内視鏡画像

逆流性食道炎の内視鏡診断については、「逆流性食道炎とは?治療に差が出る最新情報を医師が解説」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

軽症・重症・非びらん性GERDの割合は?

軽症のびらん性 GERD:30~35%

重症のびらん性GERD:5% 未満

非びらん性 GERD:60~70%

ほとんどが非びらん性の逆流性食道炎の患者さんが占めています。このような患者さんは、内視鏡所見は正常ですが日常生活において胸焼けや呑酸といった逆流症状に常に悩まされているのです。

2章、逆流性食道炎は生活の質(QOL)を低下させる

逆流性食道炎が続くと生活の質であるQOL(Quality of life)が低下します。QOLの低下を防ぐには逆流性食道炎がどんな病気であるかをしっかりと理解することが重要です。

2-1、逆流性食道炎はどのような症状か?

逆流性食道炎の症状は主に下記のような症状となります。

・胸やけ

・前胸部の痛み

・前胸部の不快感

・呑酸

・胃痛

・胃部の不快感

症状の程度は個人差が大きく、症状がひどい場合には夜間の睡眠障害と関係することもあります。胸焼け症状を訴える患者さんの約50%に睡眠障害が認められたという報告があります。反対に睡眠障害のあり患者さんの約75%に胸焼け症状があるとも報告されています。

睡眠障害がある方は、ぜひ一度消化器専門外来での受診ないし胃カメラを受けることをお勧めします。

2-2、逆流性食道炎はどのような人に多いのか?

逆流性食道炎は、過体重や肥満のある人に起こりやすい。

過体重と肥満は、逆流性食道炎の発症および増悪因子と言われています。体重と肥満のコントロールは、逆流性食道炎の予防および治療になると考えられています。

日本人の肥満(BMIが25kg/㎡)の割合は、2019年の報告では男性では約30%、女性では約20%とされています。2019年まではその割合は、ほぼ横ばいでしたがコロナ禍の影響で今後その割合はどのように変化を示していくかはわかりません。

私たちのクリニックでは、若い方の逆流性食道炎の訴えが増えてきているような印象があります。コロナ禍での運動不足などによるBMIの増加が影響している可能性もあり得ます。

過体重・肥満は、逆流性食道炎だけではなく、心疾患・脳梗塞・肝疾患・慢性腎疾患・がん・糖尿病などのリスクとなりますのでライフスタイルや食生活の改善などで予防することが重要です。

2-3、逆流性食道炎を放置するとどうなるのか?

逆流性食道炎を放置するとバレット食道というご病気になる可能性がある。

バレット食道とは、逆流性食道炎の合併症で胃酸や胆汁の逆流が慢性的に続くことで生じるご病気です。バレット食道は、「胃の粘膜から連続して食道内に円柱上皮という粘膜が存在する状態」のことを言います。分かりやすく言うと、胃の粘膜が食道の方に向かってせり上がっていく状態です。

なぜこのようなバレット食道ができるかというと、逆流性食道炎により傷ついた食道の粘膜が修復される過程において胃の粘膜に置き換わってしまうと考えられています。

このバレット食道があると以下のような問題が発生します。

バレット食道は、バレット腺癌のリスクとなる。

バレット食道があるとバレット腺がんといって食道がんのリスクになります。バレット腺がんは、予後の悪いがんの一つと考えられているご病気です。バレット食道と診断された場合には、慎重に経過を見ていく必要があります。

バレット食道で気を付けなければならないのは、胸焼けや呑酸といった症状がない人でも起こる可能性があると言われています。無症状であるからといってバレット食道ではないとも言えます。

バレット食道は、下記のような場合に起こりやすいと報告されています。

・男性

・高齢者

・食道裂孔ヘルニアの有る方

・脊椎後彎症

・内臓脂肪型肥満

とくに内臓脂肪型肥満は、近年バレット食道の発生との関連として注目されています。腹圧の上昇や内臓脂肪から産生されるレプチン・アデポネクチンなどのホルモンが関係していると言われています。

肥満傾向の方は、一度胃カメラを受けることが望ましいです。

2-4、逆流性食道炎に関係するご病気とは

その他の逆流性食道炎に関係するご病気としては以下のようなものがあります。

・睡眠障害

・慢性咳嗽

・咽喉頭異常感症

・慢性咽頭喉頭炎

などが報告されています。また喘息症状の増悪にも関係があるのではないかとも報告されています。

3章、逆流性食道炎の検査・治療の実際

この章では逆流性食道炎で行われる胃カメラや治療について解説したいと思います。

3-1、胃カメラ検査の流れ・検査費用について

胃カメラには大きく以下のような3つの方法に分かれます。

①経口内視鏡検査

②経鼻内視鏡検査

③静脈麻酔を使用した経口内視鏡検査

①②③の順番になるほど楽に検査を受けられます。①の経口内視鏡検査では、起きたまま直接口から内視鏡スコープを挿入するため嘔吐反射が起こり非常にツライ検査となります。②の経鼻内視鏡検査は、嘔吐反射は比較的抑えることが出来ますが狭い鼻腔内に内視鏡スコープを挿入しなければならないため鼻痛がでる可能性があります。

③の静脈麻酔を使用した経口内視鏡検査は、眠ったまま口から内視鏡スコープを挿入するため嘔吐反射はお子ならず無痛で検査を終えることが出来ます。

静脈麻酔を使用した経口内視鏡検査については、「不安がなくなる胃カメラ検査とは?ツライ検査にしない方法・費用・流れ」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

胃カメラの流れ

胃カメラの流れは以下のようになっています。

胃カメラの検査の流れ

胃カメラ検査の予約を外来ないしWEBで予約をして、検査当日に医療機関を受診します。WEBで予約した場合には、検査前に医師の診察が必要となります。検査時間は、おおむね10分程度ですが、検査前の準備に20~30分かかることがあります。静脈麻酔をした場合には、30分程度ベッドで休むことが必要です。最後に医師からの検査結果の説明を受けて終了となります。

胃カメラ検査の流れについては、「不安がなくなる胃カメラ検査とは?ツライ検査にしない方法・費用・流れ」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

胃カメラの費用

胃カメラ検査の費用は、おおよそ2,000円~10,000円となっています。

*自己負担率によって、費用の前後があります。

胃カメラ検査の費用については、「不安がなくなる胃カメラ検査とは?ツライ検査にしない方法・費用・流れ」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

3-2、逆流性食道炎と診断されたらまずは内服治療

逆流性食道炎の内服治療薬には、様々な薬剤がありますが酸抑制薬について解説したいと思います。

酸抑制薬には以下のようなものがあります。

・H2ブロッカー(ガスター®

・PPI(ネキシウム®、パリエット®、タケプロン®

・P-CAB(タケキャブ®

酸抑制薬は、大きく上記の3つに分かれていますが、逆流性食道炎の初期治療の第一選択としては、プロトンポンプ阻害剤(PPI)の使用が推奨されています。

酸抑制薬にはPPI・P-CABとH2ブロッカーがありますが、はじめから酸抑制効果の高いPPIで治療を行いその後弱いお薬に変更していくステップダウン治療が望ましいと考えられています。とくにP-CABであるタケキャブ®の酸抑制効果が非常に高いと報告されており、逆流性食道炎の初期治療として望ましいと考えられています。

PPI抵抗性逆流性食道炎とは?

標準的なPPIを8週間内服しても症状の改善やMBの改善がない状態をPPI抵抗性逆流性食道炎と呼びます。このような場合には、より長期の内服治療の継続やお薬の増量および調整、他薬剤(漢方薬・の併用などの対応が必要となります。

逆流性食道炎の治療については、「不安がなくなる胃カメラ検査とは?ツライ検査にしない方法・費用・流れ」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

3-3、運動・食事療法・ライフスタイルの改善も大事

逆流性食道炎は、生活習慣の影響を強く受けるご病気と言われています。運動・食事療法・ライフスタイルの改善を行うことで症状やMBの改善となると報告されています。

具体的には下記のようなことに気を付けると良いと言われています。

・禁煙をする

・アルコールを控える

・チョコレートを控える

・炭酸飲料を控える

・カフェインを控える

・香辛料を控える

・糖質の多い菓子類などを控える

・脂肪の多い食事を控える

・一度に大量の食事を摂ることを控える

・食べた後にすぐに横にならない

・夕食は就寝前4時間以上前に摂る

・就寝時は左を下にして寝る

・有酸素運動をして肥満を改善する

一つ一つ解説していきたいと思います。

禁煙をする

タバコは食道への胃酸逆流のリスクとなります。喫煙者では禁煙することで逆流症状や呑酸などが減少すると報告されています。

アルコールを控える

アルコールも食道への胃酸逆流を起こすと言われています。アルコールを控えることで逆流症状を減少させると考えられています。

チョコレートを控える

炭酸飲料を控える

カフェインを控える

香辛料を控える

糖質の多い菓子類などを控える

上記のチョコレート・炭酸飲料・カフェイン・香辛料・糖質などは逆流症状を引き起こす可能性の高い食べ物・飲料です。摂り過ぎには気を付ける必要があります。

脂肪の多い食事を控える

高脂肪食は逆流性食道炎と関連すると報告されています。脂肪の多い食事は控える必要があります。

一度に大量の食事を摂ることを控える

食事全体のカロリーが逆流症状に関係していると報告されています。そのため、一度に大量の食事を摂ることは控えることが重要です。

食べた後にすぐに横にならない

逆流症状が起こりやすいのは、食後3 時間程度であると報告されています。そのため食後3時間以内に横になると胃酸や胃内容物が胃から食道への逆流が起こりやすいと考えられています。食後3時間以内に横にはならないようにしましょう。

夕食は就寝前4時間以上前に摂る

逆流症状が起こりやすいのは、食後3 時間程度と上記で説明したように就寝前には4時間以上開けると逆流性食道炎のリスクを減少させるのではないかと考えられています。

就寝時は左を下にして寝る

右を下にして寝るより左を下にして寝る方が逆流のリスクが少ないと報告されています。また、背中から頭を若干持ち上げて寝ることで、逆流が少なくなると言われています。背中から頭にかけてタオルケットや毛布を引いて少し持ち上げて寝るのも一つの逆流対策となります。

有酸素運動をして肥満を改善する

肥満の人は逆流性食道炎のリスクになると言われています。日常的に運動をして体重のコントロールを行うことも大事な治療といえます

まとめ

今回は、逆流性食道炎について解説しました。本記事の内容のポイントとしては以下のようになります。

・逆流性食道炎が続くと生活の質であるQOL(Quality of life)が低下する

・逆流性食道炎を放置するとバレット食道・腺がんというご病気になる可能性がある

・胃カメラを行うことで逆流性食道炎の診断を行い適切な治療をすることが大事

・逆流性食道炎では運動・食事療法・ライフスタイルの改善が大事

以上のようなポイントを理解して逆流性食道炎の検査・治療を受けていただけますと幸いです。

当院では、逆流性食道炎の専門外来・検査を行っています。下記よりWEBにて予約を承っています。

・Peng S, et al. Prevalence of erosive esophagitis and Barrettʼs esophagus in the adult Chinese population. Endoscopy >2009;41: 1011-1017. 

・Harding SM, Guzzo MR, Richter JE. The prevalence of gastroesophageal reflux in asthma patients without reflux symptoms. Am J Respir Crit Care Med 2000;162: 34-39. 

・Haggitt RC. Barrettʼs esophagus, dysplasia, and adenocarcinoma. Hum Pathol 1994; 25: 982-993.

・Spechler SJ, et al. Prevalence of metaplasia at the gastrooesophageal junction. Lancet 1994; 344: 1533-1536.

・Bar-Maor JA, He YR, Li D. Barrettʼs epithelium with complete stricture of the esophagus: hypothesis of its etiology. J Pediatr Surg 1995; 30: 893-895.

・春間 賢,他. Barrett 食道の発生機序.臨床消化器内科 2007; 22: 23-27.

・Fujiwara Y, Arakawa T. Epidemiology and clinical characteristics of GERD in the Japanese population. J Gastroenterol 2009; 44: 518-534.

・胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン,南江堂,2015

・El-Serag H, Becher A, Jones R. Systematic review: persistent reflux symptoms on proton pump inhibitor therapy in primary care and community studies. Aliment Pharmacol Ther 2010; 32: 720-737.

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