
「大腸ポリープって何?」
「大腸ポリープを切除するときはどうすればいいの?」
「もし大腸ポリープを切除するなら病院?クリニック?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
大腸ポリープは、切除することで将来の大腸がん予防につながるとされています。小さなポリープであれば、クリニックでも日帰りで切除することができますが、大きなポリープでは入院が必要になることもあります。
「大腸ポリープを指摘されたけど、切除って本当に大丈夫かな…」と不安を感じている方も多いかと思います。本記事では、大腸ポリープの切除に関する正しい知識を丁寧にご紹介していきます。
目次
1章 大腸ポリープの切除について
まずは、大腸ポリープの基礎知識について解説します。
1-1 大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸の壁の粘膜にできるボコッとした隆起物のことです。
はっきりとした原因は不明ですが、遺伝や食生活などの環境要因が関係していると考えられています。

自覚症状はほとんどなく、気づかないうちに大きくなることもあります。サイズが大きくなると出血を起こし、血便や黒色便、さらには貧血などの症状につながる可能性もあります。
1-2 大腸ポリープを切除する必要性
ポリープが2cm以上になると、がん化するリスクが急激に高まるとされています。ですから、まだがんになる前に切除しておくことで、大腸がんを防ぐことが可能です。
とはいえ、大腸ポリープには自覚症状がないことがほとんどで、自分で気づくことはあまりありません。多くの場合、健康診断での大腸内視鏡検査やバリウム検査で偶然見つかります。
もしポリープがあることに気づかず過ごしてしまうと、知らない間に大きくなってがん化してしまう危険性も。だからこそ、定期的な検査と早期発見が非常に大切です。
大腸がん予防について詳しくは、以下の記事も参考にしてください。
▶ 大腸がんの原因と予防法を専門医が解説|日頃の工夫と定期的な検査が大切
なお、すべてのポリープが切除対象となるわけではありません。良性のものであれば経過観察のみで問題ないケースもあります。
それが良性か、将来がんになる恐れがある悪性かを見極めるためにも、まずは大腸内視鏡検査を受けましょう。クリニックや消化器科のある病院で予約できます。
当クリニックでは、24時間WEB予約を受け付けています。お気軽にご利用ください。
1-3 大腸ポリープの切除方法は?
大腸ポリープを内視鏡で切除する方法は、主に以下の3つに分類されます。
- ポリペクトミー
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
それぞれの手法について、順に解説していきます。
ポリペクトミー
スネア(輪っか状のワイヤー)をポリープにかけて切除する方法です。電気を通して焼き切る方法(HSP)と、電気を使わずにスネアだけで切る方法(CSP)があります。
- ホット・スネア・ポリペクトミー(HSP):電気で焼き切る
- コールド・スネア・ポリペクトミー(CSP):電気を使わず切除
10mm以下の比較的小さなポリープに対して多く用いられます。
詳しくは以下の記事もご参照ください。
▶ なぜ大腸ポリペクトミー(大腸ポリープ切除)はコールドがいいの?
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ポリペクトミーよりも大きな10mm以上のポリープに対して行う手法です。スネアで切除するのは同様ですが、あらかじめ粘膜下に薬液を注入してポリープを持ち上げてからスネアをかける点が特徴です。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
ESDでは、電気メスなどを使用して粘膜下層から病変をはがして切除します。スネアがかけられないような大きなポリープにも対応でき、精度の高い治療が可能です。

当クリニックでは、関連病院で入院治療として大腸ESDを実施しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
これら3つの方法から、ポリープの大きさや形、リスクなどに応じて適切な切除法が選択されます。医師とよく相談したうえで判断しましょう。
1-4 大腸ポリープ切除の合併症
どんな治療にもリスクはつきものです。大腸ポリープの切除にも、少なからず合併症の可能性があります。代表的なものは次の2つです。
- 出血
- 腸管穿孔(腸に穴が開くこと)
出血
ポリープを切除したあとは、切除部位から少量の出血が起こることがあります。排便時に便に血が混じることがありますが、ほとんどは自然に止まります。
術後は激しい運動や重い荷物を避け、安静に過ごすことで出血のリスクを下げられます。便器の水が真っ赤になるような出血が見られた場合には、すぐにご連絡・ご受診ください。
詳しくは下記の記事もご覧ください。
▶ 24時間以内に起こることが多い大腸ポリープ切除後の出血;出血した場合にはどうすればいいの?
腸管穿孔
腸管穿孔とは、大腸の壁に穴が開いてしまうことを指します。内容物が腹腔内に漏れ、腹膜炎を起こすおそれがあるため、緊急の手術が必要となるケースもあります。
原因としては、大きめのポリープを切除した際に腸壁が損傷するケースや、電気による切除で下層まで深くダメージが及んだ場合などが考えられます。
発症頻度はごく稀ですが、ゼロではありません。術後の体調変化に注意し、腹痛や違和感が強い場合には、すぐに医療機関へ連絡しましょう。
2章 大腸ポリープの切除の流れ
2-1 大腸ポリープ切除の準備
大腸ポリープを切除するためには、事前の準備が重要です。前日から当日にかけて、以下のような点に注意しましょう。
- 食事は消化の良いものを選ぶ
- 前日の21時以降は絶食(朝食も不可)
- 車の運転は避け、公共交通機関や付き添いのある移動手段で来院
食事はうどんやお粥など、消化のよいものを摂りましょう。食物繊維が多いものや脂っこい料理は腸内に残りやすく、検査の妨げになります。
検査前日の夜9時以降は絶食し、当日の朝食も控えてください。間違ってお菓子をつまんでしまう方もいるので要注意です。
当院で切除を行う際も、静脈麻酔(鎮静剤)を使用するケースが多いため、検査後はご自身での運転はできません。
移動にはバスや電車のご利用、もしくはご家族・ご友人などによる送迎、またはタクシーの利用をおすすめします。
食事制限の詳細については以下の記事をご参照ください。
▶ 大腸内視鏡検査前の大事なお食事|易消化、低残渣の食事内容とは?
また、静脈麻酔の不安については下記記事でも詳しく解説しています。
▶ 大腸内視鏡検査は痛みがある?どんな痛み?痛みを防ぐ方法まで専門医が解説
2-2 大腸ポリープの切除
切除当日は、処置ベッドの上で体の左側を下にして横になります。医師が肛門から内視鏡を挿入し、大腸の中を観察しながらポリープの位置を確認していきます。
事前に相談した切除方法に従って、ポリープを安全に切除します。体調に異変を感じたときは、すぐに近くのスタッフに声をかけましょう。
切除で用いられる手法は、以下のようなスネアを使ったポリペクトミーが一般的です。
- ホット・スネア・ポリペクトミー(HSP)
- コールド・スネア・ポリペクトミー(CSP)
大腸ポリープの切除方法について詳しくは、以下の記事もご参照ください。
▶ 日帰り大腸ポリープ切除(大腸ポリペクトミー)について専門医が解説
2-3 大腸ポリープの切除にかかる時間
ポリープの数や大きさ、位置によって多少の違いはありますが、処置そのものは比較的短時間で終わります。
なお、静脈麻酔(鎮静剤)を使用した場合は、検査後にリカバリースペースで30分ほど安静に過ごしてから医師の説明を受けて帰宅します。
当日の流れをあらかじめ理解しておくと、安心して検査に臨むことができるでしょう。
2-4 大腸ポリープの切除は入院が必要なのか?
基本的に、大腸ポリープの切除は日帰りで可能です。ただし、ポリープが大きかったり、形状的にリスクがあると判断された場合は、入院による治療が必要となります。
2cmを超えるようなポリープでは、切除後の出血や穿孔リスクが高まるため、安全のためにも入院が適応されるケースがあります。
また、ポリープの位置や状態によっては、ポリペクトミーでの切除が難しく、EMR(粘膜切除)やESD(粘膜下層剥離術)が選択されることもあります。
当クリニックでは、必要に応じて連携している医療機関で入院治療を行っており、当院の医師が継続して担当します。詳しくは専門外来にてご相談ください。
3章 大腸ポリープの切除の費用について
大腸ポリープ切除の費用は、医療機関や保険負担割合によって異なります。以下は、当クリニックでの費用目安となります。
保険診療 | 1割負担 | 3割負担 |
---|---|---|
大腸ポリープ切除 | 7,000~9,000円 | 20,000~30,000円 |
※上記は概算です。診察代・採血・組織検査などが別途かかる場合があります。
※クレジットカードでのお支払いも対応しています。
費用の詳細については、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶ 内視鏡的大腸ポリープ切除術(大腸ポリペクトミー)の費用は?
4章 大腸ポリープの切除に関するよくある質問
Q1 大腸ポリープ切除は病院とクリニックのどちらでするべき?
A:どちらでも構いません。
病院とクリニックのいずれでもポリープ切除は可能です。精度や安全性に大きな差はありません。
ただし、2cm以上の大きなポリープは入院を伴う処置が必要となることがあるため、病院での対応が推奨されます。1cm程度の小さなポリープであれば、クリニックでの日帰り切除で問題ありません。
施設選びのポイントとしては「予約の取りやすさ」「アクセスの良さ」「費用面の納得感」などを基準にすると良いでしょう。
Q2 大腸ポリープ切除は痛い?
A:痛みはありません。
大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないため、切除時に痛みを感じることはありません。多くの方が「想像していたより楽だった」とおっしゃいます。
ただし、術後に出血や腹部の違和感を感じることがあるため、異常を感じた場合はすぐに相談してください。
Q3 大腸ポリープ切除で合併症が起こった場合はどうすれば?
A:症状が強い場合には、速やかに受診を。
合併症の代表は「出血」と「腸管穿孔」です。
- 出血の場合:少量なら様子見で問題ありませんが、水が真っ赤になるような出血はすぐに受診してください。
- 腸管穿孔の場合:突然の激しい腹痛が特徴です。速やかに医療機関へ連絡し、受診が必要です。
腸管穿孔はまれなケースですが、可能性としてはゼロではないため注意が必要です。
まとめ
今回は、大腸ポリープの切除について解説しました。
正しい知識があれば、過度な不安なく治療に臨むことができます。要点を以下にまとめます。
- 2cm以上のポリープはがん化のリスクが高まるため切除が推奨される
- 合併症として「出血」「腸管穿孔」のリスクがある
- 術後に異常を感じたらすぐに受診を
- ポリープが大きい場合は入院治療が必要なこともある
不安な点がある方は、遠慮せず医師やスタッフにご相談ください。当クリニックでは、専門外来の予約を24時間WEBで受け付けています。
※この記事は2023年1月18日に公開され、2023年3月27日に一部修正、2025年6月16日に更新されました。
参考文献
- Harada H, et al. Water-pocket endoscopic submucosal dissection for superficial gastric neoplasms. Gastrointest. Endosc. 2018; 88: 253-60.
- Harada H, et al. Saline-pocket endoscopic submucosal dissection for superficial colorectal neoplasms: a randomized controlled trial (with video). Gastrointest Endosc. 2019; 90: 278-87.
- 原田英明ほか:剥離の工夫(1) Water-pocket法 臨床消化器内科2020; 35: 281-286.
施設紹介
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>
ホームページ https://www.senju-ge.jp/
電話番号 03-3882-7149
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