排便時の出血?それって痔かも!痔になった人が知るべき基礎知識

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック

「排便時に痛みがあってトイレに行くのをためらう」

「生理じゃないのにトイレットペーパーに血がついた」

「肛門の近くが腫れっぽい」

このように感じることはありませんか?

それはもしかして「痔」かもしれません。

痔は男女ともに多くの方が悩むデリケートな問題です。出血が続いたりすると心配かと思います。痔の中でもいろいろと種類がありその対処法や治療も異なります。普段の日常の行為が痔の原因となっていることもあるため痔についての基本的な知識を知ることは非常に大切なことです。

本記事を読むことで痔に対する知識を得て漠然とした不安を無くすようになってほしいと思います。

「痔」という言葉自体は聞いたことがあるかもしれませんが、実際にどのような病気なのか詳しく知っている方は多くないと思います。

「痔」は大きく分けて以下の3つの種類に分かれています。

・いぼ痔(痔核)

・切れ痔(裂肛)

・穴痔(痔瘻)

それぞれ特徴を解説していきたいと思います。

1-1、いぼ痔(痔核)とは

最も発症頻度の高い痔です。肛門の周囲にイボができます。イボが肛門の内側にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」と言います。

長時間の座りっぱなしなど、お尻の血の巡りが悪くなることで肛門の粘膜周囲にある静脈血がうっ血して膨らんだものが、イボの正体です。

痛みを感じないことが多いですが、イボが大きくなると排便時など力が入る際に飛び出てくることがあり、これを「脱肛」と言います。

いぼ痔では、排便時に血が出たり、肛門の違和感があることから異変を感じる場合もあります。

1-2、切れ痔(裂肛)とは

肛門周囲の皮膚が切れたり裂けたりした状態のことを言います。

トイレで硬い便を無理やり出そうとした時に、肛門周囲の皮膚に圧が加わり引っ張られるような形で亀裂が入る場合が多いです。

下痢が続いた場合には、肛門周囲の皮膚がただれて炎症が起き、皮膚に負担がかかかることで切れてしまう場合もあります。

切れ痔は繰り返し起こりやすく、便秘や下痢が続きやすい方だと症状が慢性化してしまうことも少なくありません。

1-3、穴痔(痔瘻)とは

直腸から皮膚までが1本のトンネルでつながり、体外に解放した状態です。このトンネルのことを「痔管」と言います。

なぜ痔管が形成されてしまうのかというと、肛門と直腸の境目にあるくぼみに細菌が入り込んで感染し、炎症を繰り返すことで膿が溜まり皮膚をつき破ってしまうからです。

とくに、やわらかい便はくぼみに溜まりやすいことから、下痢をしやすい方がなりやすい種類の痔だと言われています。

2章、女性は痔になりやすい3つの理由について

女性のみなさんは、友達との会話で「痔」が話題になることはまずないでしょう。もし痔だったとしても、周囲に知られるのが恥ずかしくて隠しながら生活していることが多いと思います。可憐な女性でも痔になるのです。

女性が痔になりやすい3つの理由を解説していきたいと思います。

検査前

2-1、女性は便秘になりやすい

女性は男性よりも便秘になりやすいため、便秘が原因で痔になることがあります。トイレで無理に硬い便を出そうとして肛門を傷つけてしまうことで、切れ痔になってしまうことがあります。

また、便秘になりやすい方は排便のコントロールが苦手なことがあります。排便のコントロールがうまくいかない場合には、下痢となることも多くなることがあります。下痢の場合には、排便時にアルカリ性の腸液が肛門周囲の皮膚に負担をかけてしまいます。そのため、ただれたり亀裂を入ったりして切れ痔になりやすくなります。

2-2、女性に関わるホルモンによる影響

女性ホルモンにはいくつか種類がありますが、なかでも黄体ホルモンというホルモンの働きのため痔になりやすくなると言われています。その理由としては、黄体ホルモンには腸の運動を抑える働きがあるからです。

腸の運動が低下すると、便を肛門までスムーズに送り出すことができず、便秘になってしまいます。便が腸の中に滞留する時間が長くなると水分が過剰に吸収されて便が硬くなり、さらに便が出しにくくなると考えられています。

排卵~月経の時期になると黄体ホルモンの分泌が活発になり、とくに便秘を引き起こしやすくなるので注意が必要です。

2-3、女性は筋力が弱い

よっぽど筋トレをしている方以外は、男性と比べて女性の方が筋力は弱いのが一般的です。それは排便に関わる筋肉にも同じように言えます。筋力が弱いと便を肛門まで送る力も弱いため便秘になりやすく、慢性的な便秘となってしまいます。そのため、痔になりやすくなってしまいます。

具体的に言うと、トイレで便を出そうとしていきむには腹筋を使っています。また、腸の中にある便を肛門まで送り出そうとする動きのことを「蠕動運動(ぜんどううんどう)」と言いますが、これも腹筋が弱いと便を押し出すことができず便秘になりやすいため、痔になりやすいです。

*男性でも、もちろん痔になることが多いです。

男性では、穴痔(痔瘻)が女性に比べて多いと言われています。いぼ痔(痔核)は若干男性に多く、切れ痔(裂肛)は女性に多いと言われています。

男性も女性と同様に、便秘・下痢などを契機として痔に悩むことが多いと言われています。飲酒や長時間のデスクワークなども痔の悪化につながるため注意が必要と言われています。

3章、便秘は痔に大きく関わる

これまでの解説で、痔には便秘が深く関係していることが分かりました。痔の予防・改善は、同時に便秘の対策が必須になります。

便秘には4つの分類があります。

・器質性便秘

・弛緩性便秘

・痙攣性便秘

・直腸性便秘

それぞれ解説していくので、あなたの日常生活を思い浮かべながら読んでみてください。

3-1、器質性便秘

胃・小腸・大腸・直腸などの消化器官に何かの問題があり、それが影響して便秘が引き起こされている状態です。

例えば、大腸がんやイレウス(腸閉塞)により腸の通過障害が起きていると、スムーズな排便ができないため便秘になってしまいます。

この場合、便秘の治療だけでなく、便秘を引き起こす原因となっているご病気に対して根本的な治療が必要となります。

日常生活の中で改善していくのは難しく、命に関わる可能性もあります。しっかりと病院で検査することをおすすめします。

3-2、弛緩性便秘

腸の緊張がゆるんだり、活動が低下したりすることで、便を肛門まで押し出す力が不足して便秘になっている状態です。

弛緩性便秘では、便が肛門に到達するまで時間がかかるため腸内に長く便が滞留して水分が過剰に吸収されてしまいます。そのため、お腹が張ったり硬い便が出たりしてしまいます。便秘の中でも最も頻度が高いと言われています。

普段からあまり水を飲まない、ダイエットのためあまり食べないようにしている、運動する習慣がない、などが原因になりやすいです。

3-3、痙攣性便秘

副交感神経が活発になることで腸が過度に緊張してけいれんを起こし、便がうまく肛門まで運ばれていない状態です。

腸が緊張すると便を押し出す力が強くなりすぎるので、便の水分が十分に吸収される前に肛門から排出されてしまい、下痢となってしまうことがあります。

痙攣性便秘の原因としては、精神的なストレス、生活環境の変化、過敏性腸症候群などが考えられます。精神的な要因が大きいので、自分にとってストレス源となっているものを考え、ストレスを発散するなど、ストレスの要因とうまく付き合っていく方法を考えることが大切です。

3-4、直腸性便秘

通常、大腸から運ばれてきた便は直腸へ到達し、そこで排便を管理している神経反射が働くことで便意を感じます。直腸性便秘の場合には、排便を管理する神経反射の働きが低下しています。正常に便意を感じられない状態になるため、なかなか排便できず便秘になってしまいます。

寝たきりの高齢者や、恥ずかしさで便意を我慢してしまう方、痔で排便時に痛みがあって排便を控えている方がなりやすいタイプの便秘です。

便意を感じたら我慢せずトイレに行くように習慣づけたり、排便時の痛みなど排便に関するトラブルを抱えている方では病院で相談するなど、排便を我慢しないための対策をとりましょう。

4章、主な痔の症状とは

次は、痔の症状について解説してきます。主な症状としては以下のようなものが挙げられます。

・肛門の痛み

・肛門からの出血

・熱が出る場合

・残便感

自分の日常生活を思い浮かべながら、当てはまっている点はないか比べながら読んでみてください。

4-1、肛門の痛み

肛門痛は切れ痔の方に多い症状です。硬い便を出そうとして肛門周囲の皮膚が圧迫されたり亀裂が入ったりすることで起こります。また、穴痔や外痔核によって肛門周囲に炎症が起こり、腫れたり切れたりすることで強い痛みを生じる場合があります。患部を清潔に保ち感染から守ることが大切です!

4-2、肛門からの出血

肛門から出血している場合は、切れ痔で肛門周囲の皮膚や粘膜に亀裂が入って出血している場合や、痔のイボから出血している場合が考えられます。

いずれも排便時に出血することが多いですが、常時出血していたり、出血と共にイボが肛門から出ている(脱肛)状態になっているのであれば、自然に治すのは難しいかもしれません。

血便

できるだけ早く病院で受診しましょう!

4-3、熱が出る場合

痔で熱ができるイメージはあまりないかもしれませんが、これも症状の一つです。発熱は炎症兆候の一つなので、痔で肛門に傷ができたり腫れたりして炎症が強い場合は熱が出ます。例えば穴痔は直腸からお尻まで貫通するくらい慢性的な炎症を繰り返すので、悪化すると発熱したり、膿が出たりといった症状が見られます。

このような場合には、必ず病院で診てもらうことが必要です。

4-4、残便感

残便感があるのは、痔(イボ)が直腸内を圧迫することで便がまだ残っているように感じている可能性があります。例えば内痔核は肛門の内部にイボができるため、残便感を感じやすいです。また、穴痔でトンネルが形成されることによって生じた違和感から残便感につながることも考えられます。

5章、痔の検査について

もし病院で痔を疑われた場合、どのような検査や治療が行われるのでしょうか?ここからは痔の検査と治療法について解説していきます。

痔の検査をする場合は、主に以下のような検査を行います。

5-1、痔の問診

まずは問診です。普段の生活や症状について聞き取ります。問診で聞き取ったことを元にどの検査を行うべきか判断したり、一人一人のライフスタイルに合った治療方法を考えていきます。

5-2、痔の視診・触診

医師が肉眼で肛門を見たり触ったりして診察します。出血や炎症はないか確、痔の他に病気が潜んできる可能性はないかなどをチェックします。

5-3、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

通称大腸カメラと言われています。肛門からカメラを入れ、下部消化管(直腸~小腸の一部)をモニターに映して観察する方法です。直緒を内側から観察できるので、外から肛門を見ただけではわからない病変を診察できます。もし癌やポリープが合った場合も発見できます。

痔と思っていたら実は直腸の腫瘍からの出血だったというような場合もあるため、恥ずかしがらずに大腸カメラを受けていただくことをお勧めします。

当院での診察・検査については下記より承っています。

6章、痔の治療について

次は、痔の治療には内服治療、外用薬治療、そして外科手術などの方法があります。それぞれについて解説していきます。

6-1、痔の内服治療

内服治療は医師から処方される薬を飲んで治療する方法です。主に痔の炎症を抑える抗炎症剤や、肛門の血流を促すお薬が処方されます。炎症や血流が改善されると痛みも落ち着きます。

6-2、痔の外用薬治療

外用薬治療は、坐薬のように肛門から注入するタイプの軟膏を使って治療することが多いです。炎症が抑えられて患部の痛みが和らぐので少し楽になります。

6-3、痔の手術

手術の必要性は、痔の種類や進行具合をみて医師が判断します。肛門が激しく腫れている場合や脱肛している場合、慢性的な切れ痔で肛門が狭くなってしまった場合などに手術治療が適応になることがあります。また、穴痔(痔瘻)が進行して痔管が開通している状態では、手術が適応になることが多いです。

7章、お家で簡単!痔を予防する3つの方法

痔で病院に行くのは正直恥ずかしくて行きづらかったり、誰かに相談するにしても勇気が必要だったりします。

一人で頭を悩ませることのないよう、まずはお家でできる予防法を実行していきましょう。

次に紹介する予防法は、どれも気軽に生活に取り入れられる方法なので、ぜひやってみてください。

7-1、食事の際によく噛んで食べる

食べ物をよく噛んで食べるだけで痔の予防につながります。食べ物がより細かくなった状態で胃に運ばれるので、消化されやすく便通が良くなります。便通が良くなると肛門に負担がかからなくなり、痔の予防になります。

7-2、水分をしっかりと摂る

適切な量の水分を(1日1.5L程度)とることで便が硬くなってしまうのを防ぎ、トイレで無理やり排便することがなくなります。それによって、硬い便を出そうとして肛門に亀裂が入ったり、肛門が圧迫されたりすることがなくなるので、痔の予防になります。

7-3、お尻を清潔にする

毎日お風呂に入って清潔に保つことが大切。

お尻周りを清潔にしておくことで、痔の発症と悪化を予防できます。とくに、すでに痔の症状がある場合や痔の診断を受けている方は、お尻が不潔だと患部に菌が入り込んで炎症が悪化してしまいます。

お尻をきれいに保つことは治療の一つと考えられています。ただし、頻回なウォシュレットの使用やゴシゴシと力をいれてお尻を拭く行為は痔の悪化に繋がるので注意が必要です!

 

まとめ

痔でつらい想いをしないために

これまで女性と痔の関係について解説してきました。

本記事の内容をおさらいすると次のようになります。

女性も男性と同じくらい痔になりやすい。

痔を予防するためには便秘の対策が重要。

痔の治療法は痔の種類や重症度によって様々ある。

患部の状態によっては手術が必要。

大腸がんなど命に関わる病気が隠れている可能性があるため自己診断は危険。

痔は日常生活の中で予防できる。

まずはお家でできる予防法を実行し、痔にならない生活習慣を身につけましょう。本記事で紹介した予防法はどれも簡単なので、誰でも今日から取りくめます。

もしも「痔かな?」という症状が出たときは、勇気を出して消化器科を受診しましょう。一瞬の恥ずかしささえ乗り越えれば、またいつもの生活に戻れます。

また、大腸がんなどの恐ろしい病気が隠れている場合もあるので、自分で判断せずに病院で一度検査するのがおすすめです。

当院では女性医師による痔の診察も行っています。ぜひご気軽にご相談ください。

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14:00~17:30

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※祝日のみ休診

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尚視会での内視鏡検査・診察は24時間予約を承っています。

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