女性が大腸がんになるリスクについて統計データをもとに解説!

「女性の大腸がんが増えていると聞くけれど、どうしてだろう?」
「乳がんと大腸がんって関係があるの?」

そんな疑問を持っていませんか?

2025年現在、女性のがん死亡原因で最も多いのは大腸がんです。便秘傾向や女性ホルモンの影響、さらには乳がんとの関連性が指摘されることもあります。

この記事では統計データや研究結果をもとに、女性の大腸がんについて詳しく解説します。予防や早期発見の大切さについても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。

1章 女性の大腸がんに関する統計データ

女性の大腸がんについて、統計からどんな傾向が見えてくるのかを解説します。

1-1 女性のがん死亡原因の第1位は大腸がん

女性のがん死亡原因グラフ

※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」

2021年の統計によると、大腸がんは女性のがん死亡原因として最も多く、年間14,428人の女性が大腸がんで亡くなっています。2003年以降は胃がんを抜いて第1位となっています。

1-2 年齢とともに大腸がん死亡数は増加

年齢別の大腸がん死亡数

加齢とともに、大腸がんによる死亡数は増加します。とくに高齢層ではリスクが高く、60代後半から急増している傾向が見られます。

1-3 若い世代でも油断は禁物

年齢別大腸がん罹患数

がんの罹患数は30代から少しずつ増え、70代後半でピークを迎えます。ただし、20代からの発症もゼロではなく、若年層でも注意が必要です。

血便や貧血、排便の変化などの症状があれば、年齢に関係なく医療機関で相談しましょう。

1-4 早期発見で生存率が大きく変わる

大腸がんステージ別生存率

※出典:全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2022年11月1日集計)

大腸がんは早期に発見できれば、生存率が90%以上になることもあります。一方、ステージ4まで進行すると生存率は10%台まで下がります。

ステージ0:がんが粘膜内にとどまる
ステージ1:固有筋層まで浸潤
ステージ2:漿膜下層を越える浸潤
ステージ3:リンパ節転移あり
ステージ4:他臓器への転移あり

だからこそ、早期発見のための検査が非常に重要です。

1-5 大腸がんは男女ともに注意が必要

2021年の統計によると、日本の大腸がんの罹患数は以下の通りです。

罹患数(2021年)
男性28,080人
女性24,338人

実際には、男性の方が大腸がんになる割合はやや高めです。ただし女性は他のがんと比較して大腸がんの割合が多いため、リスクが高く見えるという側面もあります。

なお、国立がん研究センターがん情報サービスによる2024年の最新予測では、以下のような罹患数が見込まれています。

罹患数(2024年予測)
男性85,600人
女性67,600人

このように、男女ともに高い水準で推移していることがわかります。大腸がんは特定の性別に限らず、誰にとっても注意すべき疾患です。

また、大腸がんの進行度によっては、精密な切除技術であるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が必要となる場合もあります。

進行した大腸病変の切除には、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という高度な手技が用いられます。詳しくはこちらをご覧ください。

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2章 女性に多い便秘と大腸がんの関係性

便秘は女性に多く、しばしば大腸がんのリスクとして語られますが、実際にはどうなのでしょうか?

2-1 女性は男性より便秘になりやすい

厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、便秘を訴える人の割合は以下の通りです。

便秘の割合
女性43.7%
男性25.4%

この結果からも、女性が便秘に悩む割合は男性よりかなり高いことがわかります。

2-2 便秘と大腸がんに直接的な関係はない

がん対策研究所の報告によると、便秘と大腸がんの間に明確な関連性は確認されていません。

便通が少ない人でも、大腸がんのリスクが高くなるわけではないという研究結果があります。(参考:がん対策研究所「便通と大腸がんの関連」

つまり、便秘がちな女性だからといって、特別にがんリスクが高いというわけではないのです。

3章 乳がんと大腸がんの関連性について

乳がんと大腸がんに関連性があるという報告がありますが、その理由については未解明な点も多いのが現状です。

3-1 乳がん患者は大腸がんの発症率が高い

ある調査によると、乳がんと診断された女性は、そうでない女性と比べて大腸がんを発症する割合が高かったとされています。

大腸がん発生率
乳がんと診断された女性5%
乳がんの診断がない女性1.33%

この結果からも、乳がん患者さんにおいては、大腸がんのスクリーニングも大切であることがうかがえます。

3-2 2つのがんに共通する要因とは?

乳がんと大腸がんに影響する因子としては、以下のようなものが考えられています。

・肥満
・女性ホルモン
・ホルモン療法(タモキシフェンなど)
・遺伝的要因

複合的な因子が関与していると考えられており、現段階では明確な因果関係は特定されていません。

詳細は下記の記事でも解説しています。


▶ 乳がんと大腸がんについて~今知っておきたい女性が気を付けるべき「がん」のお話

4章 女性ホルモンと大腸がんの関連性

女性ホルモンが大腸がんに影響しているのでは、という見解もありますが、現時点ではその関連性ははっきりしていません。

がん対策研究所の調査によると、女性ホルモンに関する要因と大腸がんとの間に関連性はみられませんでした。

調査では、初経年齢、閉経状況、ホルモン剤の使用、出産回数、初産年齢といった指標において、大腸がんとの関係は確認されていません。(参考:がん対策研究所「女性関連要因と大腸がんの関連」

5章 男女ともに大腸がんが増えている理由

ここまでの調査から、女性特有の要因だけでなく、男女共通の生活習慣が大腸がんの増加と深く関係していることがわかります。

主な要因としては、以下のような生活習慣の変化が挙げられます。

・食生活の欧米化(肉類・加工食品の摂取増)
・運動不足
・肥満
・喫煙

これらを見直すことで、大腸がんのリスクは軽減できるといわれています。偏りのないバランスの良い食事、適度な運動、禁煙の継続が大切です。

6章 大腸がんの症状

大腸がんは初期の段階では自覚症状が出にくいとされており、気づいたときには進行しているケースも少なくありません。

以下のような症状がある場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。

・肛門からの出血や血便
・貧血や体力の低下
・お腹が張る(腹部膨満感)
・以前とは異なる便通(下痢・便秘)
・便が細くなった

これらは進行がんの兆候である場合もあります。小さな変化でも見逃さずに医師へ相談することが大切です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。


▶ 大腸がんの初期症状とは?漠然とした不安をなくすために専門医が解説

7章 大腸がんを早期発見する方法

自覚症状が乏しいからこそ、検査による早期発見が非常に重要です。

大腸がんを早期に見つけるために有効なのは以下の2つの検査です。

  • 便潜血検査:便に微量な血液が混ざっていないかを調べる検査
  • 大腸内視鏡検査(大腸カメラ):カメラで直接大腸内を観察する検査

30代~40代以降は、定期的な検査の受診をおすすめします。

検査方法や受け方については、以下の記事でも詳しく紹介しています。


▶ 大腸がんを早期発見するために重要なことは?検査・生存率も解説

まとめ

本記事では、女性における大腸がんの統計や関連性について解説してきました。ポイントは以下の通りです。

・大腸がんは女性だけでなく男性にも増えているがんである
・早期に発見できれば高い確率で治癒が見込める
・便秘や女性ホルモンとの関連性は明確ではない
・乳がんと大腸がんの関連性には注意が必要だが、因果関係は不明な点も多い
・生活習慣を整えることで予防につながる
・検査での早期発見がとにかく重要

当クリニックでは、女性の方も安心して受けていただける大腸内視鏡検査を提供しております。大腸前処置室は男女別または完全個室となっており、プライバシーに配慮した環境を整えています。

また、日程によっては女性医師による検査も可能です。どうぞお気軽にご相談ください。

大腸内視鏡検査のご予約は下記より承っております。

お電話でのご予約はこちら

※この記事は2023年4月1日に公開され、2025年6月17日に更新されました。

参考文献

施設紹介

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>

ホームページ https://www.senju-ge.jp/

電話番号 03-3882-7149

住所 東京都足立区千住3-74 第2白亜ビル1階

診療時間
9:00~12:00
14:00~17:30

※予約検査のみ
※祝日のみ休診

アクセス

JR北千住駅西口より徒歩2分、つくばエクスプレス北千住駅より徒歩2分、東京メトロ日比谷線北千住駅より徒歩2分、東京メトロ千代田線北千住駅より徒歩2分、東武伊勢崎線北千住駅より徒歩3分

尚視会での内視鏡検査・診察は24時間予約を承っています。

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